82 58歳の挑戦
   初登山 「富士山登頂」に成功
03/9/1
8月22日夕方から「富士登山」に挑戦し、23日7時に「登頂に成功」した。夢のような初登山だったが、登りは通算7.5時間、下りは5時間と、大変きついものだった。

それから、インターネットで富士登山の基礎知識と携帯品などの情報収集に努めた。僅かの期間だが、休日の散歩や会社での階段利用など"俄か体力強化"も始めた。"高山病"が一番心配だったので、通勤時には一所懸命に腹式呼吸の練習をした。荷物の構成にも悩んだ。重い一眼レフカメラを諦めるのに時間を掛かけてしまったが、登頂を優先する為、水1.5リットルとゼリー飲料等を多くする事にした。

経験者から「富士山を甘く見ないように」と掛けられた言葉がプレッシャーになったが、「日本一の富士山なのだから、例え途中で引き返しても良いじゃないか。チャレンジ!チャレンジ!」と開き直ったのが良かったのか、58歳の無謀な挑戦は、「初登山で富士山登頂」と言う、信じられない最高の思い出となった。

3週間前に、ゴルフ場で先輩から誘いがあった時は、全く予想もしていない話に一瞬、返答にまごついた。何せ、「登山の経験がない」と言うより、「私には、あんなに辛い事は・・・」と、長い間、避けてきたものだが、3年前に写真を始めてからは「一度は富士山のご来光を収めたい」と言う思いが強くなっていた。

「全く登山は、初めてですよ! 無理でしょうねぇ?」「体力が無いので、無理でしょうね?」と、断っているのか、行きたくて訊ねているのか判らない返事になってしまったが、「ゆっくり行けば大丈夫だよ!」の答えに、気持ちは大きく傾いていった。
晴天の8月22日の17時30分に富士宮口を出発、19時30分に7合目の山小屋「ご来光荘」に到着。翌朝、1時15分の暗い時間に山小屋を出発し、4時10分に9合目到着。直後に真っ赤なご来光を拝む。7時過ぎに、3776mの富士山、その頂上に到着した。
今回、登山に精通した人が2人、その他は素人が5名の計7名だったが、一体感が生まれる最適な人数構成だった気がする。

助け合っている仲間に迷惑を掛けてはいけないという意識と、バテている時に、温かい励ましや細かな気配りとが伝わり、途中で断念しそうな気持ちに勝つ事が出来たのだった。
メンバーの皆さんには感謝で一杯である。

また、すれ違う人々が掛けてくれる「こんにちは〜」の激励が、こんなに威力があることを、初めて知った。子供や女性の声は、なおさら元気が沸いた。皆さんにも感謝・感謝である。
朝の出発は、ご来光を拝みたいという希望を入れて頂いて、予定より
早い1時30分になった。ヘッドライトの明かりを足元に照らして、
"ガサッ・ガサッツ"と火山岩を踏み込んで登っていく。辛くなったら休みを
入れ、元気が出たら黙々と歩き出す。

何回かに一回の長めの休息には、空を見上げ、満天の星空から新たなエネルギーを貰う。登りはこの繰り返しだった。
途中、高山病で寝込んでいる人が、何人もいた。若い人の方が多いが、
年配者はゆっくり登っていくので、かえって高山病になり難いとか。

8合目からは、疲労に寒さも加わり、ボッーとした状態で可也の辛さに
なってきた。9合目では、僅かに歩いただけでハァハァ息が切れる。
「もう3時間も歩き続けているのか・・・」。

休息も、だらしなく岩に身体を投げ出すような状態になってきた。
押さえていた吐き気も増して来ているので、ここで断念しようと決めた。
しかし、仲間の元気な様子に、中々言い出すタイミングが見つからない。
「ここまでくれば、頂上まで直ぐだね」という言葉に、つい一緒になって
歩き出してしいた。「もう直ぐと言っても、標識では後90分となっている。
自分は120分以上は掛かるだろうな〜?」と、独り言を言いながら。
9合目で休んでいる間に、日の出の時間になろうとしていた。私達のルート・富士宮口からは、頂上からしかご来光は拝めない。「ここまで頑張ったが、ご来光は諦めかぁ・・」。無念さで更に足が重くなった。

しかし、僅かに歩くと、東の稜線が明るくなり、待望の「真っ赤に輝くご来光」を見ることができた。雲海も朝日に映えてはっきり写る。辛さを忘れ、初めてみる絶景に吸い込まれる一瞬だった。

「俺は、これを見に来たのだ!」と叫びながら、暫し大感激。お陰で頭痛などがすっとんでしまい、それからはすっきりした状態の中で進めるようになった。
頂上では、眼下に広がる大パノラマに感嘆し、日本で一番近い直射日光に包まれる。「ここが、日本一の山頂だ!!」。実に清々しい気分だ。頂上に着いた人は一様に元気になり、ポーズをとっては記念写真に収まっている。私は、携帯電話を取り出して、そっと家族に報告した。「エッ!本当なの?おめでとう!」の声に、少し熱いものが身体を走った。

酸素が少ない頂上では、僅かに動いただけでも直ぐ「ハァハァ」と息が切れる。体力的にも限界を感じたので、約1.5時間の"お鉢めぐり"はお断りして9時に下山を開始した。

この下山が又大変だった。登り程の体力は要らないが、足元がズルズル滑る。これが、想像以上に足・腰への負担となった。周りの人も同じようにズルズル滑っていた.。時々思いっきり転ぶ人がいるので目をやるが、それ以外は足元だけに集中しながらの、長い長い下山だった。

   「富士登山には、ストックが2本必要」と言う情報の通り、この2本のストックに大いに助けられ、
           14時15分、無事駐車場に到着した。

高山病対策には"ゆっくり身体を慣れさせる必要がある"と言うことで、(若い人には迷惑?だったが)7合目の山小屋で仮眠する事になった。この山小屋での宿泊も正直驚いた。ロール上の長い布団を敷き詰めた中に、半畳の間隔で枕が並べてある。これに、そっと足からもぐっていく。

皆、静かに仰向けに寝ていればいいが、横向きに寝返りを打つと一緒に布団が動き、肩の隙間が大きくなる。何せ、直ぐ脇で鼻息が聞こえる状態なので、準備した耳栓も空しい。肩が触れ無いようにと気を配り続けている為か、少々頭が重く"高山病"が不安になり、ゆっくりした仮眠も取れなかった。
12.5時間の大変な行程だったが、
今回が初めてだった先輩と

「お互い、大方の期待を裏切っちゃたね〜」
と、
力一杯の握手で労をねぎらい、
登頂成功を喜んだ
次第である。
<お世話になった皆さんです> 撮影 渡部さん
<頂上にて>
富士宮口・9合目から、夢中で写した <ご来光>
<雲海をバックに>  撮影 木原さん
7合目の出発の時、トイレに行っている間にみなさんが見えなくなった。遅れたものと急いで後を追いかけたが、
 この勝手な行動が大失敗だった。皆さんが暗い中で2手に別れて探す等、大変な迷惑をかけてしまった。
  団体行動なのだから、リーダーに従うようにと、きついお叱りを受けた.
振り返ると、他にも団体行動には相応しくない点が多く
穴があったら入りた〜い気持ちです。




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それにしても
年齢・国籍・登山経験の有無、
いろんな人が
富士山の頂上を目指している。

元気の良い熟年のグループがあれば
労わりながら登る
おしどり夫婦もいる。

「7回目の富士山だ」と言う
70歳を過ぎたおばあちゃんには
驚いた。
ペースを守りながら一人で
しっかりした足取りで登って行く。

夏休み最後の週末、
”気の進まない”様子の子供を
励ましながら、
張り切って登るお父さん。
良い思い出を残そうと
一生懸命である。

短パン姿で
星条旗をなびかせながら進んで行く
外人さんは、
みんな楽しそうで
こちらも元気になってきた。
さぁ、頑張ろう!!