性本能と原爆戦 米 1962年 95分 |
いやはや、物凄い邦題をつけられてしまったものである。大蔵貢さんは判りやすいタイトルを好んだので(例えば『明治天皇と日露大戦争』『憲兵とバラバラ死美人』『生首奉行と鬼大名』等)、これも彼の命名によるものだろうが、それにしてもあんまりだ。「性本能」の部分は、主人公の娘が愚連隊に犯されるところだけだからである。しかも、暗示しているだけで、直接的な描写はない。エッチな映画を想像して大蔵映画のチェーン館に足を運んだ野郎どもがカックンとうなだれるさまが眼に浮かぶ。 邦題のインパクトだけが先行し勝ちな作品であるが、中身もなかなかなものである。『西暦0年のてんやわんや』という原題の通りに、原爆戦後の文明リセット状態における生存競争をシリアスに描いている。 |
キャンピング・カーで小旅行を楽しむ筈のレイ・ミランド一家は、途中でとてつもなく巨大なキノコ雲を目撃する(左写真上)。しかし、爆風はない。そよ風さえも吹いていない。核兵器に対する認識不足がありありな描写であるが、この映画は放射能の恐怖を描くことが目的ではないので、ここは眼をつむる。 このワイルドな作品を監督したのは主演のレイ・ミランド本人。アカデミー主演賞も受賞した名優だが、ロジャー・コーマンと出会ったことからAIP映画にどっぷりとハマり、こうして監督業にも進出することになるのである。 |
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