2009年 8月 外国語教育メディア学会(LET)第49回 全国大会(神戸)
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流通科学大学 キャンパス(左)と北野天満宮からの神戸の夜景
■日程 | 2009年8月4日(火)〜6日(木) |
■場所 | 流通科学大学(神戸) |
外国語教育メディア学会(LET)第49回 全国大会(神戸)において、ミント音声教育研究所は、以下の3本の共同研究発表実践報告をおこなった
- 脳活性化研究
- 速読研究
- 小学校英語
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表題 | : | 英文速読プログラムによる学習時の |
| | 脳血流量変化に関する予備的研究 |
発表者 | : | 湯舟英一(東洋大学) |
| | 神田明延(首都大学東京) |
| | 田淵龍二(ミント音声教育研究所) |
時所 | : | 8月5日 13:30 〜 14:00 6301教室 |
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発表要旨 | : | こちらへ |
発表要綱 | : | ⇒ |
発表会場 / 講演者は湯船先生
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本発表は、平成19, 20年度科学研究費基盤研究(C) 「英文読解速度と読解効率を向上させるCALLリーディング教材の提示法に関する研究」(研究代表者、神田明延)の一部として、2008年10月から2009年1月にわたって筆者らが行った光トポグラフィー(ETG-100、日立製作所製)による予備実験の結果に基づくものである。
予備実験では、大学3年男子1名と大学4年女子1名(いずれもTOEIC 350点程度)に対し、英文提示ソフト「プレーヤーミント」(開発者:田淵龍二、特許第3549195号)を使用し、PC画面上で次々に英文チャンク(音声的・意味的処理単位)を読んでいく訓練を、週1回10分程度、計11回実施した。その際、彼らの脳の左側頭葉後部の角回と緑上回(いずれもウェルニッケ野、ブロードマンの脳地図39野と40野)を中心とした部位の血流量の時系列変化を記録した。それらの部位は言語理解に深く関与しており、とりわけ後頭部の視覚野で処理された文字言語が理解に至る過程で活性化される部位であると言われている(大石, 2006; 萩原, 1998)。なお、測定にあたっては10-20法に基づき、左側頭葉を中心として9本のプローブを使用、計12チャンネルを毎回被験者の同じ箇所にセットした状態で行った。
プレーヤーミントの字幕シンクロナイザー機能により、
チャンクが順に表示されては消えていく
筆者らは、これら言語野の血流量が訓練するにつれて構造的変化を認めるか否かというマクロな課題と、実験に使用したテキストの特定のチャンク処理時に一時的な血流量の変化を認めるか否かというミクロな課題について、ミントプレーヤーの学習履歴および光トポグラフィーの酸化/還元ヘモグロビン量の時系列データを対応させて分析を試みた。
今回の予備実験の目的は、2名の被験者の血流量変化データに対する量的・質的解釈を通して、本実験実施の意義を検討することと、言語処理プロセスの光トポグラフィーによる可視化が、我々の求める情報をどこまで再現できるかという方法論上の検証である。結果の詳細と考察については当日発表する。
参考文献など
- 萩原裕子(1998)脳にいどむ言語学 岩波書店
- 大石晴美(2006)脳科学からの第二言語習得論 昭和堂
- 速読用プレーヤーミント フラッシュメモリに自動計測用プレーヤーミントを搭載(開発者:田淵龍二、特許第3549195号)
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表題 | : | ソフトウェアのチャンク提示法による速読訓練の効果 |
| | 速読訓練の効果 |
発表者 | : | 神田明延(首都大学東京) |
| | 湯舟英一(東洋大学) |
| | 田淵龍二(ミント音声教育研究所) |
| | 鈴木政浩(西武文理大学) |
時所 | : | 8月5日 15:15 〜 15:45 6204教室 |
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発表要旨 | : | こちらへ |
発表要綱 | : | ⇒ |
発表会場 / 講演者は神田先生
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本研究者グループは、3年ほど前より特定ソフトウェアを使い、チャンク区切りをした英文の提示方法を工夫することにより読解効率を高め、速読能力の向上を図ってきた。その成果はすでに過去2年間の全国研究大会において発表してきた。使用したソフトウェア(「プレーヤー・ミント」開発者:田淵龍二、特許第3549195号)は英文をチャンク区切りで表示し、また読み上げ音声と同期することで、速度を調整して、速読訓練ができる。しかもここで重視したチャンク区切りの提示方法を変えられる。
これまで主に検証してきた提示方法の種類としては、1)空白に英文チャンクが順次現れる、2)空白に英文チャンクが現れては、消える、3)全文表示された状態から英文チャンクが順次消えていく、である。その内、2)が学習者にストレスはかかるものの、有意に速読能力向上を示す読解効率を高められた。
その実際の処遇は提示法ごとに実験群と統制群を組み複数教員によって速読訓練をプレテスト、ポストテストも含め、実施してきた。その訓練とは、成績下位クラスの半期12〜13回の各授業において、開始時のウォームアップとして5分程度、上記ソフトウェアを用いて今期はチャンク長を変えた実験群と統制群で処遇を行った。この結果をT-検定にかけて、短いチャンクの実験群が優位な伸びを顕著に示した。
このように、短い時間の処遇訓練であっても、習慣化することにより読解効率を高める速読訓練は、ソフトウェア上で可能であることが分かった。また情意面における内省アンケートも踏まえ成果を報告したい。この成果は今日様々なe-Learningの速読教材が氾濫する中で、効果的な英文提示方法を提案しているものと確信する。(本研究は平成20年度科学研究費基盤研究(C)による)
参考
- プレーヤーミント(特許 3549195)をCALL教室で利用
- 2009年度からは、音読による字幕リスニング効果を検証する速読研究(科研費)を実施
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表題 | : | 小学校英語における文字導入のすすめ |
| | −−電子教材が切り開く識字教育 |
発表者 | : | 田淵龍二(ミント音声教育研究所) |
| | Mike CANEVARI(MY English) |
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時所 | : | 8月6日 13:00 〜 13:30 6205教室 |
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発表要旨 | : | こちらへ |
発表要綱 | : | ⇒ |
発表会場 / 講演者はマイク先生
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キーワード
- 義音字一体、電子黒板、識字教育
- Simultaneous Learning of Voice, Picture and Text、Electronic Board、Phonics
一斉授業と個別学習を融合させるソフトウェアとコンテンツ(2005年6月第115回LET関東支部大会)、マルチメディア(画像、音声、文字)の自在な活用手段を提供する研究開発(同年7月第45回全国大会)、映画のシーンを利用した発話練習(2006年6月第116回関東支部大会)、映画のシーンを利用した動画フラッシュカード(同)、映画を使った語学学習/映像、音声、字幕、ト書きのデータベース研究開発(同年8月第46回全国大会)、気持ちを伝える会話表現/映画データベース開発(2007年6月第118回関東支部大会)、映画を使った語学学習(同年8月第47回全国大会)、フォニックスライムによる英語発音訓練の有効性(2008年6月第120回関東支部大会)、Phonics Rhymes(同年8月WorldCALL2008)、電子黒板を利用した小学校英語授業の諸要件(同年10月第121回関東支部大会)と段階的に開発研究と教育実践を積み重ねてきた。
これらを通して、電子教材が自在に提示するリズミカルな音声と、その音声の意味情報としての文字や絵(映像)により創出される仮想現実が認知効率を高めるとともに、ネイティブスピーカーが体得してきた母国語と同様の課程を「義音字一体」として実現し得ることを、実践的に示してきた。
今回は、焦点を音声から文字に移す。
すでに2007年秋から実践してきたフォニックスライムによる音声重視の識字教育(対象は200人余りの児童と10数人の社会人)を、小学校英語での識字教育(文字導入)の観点からレポートする。
英語が必修化された小学校の現場では、いまだに「文字の導入が英語嫌いを増やす」と言う迷信が幅を利かせ、熱心な教員に無用な圧力となっている。
時音義一体の提示を可能とする電子教材を利用することにより、文字に対する認知能力を急激に獲得しつつある小学生の各学年において、かれらの学習意欲に応え、文字習得を促進する可能性と現実性を理論と実践の両面から示す。
利用機材
- 音声(ボイス)と文字(スクリプト)を同期させて提示するシンクロナイザー = プレーヤーミント(特許 3549195)搭載m-Boxed
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参考
⇒ニュース記事
各種学会での活動のトップページへ
Site:http://www5b.biglobe.ne.jp/~mint_hs/let/
ミント音声教育研究所のトップページへ
Site:http://www5b.biglobe.ne.jp/~mint_hs/
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