中国上海市の陳良宇・前市長が21日、札幌市を訪れ、高橋はるみ知事と知事公館で会談、北海道と上海市の交流を促進させていくことで一致した。
陳氏は上海市で10年に開催する万博の参考にしようと愛・地球博(愛知万博)を視察するため来日。北海道にも足を延ばし、21、22の両日、札幌市内を見て回るという。
道は今年1月に上海市で物産展を開くなど、中国からの観光客誘致と、中国への道産食材輸出を目指している。高橋知事は「北海道のセールスポイントは豊かな自然と食材。人と物の相互交流を進めましょう」と話した。
陳氏は「知床の世界自然遺産登録は中国で多くの人が知っている。豊かな資源と産業もあり、交流は成功するだろう。上海市政府も全力で協力する」と述べた。【丸山博】
この記事のポイントは陳良宇の肩書きを「前市長」としていることだ。どういう意図があったのかは知らないが(或いはこの記者が無知なだけかも知れないが)、「前市長」などと書いてはこの会談の意義が全く伝わらない、ということを強調しておきたい。
陳良宇 Chen Liang Yu |
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実は陳良宇の現職は「中国共産党上海市委員会書記」、つまり上海市の共産党のトップの地位にある。そして、ここが中国の非常に分かりにくいところだが、上海市人民政府は中国共産党上海市委員会の指導を受ける、ということになっているのだ。その証拠に、党上海市委員会の副書記は何人かいるが、そのうちの一人の副書記である韓正という人物は、現在の上海市長である。このことからも、党と市政府との関係が分かるというもの。
韓正 Han Zheng |
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更に言うと、陳良宇は中央の肩書で言えば党の政治局員であり、こないだ首脳会談をドタキャンした呉儀副首相とランクは同等と考えて良い。江沢民派の残党として胡錦濤派からは目の敵にされており、そろそろ更迭されるのではという話が随分と前から出ている。そして今度の党五中全会でもその処遇が焦点の一つとなっている。(関連報道)
因みに、市長から市委書記への「昇格」というのはよくある話で、江沢民も上海市長から党上海市委書記になっている。で、その直後に、天安門事件の関係で党総書記に抜擢されたことは周知の通り。
と言うわけで、中国の権力構造は複雑なので皆さん気を付けましょう。