2005年6月13日
「馬籠宿
(まごめじゅく)
岐阜県中津川市
地図
撮影 OLYMPUS E-10

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前後の脈略なく、突然思い立った。
そうだ、馬籠宿(まごめじゅく)へ行こう、と。
どこかで記憶に引っかかっていたのだと思う。
フォークの吉田拓郎の聖地だったか!?
おいおい、それはつま恋だろう。
妻籠でさえないぞ。いや、結局妻籠も行ったけど。
あ、思い出した、島崎藤村の生地である、
長野県山口村が、合併で岐阜県の中津川市に
編入されたニュースを見たんだった。
何にしても行くしかないってことで向かった馬籠。
写真のここはその途中にあった謎の店?
名古屋からなら、東名高速と中央自動車道を
乗り継げば早い。1時間くらいだろうか。
私はケチケチドライブ散策なので、
国道19号線をひたすら走った。
それでも2時間半もかからず到着。
意外と近かった。
ここは無料駐車場(A-2)。
無料のところが何ヶ所かあるので、
あえて有料のところにとめることはない。

駐車場裏の景色。
絵に描いたような日本の農村風景だ。
山に囲まれて田園が広がり、
民家が数軒集まっている。
このあたり一帯がこんな感じで、
なんだかとても懐かしくもあり、
ほっとする景色だった。
これだけ見るだけでも馬籠に行く価値がある
と言ってもいいくらいだ。
覚悟はしていたけど、入り口からして
いきなりの観光地ムード炸裂。
活気を呈しているといえばそうなんだけど、
駐車場には大型バスが何台もとまり、
団体客がぞろぞろと歩いていく。
ここまでメジャースポットとは思わなかった。
ひっそりとした宿場町の空気感に浸ろうとするなら、
時間を選んで行かないといけないだろう。
朝早くか、夕方以降か。
ここが入り口入ってすぐのところ。
両脇にはいきなりお土産物屋さんやら
食べ物屋さんやら、農協スーパー(?)やらが
立ち並ぶ。
思いっきりな観光地。
売られているお土産をくわしく見ることは
しなかったけど、宿場町ということで、
旅人グッズのようなものが目を引いた。
笠とかワラジとかミノとか、その他諸々。
木刀は売ってなかったかも。
いきなりの急坂。
ここは坂に開けた宿場として有名なところなので、
全編坂道って感じで、下の入り口から入ると、
上の入り口までずっと登りが続く。
のんびりぶらぶら歩きだから
そんなにしんどくないけど、普通に考えたら1キロ
続く坂道はけっこうきつい。
昔の人は丈夫だったから、こんなもの坂のうちに
入らなかったのだろうか。
少し歩くとそれっぽくなってきた。
風車なんかも回ったりして。
このあたりが特にいい雰囲気だった。
まず、石畳の道というのがいい。
かつての空気感そのままってわけではない
のだろうけど、
観光地としての整備がうまくいってる感じだ。
ニセモノめいたところはない。
村の郵便局。
もちろん稼働中。
やや半端に古めかしいというか、新しい。
ここは観光地ではあるけど、
一部民家もあって、人が生活してるから、
こういう施設は当然必要になる。
とはいえ、スーパーなどはもちろんないので、
生活はそうとう不便そうだ。
すごい坂道だし、観光客だらけだし。
島崎藤村の生家だったところにある藤村記念館。
特に思い入れはないのでさらっと前を通り過ぎた。
入館料の500円は、うーん、どうだろう。
ただ、ここを目当てに馬籠を訪れる人も
たくさんいるに違いないわけで、
そういう人たちにしてみれば500円は安いものか。
他にも一部有料の資料館などもあった。
しかし、まさか自分の故郷が長野県から岐阜県に
なってしまうとは藤村も思ってなかっただろう。
団体さん、いらっしゃ〜い。
てな感じで、上から大勢で攻め込んできた。
うわー、よけろ、よけろー。
ここが賑わっているのは、
団体さんが多いからだ。
どこからどういうツアーを組んでやって来てる
んだろうか。馬籠だけでは1時間で
終わってしまうから、他にもいろいろ
組み合わせてるはずだ。
木曽路全般を行くのかな。
上の方に近いところの見晴らしのいい場所で、
異人さん二人組が、遠くの山並みを眺めて
ほうほうと感心していた(推測)。
何か飲んで休んでいただけかもしれない。
馬籠宿の民家で買われている猫。
きれいな猫だ。
毎日まいにち、ゾロゾロと歩いている
大勢の人間たちを眺めながら
何を思ってるのだろう。
ごくろうなこった、とでも思ってるのだろうか。
上の入り口を出て、更にもう少し上の
展望スペースまで行ってみた。
おおー、ここからの眺めも素晴らしい。
幾重にも山が重なっている風景は
けっこう新鮮だ。
やっぱりこのあたりは山深いんだなと
あらためて思った。
車でも下からずいぶん坂道を登った。
空き地で咲いてたこれは、
ムラサキツメクサかな。
ここは意外にも野草の種類は少なかった。
珍しい野草があるんじゃないかと
期待してたんだけどちょっと残念。
あとはお馴染みのものや、
アザミくらいしか見かけなかった。
昆虫も蝶が少し。
上まで歩いたから、あとは引き返すだけ。
うーん、こんなもんかな。
宿場町の通りとしては全長1キロくらいだから、
往復で2キロ。
時間にしたら、ゆっくり歩いても
1時間はかからない。
何か食べたり、資料館に入ったりするから、
普通はもっと楽しめるのだろうけど、
写真を撮るだけだと、ちょっと物足りないか。
馬籠の笠をかぶった人が何人かいた。
たぶん、案内係の人だと思う。
きっと何か質問すれば質問してないことまで
たくさん話してくれるだろう。
帰り際、いいシーンに出会った。
横の民家からひょこっとおばあさんが出てきて、
スタコラ歩いていった。元気だ。
ある意味、今日見た中では、このおばあさんが
ここの風景に一番フィットしていた。
ここは観光客のための町だけど、
本来はこういうおばあさんが歩いているのが
一番似合っているのだと思う。
さすがに坂道で鍛えてるだけあって、
腰も曲がらず、しっかりした足取りだった。
最後にいいものを見せてもらった。


 下調べもそこそこに、突然思い立って行ってみた馬籠宿。
 すっかり観光地化されている部分に少し馴染めないところがありつつも、こういう貴重な宿場町が残っていて今見ることができることにありがたみも感じたのだった。
 石畳の道もよかったし、雄大な風景の中の宿場町というロケーションも素晴らしい。
 ただ、何かが足りないようなもどかしい思いが最後まで残ったのも事実だ。そしてそれは、この後訪れた妻籠宿ではっきり分かることになる。妻籠にあって馬籠にないもの、というより馬籠にあって妻籠にないものと言った方がいいのかもしれないけど。

 何はともあれ、名古屋からも近いし、これだけの異空間を味わえるところはそうあるものじゃないので、行って損はない。
 もし時間と体力に余裕があるなら、馬籠宿から旧中山道を歩いて妻籠宿へ行くコースがオススメだ。たぶん7キロくらいあるから(しかも山登りの道)、かなりしんどそうだけど、山道を歩いてこそ、「木曽路はすべて山の中である」という言葉の真実味を体感できるのだと思う。
 行きは歩いて帰りはバスという手もある。
 または、ゆっくりできるならここで宿を取って一泊するのが一番だろう。

 所在: 岐阜県中津川市馬籠4300-1
 時間: 終日(ただし、店や資料館などはそれぞれ営業時間がある)
 入場料: 馬籠宿自体は無料、一部有料施設あり
 定休日: 基本的にはなし、一部例外ありだと思う
 駐車場: 無料と有料のところあり

 公式ページ

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