月刊FURITEN 2007年度 「特集」より転載
フリマで売っても良いモノ?悪いモノ?  

その2 「身近なコピー商品」

 フリマ文化が定着して、お家に不要品がたまってきたら、「今度、フリマで売ってこ!」 というのが一般庶民の生活行動になりつつある昨今。法律で禁止されているものをわざと売っている犯罪者の方は別として、ごくごく一般人は、売ってはいけないものを、「つい知らずに売ってしもた」なんてことにもなりかねませんね。一つ間違えば警察ざた。子ども連れで出店して、子どもにとんでもない犯罪教育をしていたなんてことにもなりかねません。
 今回の特集は先月に引き続き、「フリマで売って良いもの? 悪いもの?」 のPART2をお送りします。今回も紙面一杯、「つい売ってしまいそうなもの」「なんで売ったらアカンねん?」「こんなん売ってもええのん?」というモノ達をご紹介します。

身近なコピー商品

 コピー商品とは、他人の著作権を侵害する商品のこと。ブランド商品などを偽造したり売買することは犯罪で、警察の摘発対象になります。捕まった場合の刑罰はなんと、個人なら「5年以下の懲役、500万円以下の罰金」、法人では「1億5000万円以下の罰金」、もちろん本物のメーカーに損害を与える犯罪行為ですから民事訴訟も付いて来て、莫大な損害賠償を支払うことに。犯罪的にかなり重い罪にランクづけられます。
 ブランド製品でなくても、他人に著作権のあるものを勝手に真似て作り、手作りの市やフリマで売っても同じことなのですが、分かってない方がちょくちょくおられ、悪気のないコピー商品の手作り作家(?)さんがフリマに出没します。
 フリマや手作りの市で見かけた身近なコピー商品をご紹介しましょう。

キャラクター、有名人、ミュージシャンなどの絵や画像の無断使用

★絵の上手なお母さんがクレヨンしんちゃんやピカチューなどのアニメキャラクターを手描きTシャツにしてフリマで販売
★自分の好きなアイドルの写真をTシャツにプリントして販売した。
★裁縫の得意なお母さんがドラエもんのぬいぐるみを作って販売した。
★陶芸家が子どもを喜ばそうとピカチューの土人形を製作して売った。


 ディズニーやサンリオ、ジブリなどのアニメのキャラクターや、有名人、タレント、アイドルなどの画像を無断で使用、複製することは、個人が家庭で楽しむ範囲は問題になることはありませんが、作ってフリマなどで売るのは、著作権・肖像権の侵害行為で違法です。フリマであろうと不特定多数の人の前に並べて「売る」ということは営業行為そのもの。そこに社会のルールが発生します。

 本物と確証のないブランド品、模造品を販売

★本物ということで買ったが、どうもニセモノかもしれないと思いつつ販売。
★ブランドの時計のレプリカをお客さんにちゃんと「ニセモノですよ」と告げて納得してもらっての販売。

 「正規店以外のお店で購入した」、「随分安かったので疑っているもの」、確信できないものを売ったり、はっきりニセモノをニセモノと説明して売るのも犯罪です。ブランド品のレプリカや模造品はコピー商品ですから、販売することはできません。
 いかなるコピー商品を製作することはできません。輸入品のコピー商品も、輸入禁止商品なので密輸品の可能性が大。暴力団や犯罪組織の資金源として不法に世の中に存在するものでしかないものを、「偽物と言って売ったとか」「偽者でも良いので買った」というのはあまりにも幼稚です。ニセモノと分かっていて売るのを阻止しなかった主催者も犯罪に加担しているのに等しい行為。特に主催者は管理責任を問われ、本物メーカーから損害賠償訴訟を起こされる可能性もあります。
 もちろん偽物を本物と偽って販売するのはもっと問題で、詐欺罪も適用されることになります。

ブランドやキャラクターの商標、意匠を利用し加工した品物

★自分が着ていたアディダスのトレーナーをリメイクしてバッグを作り販売
 アディダス社の商標がそのまま使用されたリメイクバックは、元の製品の仕様自体が改変されても、アディダス社の製品と誤認される可能性もあり、商標権侵害になります。
★ルイ・ビィトンの包装リボンでストラップを作って販売した。
 前項と同じ商標権侵害になります。
★キャラクターがプリントされていて、「商品として販売できません」と書いてある布でポーチやティッシュケースなどの手作り品を造って販売。
 家庭で個人が楽しむこと以外にキャラクターを利用した商品を加工して販売することは犯罪となります。
★手作りでポケモンのアップリケを刺繍した製品
 完全なるコピー商品です。著作権侵害で処罰の対象となります。
★高級ブランドと同じものをブランド名は入れず製作して販売
 ブランド名の記載がないので商標法の侵害になりませんが、「不正競争防止法」により、消費者に誤認・混同を起こさせるような商品の販売は禁止されています。
★ブランドショップでもらった紙袋を販売
 これは売っても可。何等加工していないそのままの買物袋の販売は、販売者が購入者にそのブランドメーカーの代理店であるかのような錯覚させる行動を取らない限り、原則的には違法性はありません。
 
 ブランド品やキャラクター物のリメイクは、自分自身で加工して楽しむことについては法的に問題ありませんが、それを切り取って他のモノに貼り付けたりして別のものに加工・製造し第三者に譲渡、引渡しするのは商標法に抵触し犯罪となります。
 ブランドロゴシールやキャラクターをコピーして作ったピアス、ブランド商品のリサイクルストラップ等はよくある定番のコピー商品です。

音楽、映像などの違法コピー品、データの販売、交換

★自分で録音して聞いていた音楽のカセットテープやCDを販売
★家庭でテレビ放送を録画したり、レンタルした映画をダビングしたビデオテープ、DVDを販売
★自分が使っているゲームソフトやコンピュータのソフトをコピーして販売

 音楽やビデオなどのコピーは、家庭で簡単にできる時代になりました。個人で楽しむ範囲では許可されていますが、それを販売したり不特定多数の人を対象にした交換、配布は著作権法違反で違法行為です。
 音楽用のカセットテープや家庭用のビデオテープも何度も読み書き出来るので、音楽や映画などが録画されたものが要らなくなった「空テープ」という名目でフリマで売られているのを見かけます。これは法的にはギリギリ。空テープであれば、本当に空にして売るのが本当で、タイトルがしっかり書かれているものは、やはり買う方としては中身の内容で買っていることが多い。タイトルが書かれてないと売れないという現実もある。空テープとして売っているので中身の音質・画質は問われることはないし、あまり関心できる商品ではない。このような現状を認めるかどうかは主催者の質しだいということになります。

身近なフリマの危険物

刃 物

 危険物には石油類・ガス類・銃・刀・ナイフ・包丁等々、さまざまなものがありますが、ガソリンや銃をフリマに持ってくる人はないでしょうし、刀剣類が可能性のある商品となります。
刀剣類は「刀剣類」、「模造刀剣類」、「刃物」の3つに分類されますが、骨董市はともかくフリマに刀や槍はまず出品されないので、「刃物」がちょっと気になるアイテムです。銃や刀を取り締まる法律に「銃刀法」(銃砲刀剣類所持等取締法)があります。この法律によれば「刀剣類」とは、「刃渡15cm以上の刀・剣・やり・なぎなた・あいくち、及び45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ」のことで、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6cmを越える刃物を携帯してはならない」という法律があります。
 ですから、フリマや手作りの市で時々見かける手作りナイフや鋏などは、この法律の基準が出品の良し悪しの目安となります。
 包丁はどうなのでしょうか。古い包丁のリサイクルはあまり聞きませんが、貰ったりして使わない包丁をフリマで売っているのを見かけます。刃渡6cmどころではないもっと大きな刃物をお母さんは毎日台所で振り回しています。
 やはり厳密にはこれも外で持ち歩けば違法となります。「お母さん」を「ヘンなオヤジ」と言い変えたら、随分恐怖感が増しますので納得できるのではないでしょうか。ですから、基本として包丁をフリマに持ってくることはダメなこと。 「販売すること」 が刃物を持ち歩く 「正当な理由」 になるという保証はありません。ただ警察に見つかっても、犯罪目的でなければ注意くらいで済ませてくれるものと思われます。包丁を持って目をギラギラさせて街を歩けば、ほぼ確実に警察官に呼び止められるだろうし、また軽犯罪法第1条の2には「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他、人の生命を害し、または人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者は拘留または科料に処す」 とあって、刃物の種類や長さに関わりなく捕まる対象になります。見せて人に恐怖を与えるたら犯罪ですし、だからといって隠して持っているのも怖いシロモノが包丁なのです。
 販売禁止商品にするかどうかは主催者の判断ということになります。

表示(標示)とマニュアル

 最後は売っても良い・悪いではなくて、ぜひフリマの売買で心がけたいこと、注意したいことをひとつ。
 新品で買った時の「説明書」・「注意書」・「マニュアル」などは、出来るだけ付けて販売して欲しい。また、モノによっては絶対付いるものを買って欲しいということです。
 電気製品などはマニュアルがないと動かないこともあるし、動いても多くの機能を使いこなせないことも多々出てきます。ゲーム類や時計、調理用具などもしかり、モノだけでなく使い方も次に使う人に伝えるべきものです。
 これがなぜ「身近なフリマの危険物」なのかというと、マニュアルは機能や使い方が中心ですが、「説明書」・「注意書」は、安全に関わることが書かれているからです。「〜を絶対にしないで下さい」「〜を必ずして下さい」といったことがらが必ず網羅されています。
 医療測定機器などでは数値の異常値やデッドラインの記述。健康器具では書かれた「してはいけないこと」は、使い方を間違えると健康を害する恐れがあるかも。
 アクセサリー類なども、ちゃんとした店で新品を買ったら材質表示や金属アレルギーの注意書があったかも。
「子どもの飲み込み事故注意もあったかも・・・。注意書きのなさが事故の可能性を増大させます。
 修理の方法・場所、廃棄に関する注意・・・。最初の注意書きや説明の無いことの危険が、リサイクル品がリサイクルされない原因となりかねない現状があります。
 一度目を通したら捨てたり失くしたり、フリマに持って行くのを忘れたり。意外にテキトーに扱われている大切な書類、表示(標示)物。買う方も「中古だから」 「安いから仕方がないね」 と簡単に諦めてしまう大事なモノ達。
 それらが重要視されていないところにフリマの身近な危険が潜みます。

 

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