復 刻 |
George Braith |
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George Braith が日本で活動していたら、所属事務所は間違いなく吉本であったはず。なんたってこのアルバムのタイトルは、「お笑いの精神」ですから。お笑いと「お」が付くと随分とコメディ・タッチになりますが、実際には「音楽は楽しいもの」ということがテーマとなっているのでしょうね。
ジャケットの写真も洒落たもので、湖の辺と思われる雑木林の中で、二丁拳銃のようにサックスを腰に挿したもの。パーソネルのクレジットを見ると、テナーと共にCメロディサックスの記載もあるのです。Frankie
Trumbauer が演奏したことで有名となったCメロディサックスは、この当時は既に生産中止となり希少価値が出ていたはずです。もし、腰に挿しているのがCメロディサックスだとしたら、George
Braith という男は実に大胆と言えます。
ドラマーの小林陽一さんとの親交もあり、何年か前には来日していたんですね。う〜ん、知らなかった。 |
復 刻 |
Trudy Pitts |
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あまりにも怪しい雰囲気のジャケットですね。女性オルガン奏者の Trudy Pitts のデビュー作となるこのアルバムは、本来であれば忘れ去られてもおかしくない作品ですが、Pat
Martino が参加しているため再発されるのです。この作品の直後に Pat Martino は、Trudy Pitts を迎え、プレスティッジにリーダー作を録音します。当時は、行動を共にする事が多かったのでしょう。
オルガン奏者を多く輩出している、フィラデルフィアの出身である彼女は、いわゆるコテコテ系のオルガニストではありませんし、ベースラインを弾くのもさほど得意ではない様です。故に、曲によってはパットがベースラインを担当しながらコードを刻んでいる場合があり、面白い感じに仕上がっています。オルガニストの小野みどりさんに聞いた話しでは、ベースラインは主に左手の担当。フットペダルは演奏にアタックを付けるために用いるそうです。
当時のポピュラーソングのヒット曲を取り入れたりボーカルを披露してくれたりと盛りだくさん。1967年といえばフリージャズの嵐の真っ只中。対極にあるボップなジャズは後のクロスオーバーにも繋がるものと言っても良いでしょう。 |
店 頭 発 掘 |
菊地雅章 |
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渡米前の菊地さんのグループはツイン・キーボードにツイン・ドラムという構成という特異なもの。複雑なリズムによって組み立てられた空間をぬうように峰厚介さんのサックスが暴れまくります。Electric
化されだした頃の Miles Davis のグループから大きな影響を受けているのではないでしょうか。 この Poo-Sun は、今から25年以上前の作品ですが、今でも全く色褪せていない作品です。
しかしながら、70年代初頭の日本フォノグラムへ録音した作品は殆どが入手困難の状態にあるのは残念なことです。渡米直前に残した End For The Beginning は、あまり注目されてはいないようですが、日本のジャズ史においても重要な作品だと思います。このアルバムはCD化されたことがあるのでしょうか?
おそらく当時の Philips/日本フォノグラム などの版権は、現在ユニバーサルが所有している筈。何とかしてくれませんかねぇ。
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店 頭 発 掘 |
Henry Cow |
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Henry Cow はケンブリッジ大学時代に知り合った、Fred Frith と Tim Hodgkinson が中心となって結成されたユニットで、デビューはなんと
Pink Floyd とのジョイントコンサートだったそうです。アバンギャルドなジャズからの影響が大きいのですが、断片的に見るとポップな一面も見えてくる不思議な音楽と言えるでしょう。そういった一面は、後期の
THE BEATLES や King Crimson 辺りにも通ずる点があるのではないでしょうか。
この Henry Cow のアルバムは思い出した頃に再発されるという感じで、タイミングを逃すと購入しづらい状況にある様です。私も、この辺りの音楽は常日頃チェックをしている訳ではなかったので、購入のタイミングを失っていました。中古で購入したのですが、私が購入した East Side Digital 盤のミックスはあまり人気がないものであるようですね。(リバーブの処理が強くなったり、オーバーダビングも行なわれているようです。)
Henry Cow の解散を機に Fred Frith は活動の地をアメリカへ移します。それからの活動は、ジャズファンの方々も良くご存知ですよね。私はどくとる梅津バンドとの共演が印象に残っていますが、ベーシストとして参加した
Naked City での活動も印象深いものがあります。 |
復 刻 |
Barbara Dennerlein |
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ドイツのオルガン奏者 Barbara Dennerlein の比較的初期の作品で、彼女のプライベートレーベルである BEBAB に残された、ミユンヘンのジャズクラブに於けるライブ盤です。
この作品は、以前にレコード屋の店頭でタマタマ見つけたアナログ盤を購入し愛聴していたもの。まさか、この作品がCDで手に入るとは!今回、この作品をリリースしたのは究体音像製作所というところ。一般的に流通には乗っていないかも知れませんが、店頭でオーダーするかネットで購入する事ができるはずです。
で、当時無名だった Barbara Dennerlein のこの作品を何故購入したかといえば、先ずジャケットのカッコよさです。ジャズのアナログ盤の棚
(いわゆるエサ箱ですね) からこの作品が出てくるとツイツイ手に取ってしまうのは私だけではないはずです。
手に取ってジャケ裏を見て今度はビックリ!何とアルトサックスの Allan Praskin が参加しているではないですか! Allan Praskin
は、知名度が高いとは言えないミュージシャンですが、70年代の日本のジャズをこまめにチェックしている人であればTBMに残した作品 Encounter
は聞いたことがあるでは?ジャケ写の見た目は随分と雰囲気が変わっていますが、20年近い歳月が過ぎているので当然と言えるでしょう。
このアルバムをきっかけに Barbara Dennerlein を追いかけることになった作品であることに違いはありません。
Allan Praskin はこの後、ピアニストの Larry Porter と双頭カルテットを結成。ENJA へ録音を行ないます。 |
復 刻 |
Hal Galper |
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Bob Shad が興した Mainstream と言うレーベルは、少しばかり怪しげな作品もリリースしていましたが、当時のジャズを的確に伝えていたレーベルと言えるでしょう。しかし、CDの時代になってからはあまり復刻されなかったのではないでしょうか。George
Adams や Marvin Peterson が参加している Roy Haynes の Hip Ensemble あたりもCD化が未だだと思うので、是非ともCD化して欲しいですね。
この作品では、後年には珍しくなった Michael Brecker のソプラノサックスのフル・スロットルの演奏を聞くことが出来ます。メインの持ち替えの楽器として AKAI EWI の前身である Styner Horn に出会う1980年代半ばまでは、持ち替えの楽器としてソプラノサックスやフルートも多かったはずです。
アナログ盤の印象は「音悪っ!」といった感じで、演奏の内容よりもその音の悪さが強いものでした。今回のCD化では、そのような印象は受けません。そして、もっとジャズロックっぽい演奏だと思っていたのに、意外にもジャズ寄りの演奏だったのですね。
この作品は Hal Galper のデビューとなる作品ですが、エレクトリックピアノを弾きまくるのは、この作品を含め初期の頃のみ。後に ENJA
へ録音を行なうころには、エレクトリック路線を邁進するプレッカー兄弟がメインストリーム路線で演奏する数少ないユニットとなるのです。
それにしても、ゲリラ・バンドとは凄いタイトルをつけたものです。 |
発 掘 盤 |
Charles Mingus |
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1964年春の Charles Mingus の欧州への楽旅は、Eric Dolphy を含む豪華なメンバーで Charles Mingus
の活動においてのピークにあったと言えるものです。その多くは発掘されリリースされており聞く事が出来ます。これらの中では、パリにおける録音は古くから
America30 によってリリースされていましたが、二日間のコンサートが収録されており、曲の途中でレコードの面が替わる際に異なる日の演奏が収められていた様な記憶があります。しかも、初日のコンサートでトランベッターの
Johnny Coles が倒れるアクシデントもあり、何となく中途半端なイメージを持った作品なのです。それ故に名盤という評価を受けているにも関わらず聞く機会が少ない作品です。
この作品は、Mingus のグループがヨーロッパに旅立つ直前に、ニューヨークのコーネル大学に於いて録音されたもの。ディスコグラフィーにも記載されておらず、テープの存在自体も知られていなかったものです。奥さんであった
Sue Mingus によって発見されたらしいのですが、若干テープがヨレタ感じな音がする部分もありますが、全体的な音質は問題無く、当時のグループの凄さがひしひしと伝わって来るのです。
六人のメンバーが揃った演奏は Johnny Coles の戦線離脱により、海賊盤等を追いかけないとあまり聞く事が出来ないために、この新たなる発見はとても嬉しいものです。
しかし、こんなに凄い演奏が今頃になって発掘されるとは...フロントの3人はともかく、Jaki Byard のピアノが本当に凄いことを改めて認識させてくれました |
復 刻 |
山岸潤史 |
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8月に山岸潤史さんの初期のアルバムが紙ジャケで再発されました。
私が山岸潤史さんを知ったのは、関西のブルースが異常な盛り上がりを見せていた時に、その代表的グループの West Road Blues Band
のギタリストとしてでした。しかしながら、既に山岸さんは West Road Blues Band を脱退しており、サックスとキーボードを新たに迎えたグループとなっていました。
West Road Blues Band を脱退した山岸さんは、確か短期渡米し、帰国後にスーパー・バンドを立ち上げます。そのバンドが進化して
Sooo Baad Revue となるのですが、その存在を知った時は既に解散していました。当時はインターネット等無い時代。情報はすんなりとは伝わって来なかったんですよね。
その後関西で様々なセッションを行っていた山岸さんは上京。聞くところによると、ライブハウスに出没しては色々なグループに飛び入りしていたそうです。Pit-Inn
は常連だったようです。
これらのアルバムは、ソロ作品としてデビュー作と2作目なるもの。バックスバニー系やフュージョン系の人脈をフルに動員したもので、本格的に上京する前の録音だと思います。おっと、シュガー・ベイブ系のミュージシャンも参加していますね。
アルバムの作りとしては、どちらかと言えばファンク寄りのロックといった雰囲気でしょうか。ゲストに英国のジャズ・ロックのフィールドで活躍していた
Gary Boyle を迎えてのギターバトルも聞かせてくれています。 |
復 刻 |
山岸潤史 |
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復 刻 |
MYX |
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ということで山岸潤史さん関連の Invitation からの復刻盤の最後は、Myx のアルバムです。残念ながら Myx が残したアルバムはこれのみ。
Myx は、ボーカルに Joseph "Thunder" Wells を迎え、女性コーラス兼ボーカルが二人という編成。しかもそのうちの一人は
Lazy Hip のボーカリストとして活躍していた岩本千秋さんです。ということでこのアルバムはリアルタイムでアナログ盤を購入しました。
ダンサブルな曲の間に美しいバラードが挿入されており、ディスコ(当時はクラブなんて言いかたはしていませんでした。)で踊るのに最適なアルバムといえます。
ホーンセクションもジャズ系のミュージシャンを中心に固められており、岡野等さんの Miles Davis のようなミュートによるソロや、沢井原兒さんのムーディなソロも楽しめます。
男女混声のボーカルが入った編成はどうしても石田長生さんが率いていた The Voice And Rhythm を思い出すのですが、少しは意識したのでしょうか?ただし
The Voice And Rhythm が、砂川正和さんの大阪弁による歌が少しコミカルか雰囲気を醸し出していたのに対し、Myx は黒人の "Thunder"
Wells というホンモノ指向。
山岸さんは、Chickenshack から Band Of Pleasure と更に本物への指向が強くなり、とうとうニューオーリンズへと移住してしまうのです。 |
復 刻 |
West Road Blues Band |
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塩次伸二さんと山岸潤史さんという二人のギタリストを配した West Road Blues Band のデビュー作。ここでは、T-Bone Walker
ばりのギターを完全にものにしている塩次伸二さんがメインでソロをとっており、山岸潤史さんは2曲のみでソロをとるだけです。まさかソロを取らせてもらえないから山岸さんはグループを脱退したという訳ではないでしょうね。この時点での山岸さんは、まだまだ発展途上中のギターで、個性を発揮するには至っていません。First
Time I Met The Blues でもスクイーズな泣きのソロを聞かせてくれますが Buddy Guy には敵いませんね。
The Coasters の Yakety Yak のみ二人のソロが聞き比べることができる曲。ここではいい勝負をしていますが、シャッフルっぽいこの曲でも塩次さんはいい感じのギターを聞かせてくれていて幅広いスタイルを持っていることを示しています。。 |
復 刻 |
West Road Blues Band |
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私の場合アナログ盤はこのライブアルバムの方を先に購入しました。それまで聞いていた音楽はフォークやロックが中心で、ブルースのアルバムとして購入したのは、このアルバムが初めてでした。
高校の同級生から借りた B.B.King のライブ盤を聞いてブルースに興味を持ちレコードを買おうと悩んでいた時にラジオで放送されたライブを聞いて「コレだ!」と思い購入したのです。
二枚目となるこのアルバムでは、山岸潤史さんは既に脱退し、キーボードの井出隆一さんとアルトサックスの薩摩光二 さんが加わっています。
ブルース一辺倒という訳ではなく、R&B寄りの曲やジャズの曲まで演奏しているのです。
Oscar Peterson の「自由への賛歌」を取り上げているのですが、この曲がきっかけで私はジャズにも興味を持ち始めたのです。
色々なブラックミュージックを取り上げているのですが、やはり最大の聞き所と言えば、塩次伸二さんの T-Bone ライクなギターと言えるでしょう。もっと、当時は
T-Bone なんて知らないので、後から聞いて「ナルホド!」と思ったりしました。 |
これらの文章は、既発表のブログから引用しています。というか、そのまんまですね。(^^;) |