英国情報-名所旧跡関係

帝国戦争博物館

Imperial War Museum


「帝国戦争博物館」とは物々しい名前が付けられている。その名の通り、大英帝国の戦争の歴史がこれでもかと言わんばかりに展示されている。数有るロンドンの戦争関係博物館の中では、ここと「陸軍博物館」に行っておけば、まあいいのではないかな。

ここはテムズ川の南岸のランベスに有る。テムズ川の南部は治安的にはあまり芳しくないことが言われており、この付近のエレファント&カッスル地区は確かに一種異様な雰囲気を持っているが、まあそれほど心配する必要もなく、昼間に行く分には大丈夫でしょう。ここは、元々はベツレヘム精神病院があった場所で、19世紀には患者が作る工芸品を見せる施設だったのだが、後に病院がサリー州に移転したことに伴い、1924年にサウス・ケンジントンにあった旧帝国戦争博物館が移転してきたもの。

建物の正面には、いきなり巡洋艦の主砲がでんと据え付けられており、戦争の博物館でっせと呼び掛けているようで分かり易い。中に入ると、いきなり天井から戦闘機が吊されていたり、床に戦車が鎮座していたり、と目眩く軍事絵巻。プラモ屋にありがちなコーナーが実物で再現されているようなものである。有名所では、モントゴメリー陸軍元帥の使った戦車とか、バトル・オブ・ブリテン(英国本土空襲)で使われたスピットファイア戦闘機の本物が展示されている。展示と言うか、そこに置いてあるだけなので、触ったり、中に入ったり出来てしまう。本物であるにも関わらず、この気前の良さは流石英国である。本物だから、当然に弾痕とか戦闘の跡が残っている。

あと特筆すべきなのは、英国軍のみならず、旧敵国たる我が日本やドイツのものまであること。ゼロ戦も有るし、ドイツのV2(小室哲哉とYOSHIKIではない)も天井に届かんばかりに立っていて、幅の広さを見せ付ける。中でも私が最も興味深く見せて頂いた(ここだけは「見せて頂いた」という丁寧な言葉を使ってしまうぐらい嬉しかった)のは、あのナチス副総統ルドルフ・ヘスが乗ってきたメッサーシュミットME-110戦闘機の残骸(画像右)である。ヘスはナチスとの和平を画策すべく英国を説得するため単身メッサーシュミットでスコットランドに乗り込み、そこで当然ながら英軍に捕らえられ、あのロンドン塔に幽閉される(この時代までしっかりと実用的に使われているというのも凄い)。ヘスはその後、シュパンダウ刑務所に収容されるが、1987年に92歳で自殺する。その年まで生き長らえた彼が、その年で自殺を思い立った理由はとても気になるところだが、とにかく、そのヘスの乗ってきた戦闘機だと言うのだから、その歴史的価値からしてこれはもう拝むしかない。

その他にも、戦争関係の文書とか絵画とかごっそり展示されていて、全部しっかり見て回るとかなり時間が掛かる。暗号解読コーナーなんてのもある。地下には日本軍コーナーも有ったけど、あまりよく分かってない感じ。英国では日本軍と言えば英国軍の俘虜(Prisoner Of War, POW)を虐待した極悪非道な奴らという極めてステレオタイプな見方をされている。これについては、ここよりもっとひどい博物館が有るので、そこで論じることとして、ここでは深くつっこまないでおく。

この博物館では、先の両大戦のみならず、その後の朝鮮戦争からフォークランド紛争、更には湾岸戦争の関係まで展示が進んでおり、次はアフガニスタンのコーナーが出来るんだろうと思われる。そんな訳だから、純粋に戦争の歴史を知る分には十分すぎる程の資料が揃っている。しかし、あくまで英国側からの無反省な展示である。世界中を荒らし回り、異民族を収奪したという自らの過去について無邪気過ぎるくらいに無頓着である。戦争に負けたことのない国はこうなるのだろうか。

尚、地下に「空襲体験」と「塹壕体験」という部屋が有ったけど、どっちも時間が無くて行けなかったのが心残り。というのも、ここは普通は有料なのだが、16時半以降は無料になるので、その時間を見計らって入場したためである。因みに、18時閉館。

場所 Lambeth Road, London SE1 6HZLambeth North
値段 £6.50(£5.50)
電話 020 7416 5320


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