いがらしみきおに《社会復帰したゾンビ》という題の作品がある。禿頭に眼鏡の親父が、飯を喰い、ナイター中継を楽しみながらビールを飲み、風呂に入り、風呂からあがってまたビールを飲む。それだけなのだが、すべてのコマの親父に矢印がついているのだ。つまり、こいつが「社会復帰したゾンビ」だという訳なのである。妙に可笑しくて、5分ほど笑い転げた記憶がある。 |
ところで「社会復帰したゾンビ」という言葉の可笑しみは、ゾンビが社会復帰する筈がない、という点にあるのだが、あなた、実在しましたよ、「社会復帰したゾンビ」が。 この本によれば、フランシーヌさんは1980年、ハイチのエリナイという村で白痴のようにさまよい歩いているところを保護された。発見された時は22歳だったが、彼女は18歳の時に確かに死んでいた。警察が発行した死亡証明書もあるし、埋葬もされた。つまり、彼女は「生ける屍=ゾンビ」だというわけなのである。 |