怪しきモノたち


怪しきモノたち・その495 無粋と大作と






先日、近鉄のある駅構内で、ひときわ目を引くポスターに出会った。


公開までに、
1300年かかった大作です。


 
キトラ

土の中から発掘された最古傑作。
キトラ古墳壁画。



なんともRPGか映画の宣伝のようだ。。。でも、これは少し前に発見されて話題となったキトラ古墳の壁画の特別公開の案内で、GW明けから奈良は飛鳥資料館で展示されるという。

そして南海の駅にも、右の写真のように違うバージョンのポスターが貼られており、上部の謳い文句が、


 


それは、地球の、日本の、奈良の、
小さな村で起こった大事件。



となっている。。。でも待てよ、我々から見たらこの見事な壁画も、1300年前の人々からしたら、亡くなった方を末永く弔い供養するためにこれら壁画が描かれたのであるから、本来は衆目に晒したくはなかったのではないのか?と思うが、これは世界にも誇れる歴史的な大作には違いなく、この発見を機に、当時の文化水準を知る上でも貴重な資料として大切に保存・管理・展示を行う必要はあろう。

だが、このポスターは、その当時の方々への尊敬の念をいささか欠けているのではないか?

いくら飛鳥は今は田舎ではあるが、当時は大王も住むヤマトの都として栄えており、発達した文化にあふれていたはずである。。。それを今風に田舎表現することや、1300年もかかった、などという表現、さらに右のポスターの奈良から宇宙へ、まるでギャートルズの叫びのように「キトラ3」が飛び出すなんて、これはさすがに洒落の域を飛び越え、当時の方々に対して失礼だと思う。


 


何の意図で、どの層を狙って作ったんだ?
それに本当に歴史を愛する者が検討し採用したのか?

はなはだ疑問ではある。

ま、普通の発掘見学会のように味も素っ気も無い感じの堅苦しいのにしろ、とは言わないが、もうちょっと工夫して欲しいと願う。

それはさておき、もうこの画を描いた者達の顔すらわからなくなってしまったくらいに時は経ちすぎてはいるが、壁画の持つ素晴らしさと、画に込めた彼らの想いの残香を感じてみたいと思うワシであった。


★ キトラ古墳壁画 十二支 子・丑・寅 特別公開
  飛鳥資料館にて開催予定(08年5月9日〜25日)
http://www.asukanet.gr.jp/

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