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写真伝心 10  景色はだれのもの 前ページ 次ページ 
 右の写真を撮っていたらはるか後ろから声がかかり、「写真を撮っているから邪魔だ」ということでした。この辺りは公園になっていて、私のいた場所は芝生で、声の主は芝生のはずれに座っていて三脚を立てていましたが、写真を撮っている様子はなく、何かを待っていたのかもしれません。

 写真を撮っているとこういう場面にはたびたび出会います。特に広い風景を撮ろうと言う人に、このような人が多いのですが、勝手に自分の領域を決めて人を立ち入らせないようにしようというのは困ったことです。写真を撮っている人のすぐ前を邪魔するのはよくありませんが、どこにいるか分からないようなところから声がかかると素直に場所をゆずる気になりません。

 以前にこんな話を聞いた事があります。ある写真家が撮った名所の絵はがきには、どれも人が写っていないので、だれかがどうやって撮るのかと聞いたところ「気長に待てば必ず人が途絶える時がある」との答えだったそうです。

 あるとき写真を撮っていたら、いつの間にか後ろに撮影会らしいグループがきて場所をあけるように要求されました。グループの強みか他の人にも強圧的で、腹立たしい限りでした。「こちらが先だから」といって残り何枚かを撮りましたが、落ち着いて撮れませんでした。そのグループには講師らしい人もついていましたが、ぜひマナーも指導して欲しいものです。休日の人の多い時間帯にバスで乗り付け、人のいない写真を撮ろうというのは基本が間違っているように思います。

 風景写真に人が入るのが嫌だったら、気長に待つか、人のいない時間にくるべきだと思います。やむを得ない時は丁重にお願いをすべきで、何か当然のように人を追い払うのは慎むべきだと思います。