旅のまにまに


その壱・うふあがり島への道

 それは、ある日『シマダス』というガイドブックの北大東島の頁を眺めていると…
『クレーンに宙吊りになって上陸する島』
なに? く、クレーンで宙吊りぃ?
あぁ、なんて素晴らしい!と心打たれた私は年末を北大東島に行ってみようと決定したのでありんす。

 いったい、この北大東島とはなんぞや?という方も多いかとは思いますのでちょいと説明をば。
北大東島は沖縄県に属しますが琉球諸島ではなく那覇から直線で約400kmも東方の太平洋上に浮
かぶ孤島で、島を取り囲んだ断崖のため全く人を寄せ付けることなく、100年前に八丈島の人々が入
植するまでは無人島であっために、沖縄の人々は馴染みが薄いのかこの島を、
『うふあがり島(はるか東にある島)』
と呼んでいます。
日本地図をお持ちであれば一度ご覧下さい、地図によっては載っていないこともあるくらいの秘境?
ですから。
また、台風の進路上に位置していることでも有名で、台風となると必ず『大東島地方』とよく耳にしま
すが、これは8q離れたお隣の南大東島(台風観測所がある)との総称であります。
 が、悲しいかな、沖縄と聞いてイメージするような白い砂浜に珊瑚礁……というものとはほど遠く、
島はぐるりと断崖絶壁に取り囲まれ常に太平洋の荒波が押し寄せ、泳げるというかそんなことするの
は自殺行為に等しく、他にこれだという観光スポットなど皆無に等しいために年間の観光客は20人に
も満たないとか、そして仮に行ったとしても宿はあるの?食事は出来るの?と不安のまま計画は実行
へと移されたのでありんす。

 まずは船会社の大東海運へ。
すると12月28日が今年の那覇発の最終便で、来年は1月5日まで船は無いとのこと、しかも、よく冷
やかしの問い合わせがあるのか予約したいと言っても全然信じてもらえない有様…なんとか予約してく
れましたが、トホホだす。
 続いて航空会社へ、やはり国内線、しかも繁忙期なので運賃が高く、船賃を合わせた総額は8万円
近くもかかってしまう結果に。これだとバンコクに行けば良かったと悔やみつつも乗りかかった船、やむ
なく正規運賃にて購入……さようなら、ボーナス。
 足は確保したし、やっと宿の予約を、と調べてみるとこの島にはなんと2軒も宿があるようで、一つは
一泊2500円(素泊り)という安さ、ほんまに経営できてんの? と余計な疑問を抱きつつ電話すると、
「年末年始はお休みです、ガチャ。」
……………。(汗)
どないなっとんねん! 年末年始といえばかきいれ時とちゃうんか? と、心配しても仕方ないのでもう
一件の宿『ハマユウ荘』に電話すると、一泊6900円(2食付)でしかも年中無休で営業しているとのこ
と、そして電話越しに聞こえる受付嬢の声が喜びでうわずっている……おいおい、行く前から不安にな
るやないかぁ。

 予約も完了したことだしあとは行くだけ、と思いきや、出発の朝に大ハプニングぐぁ。
目覚めたのは朝9時半。
おかしい、この時間は関空でチェックイン済ませて世界一高いマクドで名物『てりたま』を喰らっている
筈なんだが、と思ったときにガバッ!
いかん、10時15分発の沖縄行きを寝過ごしてしまった、いくら大阪市内に住んでいるとはいえ絶対に
間に合わない、しかも15時までに那覇・泊港に行かないと船の予約までもが取り消されてしまう。
 果たして、私は無事に船に乗れたんでありましょうか?

 以下、次回。


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