アーサー王伝説-Chronicle of Arthur

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円卓の騎士/それぞれのパーティー構成



 ここでは、アーサー王伝説を3つの次元に分けて、家臣たちを一覧にしているのだが、それらの違いについて、まずは簡単におさらいまでに。
 

メンバー表 主要文献 王の名前 書かれた時代
マロリー編(イギリス) アーサー王の死 アーサー 15世紀
ドイツ・フランス編 パルチヴァール
エーレク
イーヴェイン
アルトゥース 13世紀
ケルト編(イギリス) マビノギオン アルスル 12世紀


…と、いうわけで、書かれた時代・年代・場所ともに違う伝説からの抽出となっている。
 しかし違うのはそれだけじゃない。パーティーメンバーの中身や意味も違うのだ。

 最も古い「ケルト編」では、家臣たちのほとんどが、魔法戦士。たいてい得意技をひとつは持っている。
 特技でもって、その人の本質が語られることもあるくらいで、何か優秀なところがあればアルスルに雇ってもらえたのではないかと思う。
 また、二つ名が多いのも特徴で、「○○の誰それ」と、いうふうに呼ばれている。「○○の息子」と、つくのも、ケルト社会らしさを出している。

 だが、「ドイツ・フランス編」あたりから、特技より血筋が重視され、名だたる家系の人々ばかり登場するようになる。ほとんどの仲間が血縁者だ。人間離れした特技の持ちぬしも出なくなり、宮廷文学の雰囲気の中で優雅に戦ってみたり。
 その雰囲気をさらに進めると、マロリーの「アーサー王の死」になる。
 ここまで来ると、高貴な血筋の一握りだけが活躍して、あとの人々は刺身のつまみたいなものである。活躍する場なんてほとんど無い。
 かつては特技を持っていた人々も、ここでは普通の人間になっているようだ。

 最大の違いは、アルスル自身が戦うか否か、と、いうところ。
 ケルト編では戦うが、時代が進むにつれて、王様は前線に出なくなる。単なる象徴へと変わっていく。
 そこに、「王以外の面々」が果たすべき役割の変化があったのではないかと思う。ケルト編では戦いに重きを置き、アルスル率いる軍勢の構成員として強さが求められたが、その後の物語では、戦闘員ではなく高貴な宮廷の構成員としての役割が課せられ、第一に戦闘能力より正統な血筋が要求された。
 そのため野生児をとっ捕まえてきて仲間にする、なんてことは出来なくなった。(もしやるんなら、『その野生児は何処かの高貴な血筋の落とし子でした、不幸にしてそれを知らずに育ちました』と、いう設定が付け加えられただろう。)

 おなじアーサー王伝説で、おなじくらいの大人数がゾロゾロ出てきても、集めてパーティー作ったときにかなり雰囲気が違っていただろうなー、というのを想像してみると、面白い。時代を超えて、ケルトの野性的なペレドゥルが、後世のドイツでパルチヴァールに出くわしたら一体どうなるんだろう? とか。ね。




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