旅のまにまに


その参・到着、うふあがり島

島南側より灯台を望む
 ほら、ここが絶海の孤島なんてぜんぜん思わないでしょ。
だけど、なんだか『未来少年コナン』の『残され島』とダブって見えて
しまうのは私だけなのかなぁ
(古いネタでごめんなさい)。

 飛行機を寝過ごすわ、船酔いするわで波乱の幕開けとなった今回の旅、島に到着するや、優し
いおじさんの運転する原付のうしろに乗せてもらってやっとこさ宿に到着。
途中、駐在所の前を通り過ぎると、やっぱりおじさんの言ってた通り寝てたゾ、ポリスは。(笑)

 宿に着くなり、従業員さん曰く、
「あさってから、島の全ての店が正月休みになるので、船が着いてモノが多い今日の内
にいろいろ買っておいて下さいね、えっ?もちろんこの宿の食堂もお休みになりますけど、
朝と夕ごはんはちゃんと用意しますからご心配なく。」

 なにぃ、全ての店が閉まる? なので買い物と島見物を兼ねてスグに自転車を借りて宿を飛び
出したのでありんす。
 走ってみると、1時間もあれば一周出来るくらいに島は小さく、目に入るものといえば、サトウキ
ビ、ススキ、パパイヤ、ネコ、キジ、ニワトリ、ヤギ、そして車に潰されミイラ化したカエルやカタツム
リ達ばかり……しかし、島自体はすりばち状の形をしているので果てしなくサトウキビ畑が続いて
いるように見え、本当にここは絶海の孤島なの? と錯覚するほど。
 港に出れば、海がものすごく綺麗でまさしくエメラルドグリーン、しかも透明度が高いため海中
の魚達の姿が丸見えで、さらにウミガメが泳いでいるではありませんか! それも鼈甲に使われ
るタイマイじゃないか!捕えれば金になるでぇ、と悪魔の囁きも聞こえてきましたが……ここはひ
たすら我慢、我慢。(笑)
 そして港では多くの島民が釣りをしており、40pはあるムロアジやダツを釣っているのですが
実はこれエサ、本当はマグロやロウニンアジといった1mは軽く越える魚を狙っているとか、スゴ
すぎる、岸からマグロが釣れるなんて! 
(しかし、その後は海が荒れてしまったので誰も大物を釣ることが出来なかったのがちと残念)
 島をぐるぐると走り回っているうちにいつしか夕方になってしまったので、島の中心部にあるスー
パー(Aコープ)へ、店内は船が商品を運んできたのと年末ということもあってなかなかのにぎわい、
私も買物を済ませると宿へ帰り、部屋の中でテレビを見ながらカップラーメンを喰っていると、なん
だか滞在初日だというのに旅行してるっていう感覚がマヒしてきたゾ、ホント。

 次の日は朝から台風並の暴風雨で一日中部屋でのんびりしていたのですが、一向に雨は止む
ことなくかえって激しさを増し、夜にはとうとう宿の中庭にある池の水があふれ出し、一階の廊下
にまで魚達が泳ぎまくり、さらにカエル達は次々と交尾をしてタマゴを産みまくっているという状態
……おいおい、ここは廊下だぞ(汗)。
 さらに夜中には雨による漏電で火災報知器が誤作動、もう宿中大騒ぎ! なんでやぁ。
 そんなこんなで夜が明けて大晦日、あの暴風雨がウソのように晴れわたったので島内を巡るも
あれだけ路上を闊歩していたニワトリ達の姿が見えない。
 もしかしたら嵐でどっかへ飛ばされたのかな、と思っていたらその夜、新年を祝う島をあげての
祭で『年越そば』として皆に振る舞われてる『大東そば(沖縄そばの亜流)』のダシ&具として無
惨にも彼らは大鍋の中でグツグツと煮込まれてるではないですか! けどたいへん美味かったの
で何杯もおかわりをしてしまった。すまない、ニワトリ君たち。
 また、祭では除夜の鐘も行われ、子供達が我先にとゴンゴン鳴らし、0時と同時に爆竹が大量
に鳴らされた後、
「大神宮(大東神社)の準備が出来ました」
との島内放送と同時に、みんな揃って初詣と、沖縄と本土の風習がちゃんぷるー化しているのは
やはり八丈島の人々が開拓した島だけある、と感じましたね。
 それから、初日の出はやっぱり海岸だ、と行ってみると風が強く、島を取り囲む高さ10mはある
断崖の上にまで波がダッパン! ダッパン! 
これは冗談抜きで危なすぎるので宿にある高台から拝むことに、しかし水平線の彼方から昇って
くる太陽はまさしくミレニアムにふさわしい素晴らしい初日の出、ホントに来て良かった、と改めて
感動しましたね。

 普通の観光なら1時間もすれば飽きてしまうかも知れないくらいになんにもない島ですが、それ
がかえって思う存分にリラックスできたのは言うまでもありません。
 皆さんも『のんびり』を求めて、一度行かれてはいかがでしょうか?

高さは約180cmくらい、コンクリート製
 これが日本で唯一現存している『国標(日本領土を示す石碑)、
ここに限らずガイドブック等で紹介している名所(?)に行くのがもう
大変で、崖の上やブッシュの奥深くにあったりとまぁ……けど何もす
ることがなかったので根性で行きましたけど。
今年は移民100周年でもあるし、観光客誘致のためにもこういった
名所への整備は必要な気がしないでもないが、年間20人程度しか
観光客が訪れない島なので仕方ないのかも知れない。

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