御陵巡り

御陵の巡り方


「御陵めぐり」というのは、歴代天皇陛下の陵を順次訪れてお参りするという行為のことである。何が楽しいのかと問う人もあろうが、やってみればそこそこ楽しい。基本的には歴代天皇陛下の業績や乱行等の基本データを頭に入れておく必要もあろうし、考古学的・神話的知見というのも有れば楽しさ倍増。そうでなくても、五月の連休等に行けば新緑も美しく、家族連れにも最高のレジャースポットだ(と思う)。

御陵は歴史的必然として、近畿地方に集中している。近畿に無いのは、香川県坂出市の崇徳天皇陵、山口県下関市の安徳天皇陵、淡路島(厳密に言えば近畿だが)の淳仁天皇陵、んで東京都八王子市の大正天皇陵と昭和天皇陵だけである。よって巡るすれば、やはり京都か大阪か奈良かを拠点として近畿地方を集中的に巡ることになる。

巡り方としては、歴代順に巡るというのが理想かも知れないが、そうすると行ったり来たりでかなり無駄が多いので、あまりお勧めできない。現実的な案は、地域ごとに参拝していくことだろう。ただやはり最初は神武天皇陵(橿原市)から始めたいところ。公共交通機関だけでは正直言ってかなり苦しいと思われるので、自家用車で行くのが最善である。細い道を行かねばならないことも多く、3ナンバーで行くことは出来れば避けたい。駐車場は実はかなりの御陵に設置されているが、何かの儀式用なのか普段はチェーンが張ってあって利用できないので、実質無いのと同じ。

御陵は山中に在ったりかなり細い道を通らねばならず、容易に辿り着けないことが多い。逆にどえらい都心に在ってびびることもある。御陵によっては、小さな立て札なり案内板が立っていることもあるが、基本的に参拝する人など滅多に居ないという前提に立っているものと推察される。近くの人に尋ねたりするのも妙案だが、近くに人が居ない場合すらもある。そういう場合は、ひたすら歩き回る羽目に陥るので注意しよう。でも、巡りまくっていると、そのうち鼻で探せるようになるから不思議だ。

御陵に到着したら、先ずは参拝しよう、と言うより参拝以外はあまりすることはない。中に入れる訳でもないし、鳥居の前までも行けない場合もある。古墳であれば一周してみるのがいい。本当は各御陵には詰所が在って、宮内庁の職員が詰めている筈だが、ここは概して無人の事が多い。陵印という記念スタンプみたいなものが各御陵にはあるが、よって貰えないことが多い。その他は宮内庁の立て札(前項参照)の指示に従おう。

最後に、御陵巡りに欠かせない一冊の本を紹介しよう。私を御陵巡りにかき立てたのもこの本である。歴史読本特別増刊『「天皇陵」総覧』(新人物往来社、\1,500)。各御陵の簡単な地図も載っているし、御陵のことがよく分かる珠玉の一冊。

余談だが、山本コータローとウィークエンドのヒット曲「岬めぐり」を捩って1人で「陵(みささぎ)めぐり」と称していたが、それは別にどうでもいい話。


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