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市場への入口 |
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この襄陽市場は、基本的に名前の通り「服飾」と「礼品」が中心の品揃えとなっている。バーバリー、ルイ・ヴィトン、コーチ、シャネル、ロレックス、オメガ、サムソナイト、と言ったあらゆる有名ブランドの品々が売られているが、一瞬でバッタもん(パチもん、つまり偽物のこと)と分かるものが殆どである。たまーによく出来た偽物があるが、店員は「これは本物だから安くできない」などとほざいている。他には、中国チックな工芸品なんかも売られていてそれはお土産には良い。尚、香港や台湾の市場では海賊版のCDやDVDをよく見るが、表向き襄陽市場では殆ど見掛けない。
さてここの市場の店員どもであるが、奴らは一瞬にして日本人を見分ける能力を持っているらしく、何も言わないのに「トモダチ」だの「シャチョー」だのと呼び掛けてくる。彼らの常套句は「ミルダケ」である。要らない要らないと言うと、見るだけ見るだけと言ってくるので、私はそういう場合には一言「見ない」と切って捨てている。また、以前に"Sorry, I can't speak Chinese."と言って日本人じゃない振りをしてみたところ、店員はすぐさま英語に切り替えて押し売りを始めたから大したもんである。なかなか日本語能力も馬鹿にしたものでなく、値段交渉は日本語で大体出来る場合が多い。更に何処で覚えてきたのか、「本物…に近い」とか「密輸入」とか言って囁きかけてくる奴までいる。
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市場の様子 |
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さて、襄陽市場に限らないが、中国のこうした市場で値段交渉をする秘訣は大体以下の通り。先ず値段を店員に聞くと根拠が有るのか無いのか、結構すぐさま値段を答えてくる場合が多い。交渉はその2分の1~3分の1ぐらいからスタートする場合が多いが、ふっかけ具合によっては10分の1からスタートしても良い。とにかく間違っても言い値で買うことは避けるべきである。よく欧米人が言われるがままに買わされている姿を見るが、市場全体の値上がりに繋がるので避けて欲しい。さて、値段はすぐに少しは下げてくるが、なかなかこちらの言い値まで下げてくれない場合もある。その場合は、じゃ要らねーよと言って帰る振りをする。数歩歩くと、分かった分かったと言ってこちらの言い値に応じてくれる場合もあるし、言い値に近付けてくれる場合もある。いずれにしても、呼び止められなかったら諦めて他の店で買えばいい。市場では正直、どこも品揃えは大差なく、その店でしか売っていないものなど無いに等しいからだ。
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市場の様子 その2 |
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そんな襄陽市場、閉鎖される閉鎖されるという噂は前々からあったが、とうとう本当に閉鎖された。大体WTOにも加盟した国が、こういう知財侵害しまくり市場を今まで閉鎖しなかった方が不思議なぐらいである。こうした市場があるため、上海では本物のブランド品であっても、「どうせ襄陽で買ったんでしょ」と口に出さないまでもみんな思ってしまう。どうせそう思われるなら、高い金出して本物を買うのもあほらしいで襄陽で買うたれ!という偽物スパイラルに陥っていたのがここ上海なのである。
6月末で閉まるというので、その直前に様子を見に行ってみたところ、閉店セールで投げ売り状態かと思わせておいて、それほどでもなかった。まぁここで出来なければ他でやればいいやぐらいの感覚だろうし、実際に当地の新聞でも「襄陽市場が閉鎖」との見出しに続いて、「多くは七浦路に移転か」みたいな記事が出ていた。なかなか中国人がそれぐらいで諦めるわけはないのである。
この市場の跡地は、聞くところでは地下鉄の駅になったりショッピングモールになったりするらしい。最初にも書いたが、都心のどえらい一等地にあるので、いくらでも再開発は出来る。そんなところに偽物市場が有ったのがそもそもどうかしていたのであるが。