上海情報−生活全般関係

上海協力機構


 先週は、上海で、「上海協力機構」(中国語では「上海合作組織」)の首脳会議が行われ、あれこれ大変だった。

 上海協力機構というのは、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国で構成している政治経済協力の地域機構のことで、1996年にウズベキスタン以外の5カ国が、国境地帯の信頼を作る云々と言って「上海ファイブ」を結成したのが起源。2001年にウズベキスタンが加盟して現在の上海協力機構となった。よって、今回は結成5周年という名目で更に盛大にやっている(ように見える)。更に今回は、オブザーバーなどとしてインド、パキスタン、イラン、モンゴル、アフガニスタンの5カ国代表が出席した。アフガニスタンからは、もう皆さん忘れてるかも知れないけどカルザイ大統領が来た。

 今回の首脳会議は15日、対テロや経済分野での協力に関する共同宣言を発表し、「政治・社会体制や価値観の違いが他国の内政に干渉する口実とされるべきではなく、社会発展のモデルは『輸出』できない」という、「輸出」しようとしている米国を強く牽制する内容となっている一方、米国は世界最大のテロ支援国家を含む機構が「反テロ」とはちゃんちゃらおかしい!という趣旨の声明を発表、などということは基本的に新聞を見てもらえばいいので、詳しくは触れない。

 「大変だった」というのは、上海という都市が全てこの会議を中心に回された、ということに尽きる。先ず日本人の想像を絶する指令が上海市政府から出された。政府機関と学校は会議の行われる6月14日(水)〜16日(金)を臨時の休日とする、その代わり10日(土)と11日(日)は臨時出勤日とする、その他の組織は各自の実情に合わせて自ら決めて良い、というものである。

街の中もこんな旗だらけ
 要するに会議に備え、その日はなるべく都心に出て来ないで家で寝てろと言わんばかりに休日を変更してしまったわけで、こんなの日本では考えられねーっつーの。しかも、通知は5月20日付となっているが、実際に公表されたのは5月29日。1年前から言うならともかく、こんな急になって土日出て平日休めと言われてもそう簡単に行くか!と言いたくなるが、それが何とかなってしまうのが、ここ中華人民共和国という国家なのである。

 リサーチしてみたところ、国有企業なんかは当然に政府機関と歩調を合わせるわけだが、日系企業はこの通知に従わずカレンダー通り(と言うかカレンダーが変更されたとも言えるが)に営業する方が多かった気がする。但し、ビルのテナントが全館閉鎖を決定したため、やむなく休日とする企業もあったようだ。特に、高架道路沿いの高層ビルは、テロ防止の観点から念入りに当局の事前の手入れが行われており、14〜16日に出勤とする場合は、氏名の登録・身分証の携帯等が義務づけられたようである。そもそもこの通知は上海市内のみなので、上海だけを相手に仕事をしているならともかく、他が営業してるのに上海オフィスだけ休みですなんてわけにもなかなか行かないのが実情。だが政府機関が休みなので、税関も開いてなくて輸入通関が出来なかったり、その他諸々に不便な点も有るには有っただろうが、逆に当局から何も言われなくて平和、とも言えたりして。因みに、最も強者の職場は、土日休んだ上に14〜16日も休むという措置に出ていた。尚、我が組織も指令は無視。

 それにしても、急に土日出勤となってしまって、例えば日本商工クラブのテニス大会や、親子運動会を企画していた幼稚園もあるやに聞いているが、それぞれ強行したらしい。日系はさほど指令に従わなかったので、影響は限定的だったのだろう。一方、上海人などは土日返上すれば1日余分に3日間休めるということで、そこそこ好評のようだ。更に土日がくっついているので、5日間の「小黄金週」(ミニゴールデンウィーク)などと呼ばれ、報道では57万人が旅行に出掛けたとのこと。上海だけが連休なのでこれはお得だったかも知れない。

 更に交通規制も甚だしかった。市政府からの通知によれば、会議が行われる浦東周辺をまるまる封鎖してしまうような感じだ。更に、会議場だけならともかく、胡錦濤等の要人が泊まっているのは市の反対側のホテルだったため、その間の往復時は全て道路封鎖、高架道路に乗れないように各入口でパトカーが睨みを利かせている始末。さすが警察国家。

 というわけで、会議の成功の為ならば市民生活など犠牲にしても全く関知しない(犠牲にしてるという意識すら無いかも知れない)という姿勢ありありの上海市政府でした。



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