御蔵島のみどころ.2
鈴原湿原〜御山に行く
( 2004年4月より山道の立ち入りにはガイドが必要になりました。)
「オオヨン婆、あのボロ沢は白子屋お常が何かしたって、知ってるか」
「おお、知らいでか」
「白子屋お常って、なんだ」
「そうめん流し、しただなぁ」
 有吉佐和子 小説「海暗」より
御蔵島の地図(鈴原湿原〜御山ルート)印刷用の地図はこちら 2003年3月)
御蔵島の森は私有地も多く、道以外の場所に立ち入ることは禁止されています。信仰の対象となっていて島の方が大切にしている所も各所にあるので、道以外の場所には立ち入らないようにしましょうね。
水汲み場
(鉄砲場の先の曲がり角周辺。西川住宅前)工事中
  湧き水を汲める場所だ。こんこんと湧き水があふれ出ている。しかしながら現在は、このあたりを公園化するために整備工事中の為、水を汲むことはできない。工事が完成するのを待とう。以前は森にでかけるときはここから水をペットボトルに汲んで山に出かけることが多かった。
草祭りの神様
(里から車で15分程度)
 鳥の尾からボロ沢橋の間、途中左側に草祭りの神様がある。人が里から山に入る時は、ここに草を一本置く習慣がある。ここに草があるときは人が山に入っていてまだ降りてきていない事を意味している。山から下りてきたら自分で置いた草は取り除いてから帰ろう。
 ボロ沢
(里から車で20分程度)
 伊勢の材木屋「白子屋」のお熊が婿殺しの罪で鋸引の刑となり母のお常は御蔵島に島流しになった。島流しにあったお常は白子屋から食べ物を御蔵島に送らせ、島でも贅沢な暮らしをしたという。その一つに「ボロ沢のそうめん流し」がある。上流からそうめんを流し、下で役人を接待したという。そうして役人に取り入り江戸に帰ったという。
 ボロ沢は赤い橋が目印。里から三宝橋を通って鉄砲場を通り過ぎひたすら進むとやがてたどり着く。道沿いの草はハチジョウススキが見られるが、このボロ沢あたりにくるとガクアジサイ-ラセイタタマアジサイに全くとって代わる。鈴原湿原へ行くには、この橋の直ぐ手前に鋭角に左に曲がる坂を登って行くと良い。
 
鈴原湿原
(車で30分程度、そこから徒歩40分)

 鳥の尾から草祭りの神様を通りすぎ、ボロ沢橋までくると、すぐ手前左に、後に戻る方向に曲がる坂がある。そこを登り、さらに上り詰めると東屋のあるパーキングに出る。そこに鈴原湿原への登山道がある。車をそこに止め、歩くこと40分で鈴原湿原にたどり着く。湿原近くの道は当然だがぬかるんでいることが多い。できればトレッキングシューズを履いて行こう。ズボンの裾もすぐに汚れてしまうので通気性のよいウインドブレーカのズボンを履いていくと便利。晴れた日には三宅島がここから見える。ここはミクラコザサの群生地。ハチジョウアキノキリンソウなども観察できる。
分岐1
 鈴原湿原を通り過ぎると、やがてこの道標にたどり着く。御山と書かれている方向には茂みがあるだけ。よく見ると踏み分け道のようなところがあるような気がする。このやぶの中の踏み分け道を進むとだんだんと道が開けてくるはずだ。この道は絶対違うんじゃないかと誰もが思うほどの道?です。そのまま歩いて行くと15〜20分ほどで山頂に着くだろう。
 この分岐点を曲がらず、まっすぐ行ってしまうと道が細くなり、15分ほど歩くと右手に上りの長い急階段が現れる。そこには道標もなにも無いが、そこも御山まで登ることができる分岐点だ。
ミクラコザサの大草原
(鈴原から更に徒歩約15分程度)
  鈴原湿原を通り過ぎ、苔むした道をさらに奥に進み、分岐のところからやぶの中の道を進んで行くと、やがてこのように開けたミクラコザサの大草原にでる。途中のやぶの踏みわけ道には、右端に側溝がところどろこにあり、踏み抜くことがあるので注意。大抵は水がたまっている。そこを抜けると見渡す限りのミクラコザサの草原にでる。写真の草の分け目のようなところが実は道。ここもところどころに足がすっぽり入るくぼみがあり、水がたまっているので注意が必要だ。
 このミクラコザサの大草原を通る時にある側溝はどうやってできたのでしょう?オオミズナギドリの穴でしょうか?実は道というところは草が生えていない為、雨が降ると水が流れる水路になってしまいます。その為、雨が降るたびに川ができて道を削り、やがて側溝ができてしまうほど土砂が流されてしまうのです。
小美代
(鈴原から徒歩約20分程度)
 鈴原湿原を通り過ぎ、ミクラコザサの大草原を抜けていくと、小さな天然の池をいくつかみることができるだろう。池の周りには背の低いツゲが群がって生えており、水面を這うようにして枝を伸ばしている。きわめて強い風が常にこのあたりに吹き付けていることを物語っている。


★2002年の7月半ばには満開のサクユリが小美代で見れました。情報提供、おぐらさんより
御山の山頂
(鈴原から徒歩40分程度)

 御山の山頂には標識があるので、すぐに山頂だと分かる。山頂には小高い丘が3つ続いており、真ん中の山が御山山頂になります。御山山頂のこれらの丘はもともと溶岩ドームだったと考えられます。山頂に出たら3つの丘を渡り歩いてみよう。両側は切り立った崖で、そのままの状態で長滝山まで尾根が続いている。左右両側、そして前方とほぼ360度海で囲まれた眺めを満喫できるに違いない。さすがに山頂は風が強く寒さを感じる。上に羽織るものは必ず持っていこう。
 御山山頂を別の尾根から撮影した。かつての溶岩ドームだ。