忘れもしない、88年の8月30日。サントリーオープンを1週間後に控えた、風もなく大変暑い中の習志野カントリー倶楽部の事。15番ホール、フラットな139ヤード(改装の為、現在は変更されています)。9番アイアンで真っ直ぐ高いボールを打てたのを確認し、次の人の為にティーグランドを急いで降りようとした。

”これはいいぞ”乗ったね”ピンに行ってる”周りが良いショットである事を教えてくれる。今度は、キャデーさんのカン高い声で”入ちゃった!入っちゃった!”。15番テーグラウンド上はただならぬ興奮状態で、グリーン周りに居る前の組もハシャイダ声で”ホールインワンだよ〜!。”不覚にも、入ってしまったようだ。数万回の確率なのに不覚にも、今回も保険に入っていないんです。 不覚にも。

帰り道、興奮を抑える事もあり車を止めて家に電話を入れたが、”おめでとう”と喜ばれた。そうかホールインワンをした場合、お披露目や同伴者への記念品や何やらで、十万円単位の出費が必要になる。だからホールインワン保険がある事を教えてなかったのだ。

家内のおめでとうは未だ良いが、お袋に至っては”それでいくらもらったんだぁ”ときた。無理も無いよ、TV放送ではホールインワンに、2百万位の賞金が何時も出るもんなぁ。トッホッホー、俺はプロじゃないんだよ〜。

同伴者に記念品を贈る事にして、一旦はその場で”他言無用”をお願いした。しかし、黙っている事がなんと辛いものか、3日間悩んだ末にオープンにすることになった。幾つかある家内の思い出に残る言葉の中の一つで、「そんなに大変な事なら、一生で一度あるかないかでしょう?。皆に祝福してもらったら。お金は何とかします」だった。

結局同伴者への気持ちだけの記念品とテレホンカード250枚を親しい方に贈らせて頂いた。こんな優しい言葉を貰ったこの時も、又お袋は「それも、後の祭りって言うんじゃ」だった。防火評語の「まさかより もしもの為の 火の用心」と言う言葉が一瞬よぎったが、保険嫌いの自分の性格が生んだ失敗である。


このホールインワンにはこの保険の話の他に、今でも気になっているもう一つの失敗がある。

当時私は43歳で課長になって3年強、仕事は真に順調だった。そんな時に業界でも中堅大手のRストアーの大型商談を済ませたばかりで、大型商談だけに競合も激しく、技術部門が全面に出て頂ての総力での取り組みだった。その受注御礼と言う事になると通常なら営業担当の役員・事業部長クラスが付き合いするレベルだ。

しかし、技術部門の関係維持と今回の功績の労をねぎらう意味で技術部門からK部長とM主任の2名、営業は自分が単独で任せられた大事な接待だった。しかも、ここは全国でも有名な習志野カントリー倶楽部での出来事である。自分の事で、接待を忘れて嬉しがっているようではいけない。

今日の接待ゴルフがしっかり終わるまでお客さんの満足こそが最優先と、つい真面目さばかりが出てしまう。周りはそれを見て”保険に入ってなかった事”等の話題を出しては、からかい・はしゃぎ出す。16番以降は、ホールインワンの話だけで、楽しいゴルフとなった。

そんな中、技術部長が「オイ!今日、幾らもってんねん。終わった時にキャディーさんにお祝儀としてしっかり渡すんやで」と急に言い出した。初めは、ホールインワンのしきたりを何にも知らない自分を、からかっているんだと思った。

何度も言うので半信半疑ながら、幾らくらいが良いか聞いてみた。まぁ2〜3万円だが、気持だし保険に入っていない事も判っているし、幾らでも良いんじゃないかとおっしゃる。この時<出来れば2万円、無ければ1万円>とやんわり教えてくれたつもりのようだが、その時の私にはそうは理解できなかった。

私もこの時ばかりはお袋と同じ、何で自分がキャディーさんに何万円ものお金をと思った。これがもう一つの「失敗」で、(色々悩んだが)あんまり言うんでこれ位でと自分で結論を出し、ゴルフが終了してから、きれいにテッシュに包んで5千円を渡した。

後で、いろんな人に確認したが、習志野カントリー倶楽部クラスは、1万円では少ない。レベルから相場が3万円ではないかという意見が圧倒的で、5千円は全くの論外との事。キャデーさんががっかりしたろうと、しばらくの間皆から大いに冷やかされた。この失敗は今でも案外気になっており、その後数回習志野カントリへ行ったが、都度そのキャデーさんと顔を合わせない様にと前夜から祈りながら出かけている。


            ティ・タイムへ     M310topへ  
2,  ホールインワン


雑談


ゴルフに関する記録は
数多くあるようです
  
インターネットを見ていたら、
101歳でホールインワン
「史上最高齢の記録更新」
とありました

米国の
ハロルド・スティルソンさんで、
それまでの、
スペインのオット・ブッチャーさん
99歳を2歳更新した
ようです

フロリダのディアフィールドCCの
16番ホール・108ヤード・
4番アイアンで
実現した

まず
101歳まで元気でいること、
そして
ゴルフを楽しめるほど
健康であること。
私は
そちらの方がすごい
ことだなと思う。
後 の 祭 り NO.2
02/2/8