B級であることを自己主張する邦題に好感が持てる1本。明らかに『スパイダーマン』の便乗品であるが、出来はそれほど悪くはない。否。プロットはむしろこちらの方が面白い。
要するに、アメコミ大好きなボンクラが賊に同僚を殺されて、
「ボクもスパイダーマンになって正義のために戦うのだ!」
と蜘蛛の遺伝子を注入するも、あら、ショックぅ!。人喰い蜘蛛になってしまいましたあ.....という物語である。
実に皮肉なプロットであり、サム・ライミのこれまでの作風からすれば、こちらの方が彼には似合っている。彼も本当はこういう『スパイダーマン』を撮りたかったのではないか?。やはりヒットメーカーになってしまうと、こういうものが撮れなくなってしまうのであるなあ。
原題の『EARTH VS. THE SPIDER 』は如何にも大袈裟で、だけど、これには見覚えがあって、「製作総指揮:サミュエル・Z・アーコフ」のクレジットを見て思い出した。これはアーコフが大昔にバート・I・ゴードンに撮らせた『吸血原子蜘蛛』と同じではないか。
そこで、このような推理が成り立つ。
アーコフは『スパイダーマン』の便乗品を作ろうと画策していた。しかし、ヘタにパクると訴えられてしまう。そこで旧作『吸血原子蜘蛛』をリメイクすることにした。内容はまったく変えて、『スパイダーマン』にそっくりになっちゃったけども、ぎりぎりセーフ!。リメイクだからぎりぎりセーフ!。
訴えられたら逆ギレして、
「うちのが先や!」
だいたいこんな思惑の下に製作されたのだろう。
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