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ウエットスーツの役割を考えよう | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.保温効果 空気と水の違い : 水の熱伝導率(0.59[W/m・K])は、空気(0.026[W/m・K])の22.7倍ですので、体温36.5℃の人が裸で冷房の効いた20℃の部屋に1時間居て奪われる体の熱は、なんと20℃の水の中ではたった2分38秒で同じ熱が奪われる計算です。ダイビングの講習なではおそらくこのように「熱伝導率」で習ったはずだ。(ダイビングのテキストもそう書かれてしまっている)。空気と水の放熱現象の比較をする場合は、本当は「熱伝導率」ではなく「熱伝達率」で放熱計算を行う。この場合、実は水の熱伝達率は空気の約100倍となっており全く侮れないのだ。 ウエットスーツと素肌の違い : ウェットスーツにしても素肌にしても、相手は水で熱伝達率はほぼ同じ。放熱の計算するにはゴムの熱伝導率の問題となると思いきやそうでもない。ネオプレーンの生地の中に空気層(ボイド)があるが、ここでもゴムから空気への熱伝達率はとても低い(水の約1/100)。そこでネオプレーンゴムの内部で放熱が抑制されているのだ。さらにウエットスーツの生地と素肌の間に、体熱で温まった温水が滞留するので暖かい。(サイズがあってないと温まった水が流れ出るので暖かくなかったりすることはある。) 保温の仕組み : 海に入ると、まずウエットの中にも水が入ってきます。この水は体温によって暖められ、皮膚とウエットスーツの間に体温と同じ温度の水の層を作ります。この水を(1)ウエットスーツ内に滞留させ、(2)この水の温度を上記のように空気層を持つネオプレーンゴムによって放熱を妨げることにより、暖かく居られます。 2.体を保護する 海に入ると皮膚がふやけます。水中では皮膚は簡単に破れてしまい、出血してしまいます。波打ち際で石や岩に体を擦ってしまうだけで大きな傷ができた経験が皆さんにもあると思います。長時間海にいる場合はとくに水温が低くなくても体を守るために何かを着る必要があります。深く潜る人に良く見られるのは、御蔵島ではイルカと泳いでいる時に気づかずに海底の岩に背中や腕を擦って怪我をすることがあります。ウエットスーツはクッションの効果もありますので衝撃を緩和したり、怪我の予防に効果があります。強い日光の下では、日焼け防止にとても便利な他、クラゲなどから体を保護することができます。2007年6月にはクラゲが大発生し、ウォッチング中に刺された人もいた。 3.浮力を確保する 発泡状のネオプレーンゴムでできているウエットスーツは、空気の粒が沢山入っているので浮力があります。つまりウエットスーツを着ていると、体が浮きやすくなります。逆に潜る時にはウエイト(重り)が必要で、重りをつけて潜りやすくします。つまり緊急時に浮力が必要な時はウエイトを捨てるだけで大きな浮力を得ることができます。これは安全性に大きく寄与します。 ウエットスーツの水面時の浮力計算は次の通りです。 浮力=浮力A-重量B 浮力A=(生地厚[mm]/1000×総面積[m2])×1000×(比重=1) 重量B=(ウエットスーツ重量[kgf]) 4.その他 水中ではみんなマスクをかぶっていますので、誰だかわかり難いですが、ウエットのデザインやフィンの色の違いで、誰であるかを識別することが多いです。 |