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ダウン
DOWN

オランダ=米 2001年 111分
監督 ディック・マース
脚本 ディック・マース
出演 ジェームズ・マーシャル
   ナオミ・ワッツ
   マイケル・アイアンサイド
   ロン・パールマン


 同時多発テロ以来、ハリウッドのネタ不足は深刻である。ニュースとして耳に入ってくるものは続編やリメイクの話ばかり。
 オランダ映画『悪魔の密室』のリメイク話を聞いた時は「エッ、何で?」と驚いたものだ。いくらアヴォリアッツのグランプリ作品とはいえ、20年近く前の作品で話題性がなく、内容もかなり古い。
 なにしろ「エレベーターが人を襲う」ってなおはなしですもの.....。
 しかし、監督のディック・マース(旧作の監督でもある)は「リメイクではない。リメイク以上のものだ」とか宣言しており、「それではどんなものかお手並み拝見」と覗いてみると.....やっぱり単なるリメイクであった。

「意思を持ったエレベーター」をベースにまったく違ったプロットを立てるのかと思いきや、基本線はまるで同じ。前作で象徴的に描かれていた「盲人と盲導犬の転落死」「警備員の首チョンパ」「少女と遊ぶエレベーター」の3シーンなど、カット割りまで同じである。


 では、何が「リメイク以上」かというと、舞台がオランダの地方都市からマンハッタンの超高層ビルに出世したことと、2つの事故が追加されたこと(「チーマーの屋上からの転落死」と「エレベーターの底抜け大暴走」)ぐらいか?。
 いやいや。もっとスゴイ「リメイク以上」がこの映画にはありました。
 なんと、同時多発テロをネタに取り込んでしまったのである。つまり、ニューヨークを代表する超高層ビルのエレベーターで事故が頻発するのはテロの仕業だと大統領令を発令。厳戒体制の中、主人公がビルに侵入し怪物エレベーターを退治するという、物語的にはどうでもいいオマケが加味されていたのである。
 同時多発テロの御陰でリメイクが実現したというのに、それをネタにするとは.....。
 いやはやなんともである。

『マルホランド・ドライブ』でようやく浮上できたナオミ・ワッツには「仕事選べよ」と云いたいが、彼女の御陰で本作が鑑賞に耐え得るものになっているのも事実。
 それから、マイケル・アイアンサイドロン・パールマンの2大「イイ顔」が、車の中で密会するという信じられないぐらい濃いシーンあり。これはなかなかの見ものである。


関連作品

悪魔の密室(THE LIFT)


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