英国情報-生活全般関係

自転車 その1


 英国で自転車に乗ることは、正しく命懸けであると言わねばならない。いや大袈裟じゃなくて、自分もよく乗ったけど(左は愛車の画像)、しょっちゅう冷や冷やさせられてしまう。それは何故かと問われれば、自転車は、交通法規では自動車と全く同じ扱いをされてしまうということに尽きるのである。

 即ちどういうことかと言うと、自転車は決して歩道を走ってはいけないのである。これが厳しい。もし歩道を走れば£500以下の罰金である。

 日本でも本当は「自転車通行可」の標識のある道路しか走ってはいけないのだが、実際のところ気合いの入った人以外は自転車でも歩道を走っていると思う。かつて私などは車道を走っていたところ「危険だから歩道を走れ」と通りすがりの警察官に注意された経験がある。日本でも一応自転車は車両なのだから原則を守って車道を走っているというのにどういう了見だ!と当時は憤慨したものだった。

 じゃあそんな私に英国は乗り易い国かと言うと、決してそうではない。確かに、日本のように、婦人用でたらたらと走ったりしている人々が居ないのは快適ではある。が常に車道を走れ、というのもこれまた困りものなのだ。特に困るのは右折である。基本的には道路の一番左端を走っているのだが、車同様、右折するときは右折専用レーンに入らねばならないのである。そして、これが命懸けなのである、いやほんまに。バイクのようにスピードも出ないから、さっと車線変更も出来ず、ただ「俺はこれから右折レーンに入るから、お前はスピードを緩めろ」と言わんばかりに右手を車の前に突き出すことしか出来ないのである。そうすると車は大概はスピードを緩めてくれるので、命拾いをして車線変更をする。最初にそのような風景を見たときに、「ああ英国人は自転車でも右折の印をちゃんと出してるんだな、偉いな、そう言えば私も小学校の時に習ったな」などと思っていたのだが、そんな暢気な話ではなくて、そうでもしないと恐くて車線変更が出来ないだけのことである。

 しかし、そんなに危険だったら、二段階右折をすればいいじゃないかと思われる向きもあるかも知れない。至極御尤もである。私も危険なときはそうするようにしている。のだが、残念ながら右折しなければならないのは何も交差点だけではないのである。つまり、道が二股に分かれていくときなんてのがそうで、この場合、右側に行きたければ死ぬ思いで右折レーンに入らない限りは違う方向に進んでいくという運命に弄ばれてしまうだけの、か弱い自転車乗りになってしまうのである。

 それともう一つ、車道を走れということで困るのが、一方通行の多さである。車道を走らねばならないということは、当然一方通行も守らねばならない。一度、うっかり一方通行を逆走してしまったところ、向かってきたバイクの運転手に擦れ違いざまに派手に怒られたことがある。とは言え、ロンドンの道は一方通行が多くて、普段歩いている時はあまり意識しないもんだから、いざ自転車で同じルートで行こうとすると、一方通行で駄目ってことが結構多いんだなこれが。

 しかし、そういう時にはとっておきの裏技がある。日本でも同様だが自転車も押して歩けば歩行者と同じということである。困ったら、さっと自転車を降りて、歩道に乗り上げてたらたら押すのだ。これで怖いもんなしである。

 そんなルールの下で自転車を乗り回してから日本に帰国してみると、ますます歩道を走ることはなくなった。歩道は歩行者の為のものなのだから、自転車は遠慮して乗るべきである。あと、たまに車道を逆走してくる自転車がいて異様に腹が立つ。


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