あれじゃ「右翼皇国史観教科書」だよ。
LAST UPDATE 2001-09-07

 そりゃあ、多様な考え方を認めたいとは思っているけど、あの教科書はデタラメすぎるね。ひたすら天皇制を持ち上げて、古代から我が国は優秀だとか、近代はアジアの解放のために闘っただとか、日本国憲法は改定すべきだとか、戦争肯定と女性蔑視のトンデモ本だ。137カ所の修正だって、本筋にはほとんど触れない大甘の検定だったし、その後の修正も所詮は語句をいじっただけ。国内はもとより隣国からの批判は当然で、政府見解の「表現の問題」なんて次元じゃない。あんな教科書じゃ、自国に誇りを持つどころか、黒を白と言いくるめて反省なんかしなくていいんだという、とんでもない若者づくりになっちゃうよ。若者の中には、その辺の魂胆を見抜いて、「反省できない頭の固い連中の言い訳史観」だって気づく奴もいるに違いない。

 でも、気をつけなきゃ、「つくる会」の連中の宣伝活動に引っかかってしまう生徒や教員もいるんだよ、これが。「新ゴーマニズム宣言」やら、「教科書が教えない歴史」なんかをうのみにしている教員もいるんだから、世話がやける。学校図書館には入れさせなかっても、生徒の中には読んでるものもいるんだね。

 去年前任校で、世界史とホームルームを連動させて日朝関係史の発表学習をしたんだけどさ、学校でたくさんの資料を買い込んで、調べ学習の時間をかなりとって、生徒たちも結構頑張ってくれたんだ。ところが「日本と朝鮮の本当の歴史に詳しい知り合いがおるねん!」と言い出す生徒がいて、話を聞いてみると、「つくる会」の主張の曖昧な受け売りなんだね。他の生徒の手前、軽く批判してみたんだけれど、「すごく偉い学者も言っているらしい」云々、と言い出すので、「新しい歴史教科書をつくる会」や「自由主義史観研究会」が、いかなる団体で、どんなメンバーで、何が問題かを、これは俺の意見だ、と言いつつも語ってやった。生徒たちも「先生、熱いなぁ」なんて言っていたっけ。当の生徒は、驚いた顔をしていたけれど、その後が良かったね。自分で調べて考える!とばかりに、安重根を調べだして、朝鮮植民地時代の日本による侵略の実態や、朝鮮民衆の怒りを、自分の言葉で噛んで砕いた文章と挿絵で、発表プリントを仕上げてくれたんだね。とっても力作だった。

 在日朝鮮人や中国人に対して、「いやなら帰れ」という差別発言がままあるけれど、それがいかに筋違いかは、本当の歴史を学ばせないと分からないと思う。あんな教科書で学ばせたら、ますますこの国に差別がはびこり、排外主義が悪化するに違いない。

 奈良県では、目立った採択運動は見られないというけれど、ちゃんと組織はあるし活動もしている。ボクら高校教員もボンヤリしていたら、たちうちできなくなるかもしれないよ。組合の学習会やパンフで、それなりに問題提起はされているけれど、まだまだ意識は低いと思うね。在日外国人教育を本気で進める気なら、この問題を軽んじちゃイケナイと思うね。

(「季刊Sai vol.40」KMJ(社)大阪国際理解教育研究センター、に掲載)

**********「時の話題」より**********

「新しい歴史教科書をつくる会」教科書批判〜その2(7/16〜17筆・7/18・26加筆) 
「新しい歴史教科書をつくる会」教科書批判(2001/3/26筆)