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夏の花
7月〜8月に見ることができる花 
かつて御蔵島はニオイエビネランの咲き乱れる島でした。
ところが本土からの人々の乱獲、山採りにより、野生のものは絶滅してしまいました。 現在ではわずかに残ったニオイエビネランを保護して増やすこころみがなされています。
これらの野生の花を見ても採取したりしないでそのままにしようね。みんなで自然を守ろうね。

ワダン花期7〜10)
 伊豆半島、房総半島、神奈川、伊豆諸島に見られ、北は「銚子止まり」のキク科の植物です。ワダンの葉はどことなくキャベツに似ていて、食べられそうに見えます。生で食べられると言う人もいますが、実際に食べてみると苦くてとうてい食べらません。ワダンというのはワダツミと同じ意味で、日本語の古語で「海」という意味があります。氷河時代の終わりに海の水位が上がり、伊豆諸島に取り残されたヤクシソウが海岸の気候に合わせて分化したものだと考えられています。(御蔵島2001/Aug.)
ラセイタタマアジサイ(花期7〜9月)
 ガクアジサイとタマアジサイはアジサイの原種と言われている。ラセイタタマアジサイは本州のタマアジサイが島の気候に合わせて独特の変化を遂げたものと考えられており伊豆諸島の固有種。
 花期は通常7月とされているが、御蔵島では標高の高いところで10月ころまでラセイタタマアジサイの花をみることができる。葉は大きく、大きいものでは人の手の2倍はある。ガクアジサイとの違いは葉の大きさ、そして葉の裏を触るとすこしチクチクすること。そしてガクアジサイと違い葉の表面には光沢が少ない。ガクアジサイと同様に川田の沢や、ボロ沢で沢山みることが出来る。(御蔵島 ボロ沢2001/Oct.)ところでラセイタというのは羅紗という意味だ。
シマヘクソカズラ花期8〜10)
 白い筒状の花です。内側は赤い色をしています。ヘクソカズラが島の気候に合わせて変化したものです。(撮影:御蔵2001年8月)里付近の路肩でも見ることができます(2007年8月)
ラセイタソウ花期8〜10)
 ラセイタはポルトガル語のラシャから来ています。ラシャ紙の様な葉をしていることからこの名前がつきました。主に浜に生えます。そして先駆植物として噴火後の溶岩の肌に真っ先に生えることが出来るのもラセイタソウです。標高の高いところであっても崖が崩れた斜面などにも真っ先に生えて土砂の流出を防いでくれるのがラセイタソウです。
(御蔵島2001/Aug.)
サクユリ(花期7月)
ボロ沢に向かう車道でも見られるでしょう。
 ヤマユリの変種で伊豆諸島の固有種です。ヤマユリが花被全体に斑点が均一に広がっているのに対して、サクユリはご覧のように斑点が少なく目立たない。近くで見ると斑点は薄い黄色をしているのが分かるくらい。ヤマユリよりも大型で白さが美しい。

★2002年の7月半ばには満開のサクユリが小美代で見れました。情報提供、おぐらさんより
★2007年の8月初旬、川田から長滝山の山道入り口までの路肩で見られました。
シマホタルブクロ花期6〜7)
 釣鐘状の花で、とても小さく可愛らしい花です。内地のホタルフクロより花の大きさが小さく、内地のものと違い花に肉厚感があります。内地のものと違い色も白さが鮮明で伊豆諸島の固有種です。ガクの形にも特徴があり、内地のものと違って硬くとがっています。一般には南の方に行くほど花が小さいと言われ、花の形も微妙に異なります。御蔵島の里周辺でも普通に見られます(御蔵島2001/Aug.)
センニンソウ(花期7月〜8月)
 御蔵島ではキュートウキュージン伝説の花として知られています。ツル性の草で、日当たりの良いところを好んで生えます。他の木に絡まって伸びているのを見かけることが多いです。森が何かの原因で開けた場合など、森と開けた場所との境界の木に絡まって伸び、森を側面から守る役割をするマント植物です。(御蔵島2007年8月)
       
ネジバナ (花期 6〜9月)
  里にも咲いているこの花はネジバナです。花が螺旋状にねじれて連なっていることから名前がつきました。日当たりの良いところで、全国の野原や田んぼ道などでも見ることができるでしょう。というと「な〜んだ」と思うかもしれませんが、実はラン科の花です。
 オニドコロ
 夏の花ですが、御蔵島では6月ころには咲き始めます。蔓性の草で樹木にからんで薄緑色の星のような愛らしい花を咲かせます。山芋の仲間で、葉も山芋のようなハート型の葉です。写真に写っている丸い小さな葉は、マメヅタというツル性のシダ植物の葉です。
     
      
モウセンゴケ(花期7月〜8月)
 苔という名前が付いていますが、本当は花が咲く草です。食虫植物という強面な表情だけでなく、夏にはこのように小さく白い可憐な花を咲かせます。日が当たる場所でかつ湿地で無いと生育できない為、他の植物が生えるような環境になるとすぐに姿を消してしまう繊細な植物です。人が踏み分けた道の路肩などに生息地を見つけて生えています。御蔵島ではここ数年、群生地が確認されています。(2007年8月御蔵島)

ハマオモト (ハマユウ)花期8〜9)
 葉の長さは50cm程でした。主に種が漂流して散布し、全国の海岸などによく咲いています。漢字で書くと、「浜万年青(ハマオモト)」と書きます。黒潮に乗って長い年月をかけて無効散布を繰り返し、この島に辿りついたのかもしれません。ただし御蔵島には砂浜が無く、断崖で囲まれているため、磯に打ち上げられた種を人が運んで植えないと育つことが難しいです。これも人の手によって種が運ばれたものと思われます。
(御蔵島2001/Aug.)