英国情報-生活全般関係

ロンドン市長選挙 その1


本日の御題は「ロンドン市長選挙」について、と幾分と高尚な話題。日本でこの話がとれぐらい報道されているのかはよく知らないけれど、当地ロンドンは地元なので当然かなりの盛り上がりを見せている。主な候補者が出揃ったので、ここいらで多少振り返ってみよう。

先ず、簡単な歴史から。実は現在「ロンドン市長」という人は居ない。更に言えば、ロンドン市役所というものも存在しない。これはかなり不可思議なことで、じゃあロンドンの行政は誰が司っているのかと言うと、市内の各区がそれぞれ区内の行政を担当するという妙な構図になっているのである。

Grater London Council
ここで更に英国の地方行政について簡単に見ていくと、市長が居ないのは実はロンドンに限らない。英国では、地方議会が執行機関でもあり、議員の互選による議長が市長的な役割を担っているのが実状である。じゃあロンドン市議会はどうかというと、これが実は1986年にサッチャー政権によってロンドン市議会(Grater London Council(以下GLCと言う))が解体されてしまったので、議長はおろか議会も存在しないという訳である。GLCでは当時労働党が圧倒的に強かったので、保守党政権はGLCごと解体してしまったという、誠に乱暴な話な訳である。でテムズ川に面した旧GLCの建物(画像)には現在では水族館やナムコのゲームセンターが作られていて、それはそれで人気スポットになっている(因みに、私の通うLSEはこの跡地に移転しようと目論んでいたらしいが、資金面で失敗したらしい。落札したのは日本の某不動産会社)。

ところが、ブレア労働党政権になって、ロンドンの行政を効率的に進めるため云々とかいう理由付けで、ロンドン市議会の復活と公選ロンドン市長の設置が決められたのである。長くなったが、ここまでがロンドン市長選挙に至る歴史的背景。そういう意味で、かなり特別な選挙なのである。

Steve Norris
で各政党からの立候補者を紹介したいのだが、その前段階として、党の公認候補を決める段階で、保守党・労働党ともかなり白熱していた。先ず保守党。一旦は、前副総裁で日本でも馴染みの作家ジェフリー・アーチャーが公認された。ところが(選挙には付き物だが)昔の売春関係のスキャンダルが露見して敢えなく公認を辞退させられ、更には党から追放されてしまった(期限付き)。そこで再び候補者選びと相成り、で決まったのが元運輸相のスティーブ・ノリスである。

Frank Dobson
更に白熱したのが労働党である。労働党公認候補の主な候補(変な言い方だが)は、GLCが廃止された時の議長ケン・リビングストンと、前保健相のフランク・ドブソン(本学OB)である。リビングストンは「レッド・ケン」の異名を取る筋金入りの左派で(とは言え自分はブルジョア)、ニュー・レイバーを掲げるブレア首相にしてみればオールド・レイバーの権化みたいな奴、ということになる。そこで労働党執行部が白羽の矢を立てたのがドブソンである。公認候補の決定は、投票で行われたのだが、その仕組みがややこしい。即ち、一般党員・国会議員・労働組合の3セクション別に投票し、各セクションでの得票率を足すという仕組みになっている。これは一般党員に圧倒的な人気があるリビングストンには不利な制度で、なにしろ国会議員の1票の価値は一般党員の1,000票と等しいからだ。

Ken Livingstone
で結果としてはドブソンの辛勝となった。なったのだが収まらないのはリビングストン。さんざん気を持たせた後で、無所属での立候補を表明したのがつい先週(3/6)のこと。この辺、石原慎太郎にも通じるものがある(左右の別はあれど)。それまでもリビングストンは公認候補決定の投票は「汚された結果(tainted result)」になったのでドブソンは辞退せよみたいなことを散々言っていた。負けたからといってひどい言い草だなと思っていたところ、或るレポーターがリビングストンに「あなたが勝ったら『汚された結果』とは言わなかったのでしょうか?」という質問をしてくれた。何て答えるかなとテレビを見ていると「私は党員の支持を得た」と言うのにとどまっていた。

Susan Kramer
因みに、第3党の自由民主党からはスーザン・クレーマーという女性が立候補している。でノリス、ドブソン、リビングストン、クレーマーの4人の討論会というのが、よくテレビでやっている。日本でも去年の都知事選挙の時に散々やっていたようなもので、各候補それぞれ政策を訴えたりするのだが、日本よりも明確に個人を攻撃しているなというのが私の感想。具体的に言うと、リビングストンでは健全財政に程遠いとか何とかかんとか散々言われたりしている訳だ。御国柄の違いか。

投票は5月4日。今のところ世論調査ではリビングストンが優位。残念ながら日本人の私には投票権は無いので、傍観するしかないのだが。


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