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食人族
CANNIBAL HOLOCAUST

伊 1981年 95分
監督 ルッジェロ・デオダート
脚本 ジャンフランコ・クレリチ
音楽 リズ・オルトラーニ
出演 フランチェスカ・チアルディ
   ルカ・バルバレスキー
   ロバート・カーマン
   パオロ・パオローニ


 友人の山川と大宮が、
「う〜ん、ウソ臭いんだけど、本物かも知れない」
 と感想を洩らしていたのを今でも憶えている。『食人族』は「虚か実か?」という微妙なところを楽しむことを我々に教えてくれた最初の映画であったように思う。その系譜上に『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』があることは云うまでもない。

『食人族』はもちろん劇映画である。しかし、セコい16ミリカメラで撮影されている上、ドキュメンタリーとして宣伝されていたので、山川や大宮同様、騙された人もかなりいるのだろう(いまだに騙され続けている人も多いかと思う)。

 我々を驚かせたのは、例の串刺し女のシーンである。その質感から本物の人間にしか見えなかったからだ。しかし、タネを明かせば何のことはない。自転車のサドルに腰かけた女性に発砲スチロールの木をくわえさせただけなのである(改めて見ると、性器のあたりをアップで撮らえた場面でノイズが走る。当初は性器を見せないための処理かと思ったが、実はサドルを見せないためだったのだ)。
 こうした巧みな演出が奏功して、本作は世界中で大ヒットを記録するも、本国イタリアでは上映禁止の憂き目に遭う。大亀の甲羅を剥いで解体するシーンが動物愛護団体の逆鱗に触れたためだ。これに対するデオダートの反論が振るってる。
「ああ、たしかに殺したよ。でも、その後にちゃんと食べた」
 さすが「食人監督」デオダート。無駄な殺生はしないのであった。

 なお、私は『食人族』を本気で傑作だと思っている。観ている者の感覚を麻痺させて、虚実の別を混乱させる演出手腕は大したものだ。この映画の中盤で「これはヤラセだ」として、銃殺刑のフィルムが上映されるのだが、これは実は本物なのである。現実と虚構の判断を麻痺させられてしまうのだ。この映画は何度観ても、学ぶべきところが多い。


関連人物

ルッジェロ・デオダート(RUGGERO DEODATO)


関連作品

カニバル (LAST CANNIBAL WORLD)


 

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