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2015/08/05 Seleaf 映画映像コーパスで学会賞受賞



外国語教育メディア学会(LET)第55回(2015年度)全国研究大会で、田淵が開発した映画映像コーパス・Seleafが学会賞を受賞した。

この学会賞は、会員のより一層の研究・実践活動を奨励し、質的向上をはかるため、顕著な研究実践活動の業績に対し顕彰を行うためのもので、学術賞、新人奨励賞、教材開発賞、授業実践賞、論文賞の5つがある。今回は全国から3名が新人奨励賞、教材開発賞、論文賞受賞をそれぞれ受賞した。

LET竹内会長(左)から記念の賞状を受け取る田淵

このうち田淵が受賞したのは教材開発賞(LET Award for Distinguished Materials Development)である。

受賞対象の「映画映像コーパス・Seleaf」は、映画からキーワードを含むシーンをピンポイントで検索して音映像を再生するウェブ・アプリケーションである。2011年に公開し、以来大学や児童英語などで活用しつつ、改良を重ねてきていた。

Seleaf 公開を伝えるニュース記事


学会賞受賞をうけて喜びの言葉

学会賞受賞を受けて、田淵の喜びの言葉がLETニューズレター第96号に掲載された。




セリーフ学会賞受賞と LETと 私

田淵 龍二 (ミント音声教育研究所)

2015年度LET学会賞を頂戴して印象深いことが3つある。一つ目は懇親会での受賞スピーチ。3つのことを手短に話させていただいた。まずは受賞作品の紹介。英語表現が使われる現場を手軽に体験できる映画映像検索サイト・セリーフ(http://www.mintap.com/)を10年かけて作ってきたこと。次にお礼返し。セリーフはオープンサイト(無料)だが、より高度な機能が使えるオプション(有料)のライセンスを希望者に無料で提供すること。最後に「世界で闘う」と言うより「世界とつながる」ための英語教育に役立つとうれしいことをお話して締めくくった。うまく伝わったか不明だが、降壇してすぐに福岡大の大津先生が「ライセンスのサービス券」を求められた。作ったものを受け入れてくれる人がいることほどうれしいことはない。お酒も入って笑顔満面で近づいてこられた先生のお顔は一生忘れないだろう。

二つ目は全国大会(大阪)終了後のこと。例年は小包で配送してくれると言う賞状を手に提げて持ち帰った。背中に着替えとパソコンが入った大きなリュック、左手に大阪のお土産、そして右手に賞状。縦横45×60のガラス製だ。郷里の岡山経由で群馬まで、手提げの細い紐を手に食い込ませながら1000Km持ち運んだ重さの刺激が感謝の気持ちを大きくしてくれた。と言うのは大学人でない私にとってLETでの10年余の居心地は複雑だったからだ。大学中退後予備校での教壇経験はあるが、教育機関に籍はない。賛助会員になるほどに事業を手広くしているわけでもない。そんな私が発表をすると「業者の宣伝だ」と言う声が聞こえてきたこともある。めげそうな心を支えてくれたのが関東支部の神田先生や湯舟先生、同志社の故北尾先生など多くの先生方だった。手に食い込む賞状額縁の重さが、うれしい思いとして刻まれた。

三つ目はワークショップのこと。大震災と原発爆発と同じ2011年に公開したセリーフは、東京(2013)、福岡(2014)とアップデートしながらワークショップを行ってきた。それが今回の大会では実現できなかった。会場にコンピュータ教室を確保できなかったことが理由だと後で知らされた。私がLETに入ったばかりの頃は授業実践の様子が目に見えるような発表がたくさんあってとても刺激を受けた。最近は統計数値の方が前に出ていて、肝心の先生や生徒の顔がかすんでいるように感じる。研究と実践のバランスをもう少し実践にシフトすることが、研究の奥行きを広げ、学会活性化の一助にもなると思いつつ、来年(2016)の全国大会(東京)ではワークショップを実現するぞと意を固くした授賞だった。

実は次回のワークショップはセリーフではなくトーキーズを取り上げようと思っている。これはTED-Talksのビデオを字幕つきで手軽にセリーフ並の教材として使えるオープンサイト(http://www.mintap.com/talkies/)だ。この発想は、全国大会(大阪)での東先生の発表「SRT形式の字幕編集を活かしたダイナミックな動画教材の作成」を拝聴しているときにひらめき、帰りの車中で設計した。

LETはわたしのエネルギーの源泉である。とても感謝している。