ビヨンド
THE BEYOND
伊 1980年 90分
監督 ルチオ・フルチ
脚本 ルチオ・フルチ
ダルダーノ・サケッティ
ジョルジオ・マリウッツォ
出演 カトリオーナ・マッコール
デヴィッド・ウォーベック
サラ・ケラー
初めてこれを観た時は余りの支離滅裂さに呆れてしまって、ダビングするのを忘れてしまった。だからDVDで再見するのは15年ぶりのことである。その間「フルチの最高傑作」との批評を読み、また、あのタランティーノがリバイバル上映するなど、本作の評価は高まるばかりで、
「あれ。俺、読み間違いしたのかな?」。
との疑念を抱きつつ再見して、読み間違いをしていなかったことを確認した。
断言する。この映画は「最低」である。しかし、同時に「フルチの最高傑作」であることもまた確かなのである。
本作の監督であるルチオ・フルチの特徴は「作家性ゼロ」にある。既存の描写をそっくりそのまま剽窃し、それを徹底的にグロテスクに描き切るのである。
前作である『サンゲリア』や『地獄の門』を観て頂けば判るが、そこで描かれるショック描写はすべてどこかで観たことのあるものばかりだ。しかし、どこかで観たものよりも遥かにパワーアップしている。
「うへえ、ここまでやるのかよ」。
という驚きに満ちている。この驚きこそがフルチ映画の真骨頂なのだと、私は勝手に断定している。
そして、その驚きが最も多く堪能できるのが本作なのである。
とにかく、目玉が飛び出すわ、硫酸で顔が溶けるわ、蜘蛛が舌を食べるわ、犬が喉笛を喰いちぎるわ、少女の頭がハジけるわ、まさに人体崩壊見本市で、最初から最後まで驚きっぱなしだ。だからこそ本作は「フルチの最高傑作」なのである。物語が支離滅裂で「最低」だろうと構わない。フルチのじいさんに誰もまともな物語など期待していないのだ。
しかし、それにしても本作はどうしてこれほどに支離滅裂なのだろうか?。おそらく、ショック描写を先に考えて、それを無理矢理繋いだからなんでしょうなあ。
↑フルチンおやじにギャーッ。
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