フリマ
気持ち良〜く値切る人
気持ち悪〜く値切る人
フリマのお買物って、もともと安いのに、交渉したら必ずというほど値引きしてくれるなんて信じられない世界ですよね。普段値切ったりしないだろうなって紳士・淑女まで、フリマに来ると人が変わり値切り文化を楽しんでいるのを見かけます。「値切り」は、すっかりフリマのコミュニケーションアイテムとして全国津々浦々定着しています。
しかしこの「値切り」交渉、値切りすぎて相手を怒らせてしまい売ってもらえなかったり、それほど値切っていないのに相手の方から交渉額以上におまけしてくれたりと、値切りの上手・下手、気持ち良い値切り・気持ち良くない値切りがあるようです。
今回は、このフリマの「値切り」についてスポットをあててみました。
いわゆる一般的に「値切る」ということ
日本の社会では「値切る」という行為は、フリマほど定着していないように思います。デパートや街のお店などで値切っても、「この値段なんです」と軽く店員さんにあしらわれますし、「値切るのは貧乏くさい」「値切るのは恥ずかしいこと」なんて風潮もあって、特に近所、人前ではあまりしないようです。
「○×の奥さんが△□で値切ったはった」
などというと、「生活上手な奥さんだ」などと思われることは少なく、「ケチ臭い人」「厚かましい人」と評価されることの方が多いようです。
「値切らずキャッシュで買った」「チップまで置いてきた」というほうが「気前のいい人だ」「気風のいい人だ」と評価される精神文化が日本にはあります。
お店も「値切る」客というものをあまり想定していなくて、「他店より安くていいもの」をお店に並べることが客に喜ばれ、「安売りセール」が他店との差別化、競争の基本となっているようです。そんな頑張る店、サービスのできる店を消費者が見つけて行くのが「買物上手」と褒められるようです。
それでも電気店や家具店、そして自動車屋さんなどでは値切る人が結構います。特に電気店では「値札より勉強します。ご相談ください」「他店より高かったらお申し出ください」など、値切って欲しそうなポップが貼りだされています。値段交渉が可能であることの意思表示です。
日本の社会で一般的に考えられている値段交渉というものは、次のようなもの。
●他店と比較する
「他店より高かかったらその分値下げさせてもらいます」というもの。少し安いからと他店に客を行かさない作戦。
●本体価格を値切る
キャンペーンや決算、モデルチェンジなどの在庫処分で、利益率を下げてでも現金化するための値引き。
●気持ちで値引き
「まとめて買う」「ごひいきさん」(たくさんのお金をその店一軒に落とすという感謝から)、「端数」、「消費税」、「送料」を値引くなど、お店の気持ちを見せる値引き。
●おまけ
「付属品」や「ポイント」をつける。
社会で値切れるものは、値引き額以上に売り手側に都合があるもの、はじめからその分加算して値段がついているもの、また来てもらうための宣伝費が組み込まれているものが多いようです。
そしてそれらのものは、そこそこ「値のはるもの」「販売競争が激しいもの」という共通点があります。
さてフリーマーケットの値切りとは、だいぶ世間と違うように見えてきませんか。
フリマの値引きはちょっと違う
フリーマーケットの商品は家庭や個人の不用品で、値段があってないようなもの。経済的には一度お役目を果たした中古品で、引き取り手がなければ個人の「思い出の品々」、思い出もなければ「ゴミ」。しかし、まだ使えるものを捨てるのはもったいない、欲しい人がいるかもしれない、いい人に出会って使って欲しいという気持ちと、少しでも出来ればたくさんお金になればうれしいという期待感。すなわち「ふれあい・出会い系リサイクル運動の推進」と「極小資本お店屋さんごっこ」です。 「ごっこ」では、楽しいことを最優先します。
値引き交渉は、フリマの楽しい
「ごっこ」
の基本となる部分です。商品は前述のような、「値のはるもの」でも「競争が激しいもの」でもなく個人の不用品で、「要らないものを要る人に」
という里親探しみたいなもの。売る人は「要らないものが片付いて、お金になる」、買う人には「欲しかった物が安く手に入る」、お互いに感謝と幸福感が湧きおこり、フリマを通じ、物を通じての楽しい出会い・ふれあいが広がります。
「お安くなりますか?」「お安くしますよ!」は、朝の挨拶みたいなもの。でも、そこに欲や感情が入ると、いろいろと不愉快なことが起こり、また違う方向に走り出してしまいます。
気持ちの良くない値切りとは
フリマの出店を嫌う理由に「一度出店した時むちゃくちゃ値切られてむかついた」という方が結構たくさんおられます。「恐ろしかった」「人間不信になった」という方も。本当にすごい値切りをする人がいます。ちなみにこんな人たちを値切り魔と呼びます。値切り魔たちの気分の悪い値切り方をいくつかご紹介しましょう。
◆勝手に値段を決めて、商品を持って行こうとする
「100円でええやろ」「50円にしとき」などと代金を置き、商品をカバンに入れてしまう。
商品の値打ちを考えず値切る、ただ安く買えればいい、自分がどう思われようと、相手が不快になろうがかまわないという非人間的な値切り行為。おばさんに多いのはなぜか?
◆極端な値切りをする
1000円の値段付けしているものを100円にしろと非常識な値引き率を要求する。
◆安いものまで値切る
10円・100円で売っているものまで値切る。一種の病気かもしれません。
◆商品にケチをつけて値切る
なにしろ悪いところを探す。汚れ・ほつけなどは商品チェックの基本ですが、それを値引きの道具にして値切る。仕立てが悪い、デザインが古い、趣味が悪いなど、普通の人はそこまで言ったら買わないだろうに買おうするから始末に悪い。出店者が購入し気に入って使っていた持ち物をけなすという、人の気持ちが分からない人、を考えない人。
他にも
◆外国人の値切りに注意
一部の外国人が悪質な値切りをするというレポートがあります。「ワタシ、リュウガクセイ、オカネナイ、ニホンジンシンセツ!」などと言葉がよく分からないふりをして小額のお金を置いて、商品を強引に持って行ってしまう。
◆貧しいからと泣き落としされた
◆子どもを使って値切らせる。
◆断わってもしつこくブースに居座られた。
◆断ると悪態をつく。
◆他の安い値札と貼りかえられた。
「値切り値切られ」は、フリマの大切なコミュニケーションですが、そこにはユーモアをまじえた会話と笑顔の「人間同士の交流」が必要です。こうなると、ただ非常識で無礼な人間。「値切らない客」が歓迎され、「値切る人は嫌われる」は、万国共通の真理。そして、売り手にも客を選ぶ権利があります。失礼な人に売ってやることはない。
値切り魔対策
値切り魔は楽しいフリマを一瞬にして気分の悪いものに変えてしまいます。さっさとお帰り願うのが得策というもの。うまく追い払いましょう。しかし非常識で人のことを考える能力が乏しい人たちなので、怒らさないよう笑顔でお帰りいただくのが原則です。まちがっても大声など出してつまらないことにならないよう要注意。笑って撃退できます。
<他の人の物、他に買い手がいる作戦>
●「ごめんね、これは友達(親・親戚)に頼まれて、売っているので勝手に値下げできません」
●「ごめんなさい、これ仕入れた商品で仕入れ価格がそんな安くないんです、○○円だったら売ってもいいけど・・・」
●「折角ですが、それより高い値段で買うという人が他にいますから、そちらの方に売ります」
●「今日売れなかったら近くのリサイクルショップがもっと高い値で引き取ってくれることになってるんです。」
<ひたすら、強気に笑って拒む作戦>
●「ダメですねぇ〜、すいません」をしつこく連発する。
●「ひどい値切る方にはお売りしません」という貼り紙か看板をブースに表示しておく。値切り魔が来たら、やさしく笑ってそれを指差す。
まったく客の来ない会場でもなく、それなりに客がいて売れているなら、ひどい値切りに応じる必要はない。今日がダメでも次もあります。むやみな値引きに応じて売ってしまうと、後で、「あんな奴に売ってしまった」「圧力に屈してしまった」と自分がむなしくなります。売ったものが自分のお気に入りだったりすると「あいつが今使っているのか」「売った価格の何倍もつけてどこかで売っているかも」と悔やむことに。値切り魔に破格値で売るくらいなら、持って帰った方がマシ!という気持ちで出店しましょう。
気持ちの良い値切り方
では、気持ちの良い値切り方というのはどんなものでしょうか。
●高い商品を値切る。安い商品は値切らない。
高いとも思わない(安いと思っている)ものを値切るのはヘンです。高いからこそ、自分の予算や自分の思いに会うように交渉するのが本来の値切るという行為です。
●値段は絶対指定しない。「お安くなりますか?」と声をかけ、答えを聞いて相手の希望を聞いてから、値段交渉をする。それ以上ダメのようならしつこく無理をいわない。
●値引きの話しばかりでなく、仲良くなって、自分がその商品に興味があることなども話し、相手に「この人にならこの値段でもいい」という気分をなってもらうよう接する。
●小声で交渉する
まわりに聞こえてしまうと、他の人もその価格にするように迫られたり、先にそれより高くで買った人が聞いていたら、その人まで返金を求めてくるということも。交渉はあくまでも1対1のもの、交渉成立は両者間のみの契約です。
要は出店者がイヤな気持ちになるような値切りの交渉はしてはいけないということ。売る人の立場になって対等の立場で値段交渉をするのが真の値切りです。
無礼な客は嫌われます。ことわりもせずに商品に触ったり、値引きのことしか話さなかったり、商品の悪口を言ったり、断りもなく品物をひっかきまわし、気に入らなかったら商品を投げてかえしたり、片付けもせず散らかしていったり、そんな人に値引きすることはありません。売らなくてもいい。
「値切り」というコミュニティーアイテムは、大人としての人と人、気持ちと気持ちの分かち合いの中ではじめて成り立つもの。
フリマで「値切り値切られ」、そんなことをちょっと気をつけながらいい商品をいい価格で、いい出会いとふれあいを楽しみましょう。
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