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悪魔の密室
THE LIFT

オランダ 1983年 99分
監督 ディック・マース
脚本 ディック・マース
出演 フーブ・スターペル
   ヴィレケ・ファン・アメローイ
   ジョシーヌ・ヴァン・ダルサム


 アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭というのがその昔にあって、好事家は結構これに燃えたんだな。なにしろ、第1回目のグランプリがスピルバーグの『激突!』だったわけだし、以降、『ファントム・オブ・ザ・パラダイス』とか『キャリー』とか『エレファントマン』とか『ブルー・ベルベット』と、通 好みの作品がグランプリを取ってきたんだよ。88年なんか、本命は『ロボコップ』とか云われていながら『ヒドゥン』にグランプリをあげたりして、「判っているなあ」と喜んだものだ。
 しかし、そんな判ってるアヴォリアッツでも間違いを犯す。
 84年度のグランプリが本作で、どんな傑作だろうと観てみると、エレベーターが意思を持って人を殺し始めましたあってな、どう見てもC級ホラーなのだよ。どこにでもあるような話だし、演出もどおってえことない。赤い扉のエレベーターがシンメトリーで3つ並ぶ映像には、たしかにグッとくるものがあるが、これとてキューブリックの『シャイニング』からの剽窃だし、グランプリ取るような作品には思えない。
 チェックしてなかったけれど、この年はロクな作品が出品されてなかったんだろうなあ。


 要するに、ハイテク企業が製作したエレベーターに瑕疵があり、人を殺し始めたという、もう何千万回も語られてきたような物語。そのハイテク企業の名は「ライジング・サン」で、また日系企業かよと思っていたら、その受付で飾られる社長と思しき肖像写真が中曽根康弘(左写真)。これには思わず吹き出してしまった。

 それでですね、本作はですね、もう2001年だってえのにハリウッドでリメイクされてるんですよ。同じ監督で。タイトルは『ダウン』だってさ。
 監督は「リメイクではない。リメイク以上のものだ」とかほざいているけど、たぶんリメイクです。
 ハリウッドもよっぽどネタに窮してると見える。なにしろ例のテロ以来、『ダイ・ハード』のような映画は作れなくなってしまったから。
『リング』もリメイクされて「日本ブーム」とか云われてるけど、本当はブームなんかじゃないよ。
 ネタがないだけなんだよ。


備考

 なんだか知らないが、今回は妙に怒っている。おそらく、本作に期待して裏切られた思いがプレイバックしていたのだろう。


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