英国情報−生活全般関係

夏時間


英国には、夏時間(サマータイム)なるものがある。サマータイムと言っても、サーカスとは関係ないので念のため。日本でも導入が検討されているようだが、実現の可能性はまだまだ不透明のようだ(昔ちょこっとだけ導入されたが不人気ですぐやめた)。今回はこの夏時間というものについて、多少書き綴ってみる。

夏時間(British Summer Time、略してBST)とは、夏の日照時間を出来るだけ有効に使おうという政府の計らいで、例えば朝に日が照ってるのに寝ていては勿体ないし、夜も遅くまで明るいぞーということにもなる(お陰で夜10時ぐらいまで明るい)。そういう意味では、経済活動や消費の活性化に役立つものではある。又、照明や冷房を節約することで、省エネにもなるらしい(本当か?)。

さてさて、英国は1916年に世界で初めて夏時間を導入した国の1つである。毎年3月の最終日曜日から夏時間に突入するので、今年は3月26日から夏時間になった。この日の午前2時に時計の針を一斉に1時間進めなくてはならない(実際は寝る前か起きた後で直せばいいけど)。つまり午前2時が、いきなり午前3時になってしまうのである。

実際のところ、これはかなり面倒なものでもある。パソコンの場合は、夏時間を自動的に調整する機能が付いているから良かったけど、その他の家電は全て自分で直さなければならない。家中の時計の時間を合わせ直さねばならないし、直し忘れた時計をそれと気付かずに使って、遅刻だーという危険性はかなり高いと思う(日曜だが)。ビデオの録画予約等も失敗する人が何人か居るに違いない。私もテレビ、ビデオ、ステレオ等の家電のみならず、自動車や携帯電話の時刻も全て粛々と1時間進めたが、はっきり言ってかなり面倒臭い。更にネット関係では、cgiのスクリプトで現在時刻を取得するところを、全部夏時間に直さねばならなかった。これは何かうまい方法が有るのかも知れないが、何分初心者なので、その辺はよく分からない。知ってる方が居たら教えて下さい。

さて夏時間の初日であるこの日、或る博物館をぷらぷらしていたら、いきなり日本人の観光客の人に「いま何時ですか?」と聞かれた。咄嗟に自分の腕時計に目を遣るが、えーとこれは夏時間に合わせてあったかな?と自分で悩んでいると、その人が「私の時計では2時半なんですけど、此処の時計だと3時半なんです。」と言ってきた。どうやら夏時間を御存知ないらしい。ややこしい時に旅行に来られたものだ。
 「ああ、じゃあ3時半です。イギリスは今朝から夏時間になったので、時計の針を1時間進めて下さい。日本との時差は8時間です。」
 「飛行機の時間とかは…」
 「今日以降は全部夏時間になってます。」
と言っておいたので、納得してもらえたと思う。それにしても、夏時間に気付かなかったら、飛行機に乗り遅れた、という可能性もあるので、危ないところだったのかも知れない。いやー善い事をすると気持ちがいいなー。

という訳で、日本との時差は8時間に短縮された。グリニッジ標準時(Greenwich Mean Time、略してGMT)に戻るのは、10月の最終日曜日である。という事は、賢明な読者の皆様なら既にお気づきの如く、1年のうちで実は夏時間の期間の方が長いのである。じゃあ夏時間を標準時にして、それ以外を「冬時間」とでもすれば良さそうな話だが、経度15度で1時間差という原則が有るので、要は最初の決め方が宜しくなかったということか。

序でに言っておけば、GMTに戻す時には、午前2時が午前1時に戻る。だから、あまり無いとは思うが、例えばその日の午前1時半に待ち合わせ等をする場合には、BSTかGMTかどちらかを確かめておかないと無用の混乱を来す羽目になるので御注意。

その他にも、諸々で瞬時の判断に迷う事が多い。更に言えば、ビッグベンの時計等はどうやって調整しているのだろうか?まさか、午前2時になった途端に、すすーっと3時まで針が進むようになっているのだろうか?これも知ってる方がいたら是非とも教えて下さい。

そんなこんなで結局、日本もそこまでして夏時間なるものを導入すべきなのだろうか????


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