がばいばあちゃんの幸せのトランク

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 がばいばあちゃんシリーズ3作目、となるのでしょう。読み終わった日は発行日の前日でした。当然もっと前に出ていました。

 前2作は洋七が中学を出るまででしたが、これはその後のエピソード。野球推薦で広島の広陵高校に進んだものの怪我をして野球を断念。それから漫才師になって活躍し、佐賀に家を建てて東京を離れるまでの出来事を書いた半自叙伝、ということになるのでしょう。

 甲子園に出る事を目標に広陵高校に進んだものの、怪我で断念せざるをえなくなって他に特に目標もなく、高校をを出て広島の大学に入ったものの二ヶ月でやめ、一応就職したものの大学の野球やプロで活躍する同級生達の事を考えると長続きしなかった。そんな中で律子さんという結果的に芸人の嫁にうってつけの伴侶を見つけ、律子さんの父親に反対されたまま二人で家出。その時佐賀のばあちゃんから、二人で一つのトランクを引っ張って行きなさいと言われ、波瀾万丈の暮らしの中、それを心の支えに生きたとのこと。

 特に反対し続けていた律子さんの父親が、熱心に許しを請いに通う洋七に、5回目にしてやっと許しを与えた場面が涙を誘います。また漫才の事を全く知らない洋七を花月の進行係にしてくれた亀井さん、東京に進出してすぐ喉のポリープで入院した洋七に黙って入院費を貸してくれた看護婦さん、親身に世話してくれた大家の山本社長等々、洋七を取り巻く人々の大らかさ、優しさ、親切も心温まります。なお洋七の人間関係で、仁鶴や三枝、間寛平やビートたけしなども登場。芸能界裏話の一面もありますね。