英国情報−生活全般関係

ジュビリー2000小考


今回はちょっと英国情報とは外れるけど、英国で採り上げられてる「ジュビリー2000」関係の問題について、かなり勝手な意見を吐いてみることにしよう。御意見・御批判・御賽銭等あれば受け付けます。

先ず「ジュビリー2000」とは何ぞや?という皆様に荒っぽく説明しよう。別に地下鉄ジュビリー・ラインの延長問題とは関係無くて、端的に言えば先進国は途上国の借金を棒引きにしろと声高に主張している市民運動家の団体(今流行りのNGO)のことで本部がロンドンに在るそうだ。日本風に言えば「徳政令」を求めてるということか。U2のボノも参加して広告塔の役目を果たしている。これが彼の「魂の叫び」なのか?尚、ジュビリー(Jubilee)というのは、50年に一度、土地や奴隷の解放を定めた旧約聖書レビ記25章の「ヨベル(英語読みはジュビリー)の年」のことで、2000ってのは勿論西暦2000年。要はキリスト教の世界のお話。

でジュビリー2000(以下「ジュビリー」と言う)は、今年のサミット議長国であり、世界最大の債権国でもある我が日本国に対して最も強烈に債務帳消しを訴えている訳である。昨年のケルン・サミットでは一応最貧国に対する債務削減の合意がなされ、日本も非ODA債権の帳消しは約束した。(因みに最貧国とは、国民1人当たりの国民総生産がUS$695以下で、債務(借金)残高がGNPの80%以上または輸出額の220%以上(IMFと世銀による定義))。がジュビリーは「全部免除しろ」としつこく言ってきており、3月に開かれた公開セミナーでは日本側は結構糾弾されたらしい。今は亡き小渕首相(当時)が訪英した際には「オブチサン、チョーケシッ!」とデモを行い、森首相がこないだ(5月初旬)来英した時には性懲りも無く「モリサン、チョーケシッ!」だのと叫んでは太鼓を叩いたりしていたのである。

ここまで読まれた方、及び私の性格を知ってる方は既にお察しの如く、ジュビリーの連中の主張には私は反対なのである。貸した金返せよってのはウルフルズも言ってる通り当然のことだし、モラル・ハザードという問題も有る。それに、じゃあ棒引きにしたら良くなるかって言うと、問題はそういうとこに有るんじゃなくて、なんでそんなに借金漬けになっちまったかってことで、結局は途上国の指導者がODAを勝手に私物化したり、働く気が無くて援助ばっかりあてにする国民性とか、兎に角もっと根が深い問題じゃないかな。だからここで万が一帳消しにしても、どうせまた借金が嵩んで「チョーケシッ!」とか言ってくるような気がしてならない。金を貸してあげた方を悪し様に罵る前に、もうちょっと根本的かつ健全な解決策でも考えてみたらどうか。

万が一帳消しにするにしても、だったら今後二度と貸さないという約束でも取り付けたらまだましでしょう。でもODAも言ってみれば或る主の「公共事業」だから、やめるとなるとこれはまたこれで困る人達が日本国内にも居るわけで、なかなか難しい問題。それに返せと言ったところで、じゃあ実際に途上国が返せるようになるのかというと、これも甚だ疑問。だったらいっそのこと「免除してあげよう」と言った方が格好が付くのは確かではある。

それにしても、最貧国の人達に哀願されるならまだしも、何で欧米人のお前らに言われなあかんねん、というのもある。途上国の累積債務問題は、元を正せば欧米諸国の植民地支配による産物なんじゃあないのか。それに奴等は名前のとおり「西暦2000年という区切りの年だからハッピーにしよう」とか言っています。だったら平成20年とか皇紀2700年になったら、日本に何かいいことしてくれるのか君達は?


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