講座16>連句のルール(1)懐紙式

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 一通り連歌から俳諧の歴史を辿ったので、次に連句のルールを解説することになりますが、これまでのように資料編と解説編を分けるというのが難しいので、ここからは資料を折り込みつつ説明するということになります。なお「資料」というのは去年私が公開講座で使った資料という意味です。
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 まず連歌も俳諧も懐紙カイシ というものに書きます。実物を見たことは余りないので懐紙そのものについて詳しい説明は出来ませんが、とにかくそれを百韻では4枚、歌仙では2枚使います。全て半分に折って、折り目を下にして、表に出た部分に句を書いて行くことになります。

 そうすると1枚に二つの面が出来ることになり、それぞれ表・裏ということになります。各懐紙の裏表に何句ずつ書くかをまとめたのが次の表。

懐   紙 初 折 二の折 三の折 名残折
名  称\句数
百韻\100 14 14 14 14 14 14
歌仙\36 12   12


 連句の形式にはほかにも44句の世吉ヨヨシ とか、64句の易とか色々ありますが、連歌の時代は百韻、俳諧の時代は歌仙が主流で、それらが時間の関係で完結出来ない時に、百韻の半分の五十韻、歌仙の半分の半歌仙というのが、これは今でも使われることがあります。

 また歌仙の時代になっても百韻時代の習慣が残り、最初の八句を「表八句」と呼んだことは前回の『奥の細道』に出て来ましたね。あと発句・脇句・第三の三句だけで終わらせてしまう「三つ物ミツモノ」というのも、年初の歳旦帖というのでよく使われていたそうです。もっともその二つはあくまでも完結しない形ですから、最後が挙句になりません。

 以上の説明のうち「懐紙」という紙についてですが、今「懐紙」というとお茶をやってる人なんかが使うものがあります。文字通りのふところ紙で、着物の懐にしのばせておいて、お茶受けのお菓子なんかを載せるやつですね。まあ和紙で出来たティッシュペーパーと考えればよろしい。薄っぺらい紙です。

 しかしそんな薄い紙に墨で書いたら裏何枚分かに裏写りするに決ってまして、連句で使う懐紙はもっとずっと大きくて厚い紙です。今紙屋さんに行っても知りませんから、大きくて少し厚手、といって色紙みたいに厚いと折れませんからその辺は考慮して、適当な厚さの和紙を買って来て使うしかないのだと思います。

 江戸時代以前に使われていたのがどんな紙だったか、学生時代には触ったこともあったのですが、最近は写真でしか見ない。昔もうちょっと勉強しておけばよかったと反省していますが、まあ別に和紙を使わなくてもいいでしょうし、パソ通連句だったら紙はディスプレイですから、紙質にこだわるまでもない。

 次に紙の数え方として、今普通に使われるページではなく、1枚を基準にした数え方をするということについてですが、これは江戸時代以前の日本ではそれが当たり前でした。連句でなくても、本の中のあるページ数を指定する時は、何枚目の裏とか表とか言ったの
ですね。いつからページを使うようになったのか、まだ調べてません。
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 今回は短いですがここまで。次が長いですから。

キョン太

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