そして入院〜出産〜旅立ち

 朝10:30入院準備をして、旦那と車で病院に行きました。
事が事なので、旦那の上司に話しをしてもらい、その後の事も考えて今日から5日間お休みをくれました。
自分も辛いだろうけど、奥さんをしっかり支えてあげろよ。と言われたそうです。
そのおかげで、ずっと一緒にいてくれました。
入院手続き後、ナースセンターへ・・・個室に案内されて、パジャマに着替えました。
お部屋に1人の看護師さんが来ました。問診表記入・体重計測・熱計測・血圧測定。
しばらくして、いつもの先生が来ました。
もう一度最後の確認・・ということで、もし息があった場合の確認や、今後のスケジュール説明でした。
たま4でも書きましたが、息があった場合、人によっては、見せないでほしいというらしい。
だけど、私達はどんな状況であっても絶対見せてほしい。ともう一度伝えました。

スケジュールは、今日の入院後と夜の2回に分けて、ラミナリアにて子宮口開大。
明日、プレグランディンという陣痛促進の膣剤にて死産とし分娩する。
痛みに対しては、麻薬等で和らげる。何も母体に異常が無ければ死産後2日後で退院できて、
以降外来で診察していく。なるべく痛みが和らぐようお手伝いします。
また心身の回復もお手伝いします。ご不安な点等ありましたらお気軽に声をかけてください。
という計画書をもらいました。

11:00 新生児がガラス越しに見える前の内診室に呼ばれました・・・仕方がないよね・・・
さらに最後の確認で、赤ちゃんの解剖の事を聞かれました。
解剖・・・はっきりとしたことが分かる。原因が分かったところで、当然生き返るわけじゃない。
ただでさえ、腎臓と膀胱が無いのに、これ以上傷つけたくなかった。
旦那も同意見で、絶対しないです。と答えました。
この先生は、無理やり解剖に持っていく話し方はしなかったです。
いろんな事を尊重して、意見を呑んでくれました。
      
このあと、この診察室でエコーをみることなく、ラミナリアを10本入れました。
ラミナリアを入れる時もこの入れる前の膣を広げる器具も痛かった。
今までで一番痛かったのは、採卵だったけど、これがこの時点で一番痛いものになった。
のちの陣痛出産よりも、これが一番痛かった。
ラミナリアは、1本がえんぴつの芯より少し細めぐらいの太さらしい。
一応、出血するので用意したお産用パットと産褥ショーツをする。
こんな風に産褥ショーツを使用することになるとは・・・
あとは、夜まで何もない。入れた時と、部屋に戻ってしばらくは、痛くて違和感があったけど、
その後は、割と普通だった。おなかの中では、たまの胎動を感じた。。。
ごめんね。ごめんね。苦しいよね。ごめんね。ごめんね。

実母も今日来ることになっていたけど、計画によると今日は来なくても大丈夫そうだから、
と電話で伝えた。明日の朝一で膣剤を入れて、3時間ごとに入れて、それでも陣痛がつかなかったら
日を改めて次の日からまた誘発するということだったので、明日の10時頃にでも来るわという事に。

面会時間がとっくに過ぎてても、祖母が入院した時も特に怒られることもなかった。
そういう融通が利くところも、選んだ原因の1つだった。もうとっくに時間が過ぎてたけれど、
幼なじみのRちゃんが会社帰りにわざわざ遠いところ1人で来てくれた。
21:00 同時に、内診室に呼ばれました。2回目のラミナリアです。
さっきの10本を抜く。痛すぎる。痛みに強い私でも、かなり痛い。そして今度は合計16本入った。
それを入れる前に内診するのがグリグリっとすごく痛い。けど、先生はごめんね〜とか、痛いよね〜
とか言いながら、今入るよー。とか実況しながら処置してくれるので、まだ助かった。
こんな時も、やっぱりこの先生でよかったと思う。
今晩、眠れるように睡眠薬を出しますか?と聞かれた。眠りたくなかった。たま との最後の夜になるかもしれない。
だから、眠りたくなかった。それに、普通妊娠中は、睡眠薬なんか飲んじゃいけない。
ただでさえ、これから辛い運命な たま にこれ以上負担をかけさせたくないから、断った。
今度は、さっきとは違ってめちゃくちゃ違和感あり。しばらくお腹が痛かった。

病室に戻り、Rちゃんが買ってきてくれたモロゾフのチーズケーキ&プリンを食べた。
お昼ご飯もそうだけど、こんな時にでも食べれる自分が嫌になる。
それでも、一応出産するのと変わりは無いから、きちんと食べた方がいいって看護師さんも言ってた。
Rちゃんが、もし火葬するなら私も一緒に行きたいし、会いたいと言ってくれた。
今までの経過は、事細かに全部Rちゃんにも話してた。
でも、どんな子が生れてくるか自分も分からなかったし、足がくっついてるかもとも言われてたし、
いくら幼なじみのRちゃんでも、それなのにいいのかな?と思い、確認した。
それでも、会いたいと言ってくれた。嬉しい。本当に嬉しかった。
持ってきてくれたプリンに占いがついていた。私の選んだプリンの占いには、「ささやかな願いが叶うかも」
と書いてありました。この場に及んで今更願いなんて叶うんだろうか?と神様なんていない!と思っていた私だったけど
「ささやかな願い・・・たま に生きてて欲しい。」とRちゃんと旦那の前で願ってみました。。。

明日朝膣剤を入れたとしても、すぐ陣痛つかないだろうから、ということで、旦那もも今夜は帰って
朝10時ぐらいにくることにして、22:00過ぎ、旦那とRちゃんは一緒に帰って行きました。
夜、なんだかうんちがしたくなる感じがずーっとした。
今、たま がおなかで動いてる。生きてる。朝の促進剤を入れたらお別れかもしれない・・・
通常の誘発分娩と違って、お母さん優先で考えてる膣剤だから強い。だから生きられないかもしれない。
と事前に先生も言っていた。一人ぼっちの夜。眠れない。夜中、授乳しに赤ちゃんを連れていく様子が何度もわかる。

しちゃいけない事なんだけど、携帯メールをしていた。深夜にも関わらず、Pちゃんがずっと相手をしてくれた。
不安な気持ちを沢山聞いてくれた。本当にあの時は、ありがとうね。(^_-)
そのおかげで、朝方4時ごろウトウト浅い眠りでしたが少し眠れました。

6:25 看護師さんが起こしにきました。6:30  内診室へ。
先生「寝れましたか。」  み「2時間ぐらい寝てあとは寝たり起きたりあと肛門が違和感あって。」
先生&看護師さん「あぁ〜そうだったんだぁ、眠れなかったんだね。寝てないね。肛門は、ラミナリアのせいでだね」
      み「あと、部屋が暑くて暑くて。夜中に窓開けてしまいましたが、大丈夫でした?」
先生&看護師さん「あ〜全然大丈夫だけど、宿直室みたいに乾燥するんだよね。」
なんて普通に話しをして気を紛らわせてくれました。
      先生「じゃぁまた痛いけど・・・頑張りましょう。」
      昨日入れたラミナリアを全部抜く。相変わらず痛い。グリグリ内診も痛い。そして、膣剤を1錠入れた。
これでお別れすることになるかもしれない。心の声「たま・・たま・・たま・・たま・・たま・・(T_T)」
この時が一番、辛かった。
先生 「通常の分娩は1錠いれないから、痛くなってきたらすぐ言ってね。3時間ごと一日5回までできるんだけど、
4回までやってつかなかったら明日またあらためてやりましょう。」

ラミナリアを抜いたせいか若干腰の重みやお腹のキリキリする痛みが消えた。
部屋に戻ったらあまりにも普通なので、歯磨きや顔を洗った。今日は天気がいいんだなぁ・・・
外では、普通に時が流れてる。自分だけ止まりたい。
救急車が頻繁に到着する。病院に入院するのは、今回がはじめてだった。凄いところだ。
これから生きようとする人・生きられなかった人。自分が幸せな時間でも、どこかに悲しみの底の人がいる。
そんなことを朝からボーッと考えていた。
それもつかの間、なんだかだんだんおなかが痛くなってきた。7:05頃から痛い。
また肛門に違和感。うんちがしたい感じになってきた。トイレに行ってみよう。
うぅ〜出ない。なんか違う。痛い。結構出血してる。
一度ナースステーションによって、痛いと伝える。どんな感じか聞かれる。
 もう一度トイレにいく。少しうんちが出た。でもすっきりするどころか結構出血した。
そしてお腹腰全体が痛くてそろそろ歩きでまたナースステーションに行った。
気持ち悪くなってきて、吐きそうだったので、いざというときの吐き道具を持ってきてもらった。
1人で部屋へ戻る。どうしよう・・旦那に少し早めに来る様に電話したほうがいいのかな?
と思い携帯メールをしようとした直後、急に激しい痛みが襲ってきた。
痛い!痛い!ベッドの上にのったが、正座することしかできない。
      なんか駄目かも!お腹全体が痛い。これが陣痛なの??普通何分間置きなんじゃないの??
さっき膣剤入れたばっかりじゃん?何なのこの痛いのは?!おなか全体が痛い!
動けなくなって、ナースコール押したら、急いで二人きてくれた。なんか出そう。
そして部屋のベットの上で、看護師さんが内診。「開いてるね。分娩室いこ。先生呼んで。」
支えられてなんとか分娩室まで歩いた。「え?もう出ちゃうの?あとどれぐらい?」
看護師さん「ん〜もうすぐかも」   
み「えっ!本当?だんな家にいるのですぐ電話で呼んでください!」といいながら分娩室へ移動。
スリッパ脱いで入る。幸い他の出産の人と重ならなかった。
今度はがたがた震えが止まらない。痛くて分娩台に登れない。
合間にやっと登れた。登れたかと思ったらまた痛くて、正座しか出来ない。
正座したまんま、震えが止まらない。歯がガタガタする。こんなことってはじめて。
吐き気がきて3回ぐらいもどしてしまった。と同時に出てきた感覚。
先生は、まだ来てない。看護師さん達は、1人は電話、1人がバタバタと準備してる。
一瞬だけど分娩室で1人になった。
「出ちゃう出ちゃうどうしたらいい?いたーいっ。間に合わない。どーしよう。」と怖くなって叫んでしまった。
そしたら、すぐ助産師さんがかけつけてくれた。急過ぎて、準備もバタバタ進んでく。
点滴なんかする暇も無かった。当初、言ってた痛みを和らげる麻薬みたいなものも使う暇が無かった。
やっと正座から、寝る体勢に出来た。足が開けない。痛い。
呼吸法の本は、読んだけどそんなの試す余裕もない。 み 「どうしたらいいの?分からない〜!」」
そしたら助産師さんが呼吸を指導してくれた。
「大きく深呼吸してごらん吸って吐いて吸って吐いて。そうそう、普通に呼吸していいんだよ。自然に自然に。」
そしたら震えが少しやんだ気がした。 み 「なんかもしかして出てる?出てる?」
 ばたばたと用意しながら、助産師さん 「うん大丈夫だよ〜自然に自然にね。ふーんって。」
メリメリって出てきてる。うーん。うーん。痛い痛い!たまぁーっ。パパ間に合わないよ。うーん。うーん!!

 み 「あ・・・・あっ出てきたみたい?産まれた?」 ・・・・しーんとしてる・・・・「死んじゃってるの?」
男の子?女の子?かずきち間に合わなかった。出ちゃった・・・先生がすぐついた。
 先生「ダッコする?」  み 「はい」 水色の紙に包まれて右腕にだっこさせてくれた。
 助産師さん「はい。女の子ですね〜。おかあさんですよ〜。」
み 「わぁ〜少し黒くなっちゃってる(T_T) ほんとだ!女の子だ!小さいけど、ちゃんと赤い膣が出来てる。
ホワホワまだ暖かい!あ!動いた!ピクピクって!先生ぃ〜〜」
先生「うん。頑張ってる。」何もしてあげられないだけに、悲しそうな顔をしながら、その後出てきた
胎盤の処置をしてくれてた。胎盤が出てくる時、痛かったけど右手に たま をダッコしていたので、
力を右手に込めないように必死だった。でも、そんな痛さは、たまのおかげで感じない。胎盤は、無事綺麗に出てきた。

生きてる!あ!泣きそうに口あけて息が出た!あ!ぴくぴくって!ちっちゃい。
けどお顔も手も足もちゃんと全て出来てる!足もくっついてない!目は開いてないけど、
まぶたを触ったら黒目と白目がちゃんとみえた。黒目がちなお目目だった。
口をあけたのは、3回きり。泣き声は、聞こえなかったけど、私には息の音がした気がした。
どんな声していたのかな?おめめ開けるとどんな顔してたのかな?

 たま。ママですよ。おはよう。ごめんね、でもありがとう。大好きだよ。
小さい指に人差し指をつかませた。ギュッと握り返しはしなかったけど、しっとりしてる感覚がギュッとされてる
気になった。お口も可愛い!こんなにしっかりしてるのに・・・腎臓が無いの?
お口からあぶくが出た。まだ生きてるんだよね?苦しいよね?怖いよね(T_T)
ママここにいるよ。1人じゃないからね。頑張れ頑張れ!パパ急いできてるからね。たま頑張れ!
助産師さん「おぉ〜いい子だね、頑張りやさんのいい子だね。頑張れ頑張れ!」
一緒に励ましてくれた。

旦那到着。家が近くて本当に良かった。
「パパきたよ。良かったね たま。良かったね たま。パパですよー。」
旦那、助産師さんの指示で、エプロンみたいなのをつけさせられてる。
旦那の顔が見れた。右腕にダッコしてる たま の方みてる。
み「ごめん。生れちゃったよ。出ちゃったよ。間に合わなかったよ。我慢できなかったよ。」
旦那 「わぁ〜〜たまぁ〜〜(T_T)」涙いっぱいたまってる。
私は悲しいながらもまだこの頃は、会えた喜びの方が大きくて涙が出なかった。
み「パパだよ たま。あったかいの生きてるの息したの。女の子だったよ。」
パパ初めてのだっこ。たまは、 まだ暖かい。口のあぶくもまだしてる。生きている(T_T)
 み「冷たくなっちゃうから、パパに暖めてもらいなね。パパは暖かいんだよたま。」
み「女の子。鼻がでっかい。福耳だよぉ。手もおっきい!そっくりだね。」 旦那にそっくりな女の子だった。
そして、二人で交互にダッコしている間に、冷たくなっていきました。。。
振りかえると30分ぐらいきっと頑張って生きた たま。。。

 助産師さんも涙してた。ここで、はじめて私も泣けた。
み「ごめんね。こんな出産に・・・でも泣いてくれてありがとう。」
「いいえ、本当にいいお産に立ち会えてよかったです。」
「かわいい顔してるねぇパパとママにだっこされて嬉しいね。」
胎盤を見せてくれました。へその緒と共に、健康な胎盤だという事でした。

朝の光がそそぐ分娩室に旦那と たま と3人きりにしてくれた。
小さいだけで、普通の赤ちゃんが眠ってるみたいだよね。
これでよかったのかな?怒ってるかな?もっとお腹にいたかったかな?
いろんなお話を3人でした時間。二人でいっぱい声かけた。
ごめんね。ごめんね。怖くないよ。一緒にいるよ。ダッコしてるからずっとダッコしてるから、
ゆっくり眠って・・ネンネしようね。二人交互に たま に何度もキスをした。
死んでしまってるけど、本当に可愛い。普通の人から見れば、変な行動かもしれない。
この幸せな空間。死んでも忘れない。

しばらくして、実母が到着。
見た瞬間「わぁ〜〜かわいい〜かわいい〜かっわいい〜」
だっこした。「まだ少しあったかいよ。かわいい〜〜かわいい〜」
嬉しかった。嬉しかった。かわいいんだ、かわいいんだ。

 たまありがとう。生きて会えたね。昨日のママのささやかな願いが叶ったよ。
本当にうまれてきてくれてありがとう。 たま が頑張ってくれたからだよね。
あっという間に出てきてくれてママ思いのやさしい たま。
でもそのおかげで たま と会えた。もし、これがなかなか陣痛がつかなかったら?
何回も薬を入れていたら?生きて会えなかったかも・・・腕の中で息を引き取れなかったかも・・・
頑張ってくれたもんね たま。 散々、検査したり不安にさせて・・・ごめんね。
本当にパパとママの誇りだよ。宝物。子宝というけどほんとだね。
こんなに たま は、パパとママを幸せな気分にしてくれてるのに、たま には何もしてあげられなかった。
許してね。許さなくてもいい。でも、一生絶対 たま はパパとママの大切な子供だよ。

朝日の中の分娩室ででたまとパパとママの2時間ちょっとの空間、辛いながらにとても幸せだった。
だんだん冷たくなってきてしまったけど たま は、やさしい顔してた。
ほっぺたの感触、今でもしっかり覚えてる。絶対忘れない。
7:40に入って、47分に生れた たま。 本当に小さなパパ似の女の子。
もっと小さいと思ってたけど、皮膚もしっかり育ってくれてました。
羊水過少の影響を体に受けずでてきた たま。ママは嬉しいよ。
 大事に大事にお腹をぶつけないように圧迫しないように育てた。脂肪の助けもあったかな?(>_<)

その後、白いバスタオルに包まれパパに抱かれて、助産師さんと先に病室へ行きました。
廊下で、他の妊婦さんとすれ違わないように・・・
その後、私は熱を測り、あんまり覚えてないけど、確か?筋肉注射をしたような?
早い展開で、下着も借りてたパジャマも血だらけで、着替えさせてもらいました。
私も分娩室から出て助産師さんに手を引かれながら普通に歩いて、旦那と たま のいる病室へ戻りました。・・・