ヴァンスが「誇大妄想気味」と評したのはもっともで、この天津教、その奇妙キテレツな教義で他の新興宗教とは一線を画している。そのキテレツは、佐治芳彦著《謎の竹内文書〜日本は世界の支配者だった!》の目次を開けば一目瞭然であろう。
「神々の故郷はプレアデス星団」。
「飛騨の立山に降下した円盤」。
「何度もおこったノアの洪水」。
「核戦争に敗けた天照大神」。
「エスパー天皇とミュータント天皇」。
「桃太郎は地球の警邏隊長!?」。
「竹内文書にも載っているムーとアトランティスの沈没」。
「アダム=イブは兄妹だ」。
「釈迦も孔子も日本で修行した」。
「日本にもあったピラミッド」。
等々、オカルト雑誌《ムー》でお馴染みの話題が盛り沢山。少々詰め込み過ぎの感は否めない。
要するに、竹内の作り出した教義は、当時流行した「日本神国論」を最も極端な形で展開したものであった。その主な特徴は以下の3つ。
まず、天皇は宇宙からやってきて地球に君臨した。
次に、モーゼ、マホメット、釈迦、孔子、キリスト等、世界の偉人たちはみな日本で修行し、超能力を会得した。
そして、世界中の文明はすべて天皇が齎したものであり、その原形は(ピラミッドも)すべて日本にある。
なんとグロテスクな世界観であろうか。
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