H・P・ラヴクラフトの ダンウィッチの怪 米 1970年 90分 |
ラヴクラフトの愛読者からはボロカスに云われている作品だが、ロジャー・コーマンが製作のAIP映画だからこんなもんなんじゃないの?。期待する方が悪いのだ。なにしろ金をかけないからね、コーマンという人は。監督のダニエル・ホラー(コーマン映画の美術出身)は低予算ながらも健闘したといえる。化け物の造型(理想は上のイラスト)があまりにもちゃっちい、まるで手品のステッキから出て来た造花のような代物だったもんだから(左写真下)、オプティカル処理を施して安さが目立たぬように努力しているあたりなど涙を誘う。そもそもラヴクラフトをコーマンが作ること自体が間違っているのだ。日本版ビデオでは「ヨグ・ソトース」を「ヤグ・サハ」と訳するポカをやってくれていて脱力感は増すばかりだが(左写真上)、そのマヌケっぽさがいかにもコーマンらしくてよいではないか。ここは力を抜いて、 とは云いながらも、タイトル・バックのアニメーションはとてもいい感じに仕上がっている。流れる音楽も外連味たっぷりの名曲で、誰の作曲かと思えばレス・バクスター。ああ、やっぱり。バクスターらしい仕事だわ、と唸る私。期待は嫌が応でも高まってしまうが、期待しては駄目なのだ。駄目なんだってば。 なお、脚本のクレジットに『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソンが名を列ねているのにはちょっと驚いた。これが脚本家としてのデビュー作らしい。 |
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