Home<クイズ<
クイズ【85】
サブリミナル効果
LAST UPDATE 2003-07-03

最新問題はこちら 過去問はこちら

【85】出題日時 2003年6月27日(金)13時10分
 1956年、コカコーラ社がある実験をしました。アメリカのニュージャージー州のドラブインシアターで、同じ映画ですが実は微妙に違う2本の映画を観せたのです。片方の映画には、1秒24コマの映画フィルムに、5秒に1コマ、「コカ=コーラを飲もう!」・「ポップコーンを食べよう!」というメッセージを繰り返し入れてありました。もちろん観ている人は気がつきません。しかし、その映画が終わったあとの売店の売り上げがぐんと増えたというんです。ポップコーンの売り上げは約19%増加したと報告されていますが、コカコーラの売り上げは何%増加したでしょうか?

A 28% B 33% C 58% D 73%

正解者・・・・じゃいママ▽・。・▽さん、ケムンパスさん →4ptゲット
(得点表)

解説と解答


 クイズタイトルを未公開にしていましたが、こういう心理的効果をサブリミナル効果といいます。サブリミナルとは無意識下・潜在意識という意味で、サブリミナル効果は、無意識に与える影響が意識を左右することをさします。

 実は、この話は広告効果測定学なる分野、または情報操作に関わる研究分野では、伝統的な実験なんですが、最近ではデッチ上げだとか、関係者がウソを暴露したとか、様々なことが言われているいわくつきの実験のようです。ご指摘のメールもいただいたように、細部に関して様々な食い違いがあります。コカコーラとポップコーンの売上増加率の数値が逆であったり、実験があったのは1960年代とされていたり、メッセージではなく砂漠の絵を見せたのだとするものや、他の実験との比較からサブリミナル効果そのものを疑問視する報告さえあります。インターネットで得られる情報には、ウソもかなりの比率で含まれており(当サイトではそのようなことがないように心がけていますが)、即断はできませんが、この実験が実際になされたのかどうかについては、疑問視されていると述べておきたいと思います。ただし、kurochanとしては、コカコーラ社に限らず、特に映画・テレビ業界や、多額の広告予算を計上している食品業界・薬品業界・化粧品業界などにとって、サブリミナル効果についての認知が広まることにはマイナス効果も予想されるだろうことや、アメリカなどでは、宗教の勧誘や選挙活動などに利用されたことから法規制がされていることもあり、そうしたことから対抗戦略として、事実もみ消し・効果の否定という可能性もあるのではないかと、勘ぐっているところです。

 そんなわけで、難しくかつ、はっきりしない話になりますので、このクイズの解答を提示することにとどめます。伝説であれ、今まで紹介されてきたのは、ポップコーンが19%・コカコーラが58%、またはその逆の数値ですので、この問題の場合は、正解は「C 58%」ということにいたします。ご了承くださいね。

 これまた否定されかねない話ですが、この効果を取り入れたところ急に視聴率がアップしたのが「刑事コロンボ」であるという話も有名です。ドラマの最初の段階で、てきぱきした他の警官とは対照的に、じっくりと現場を検証するコロンボ刑事が写る場面で、室内ならば壁・室外ならば空や塀に犯人の顔を一瞬だけ写すというのです。もちろんテレビを見ているものには分かりません。しかし、無意識のうちに認知したその顔が、やがて絞られていく容疑者たちの中に確認されるや、「あいつが犯人のような気がする」という意識をもたらして、じりじりと証拠を揃え、推理を重ねて「その顔」の容疑者を追い詰めていくコロンボに共感してしまうという仕掛けだというわけです。これは、日本のテレビ番組やCMなどでも、様々に応用されていると思われます。

 テレビドラマが面白くなるだけならまだいいとして、これが宗教の勧誘や商品購入の心理操作、選挙をはじめとする政治的マインドコントロールに悪用されると、恐ろしいことになりますね。フランスのミッテラン大統領の再選をかけた選挙期間中に、同国のテレビに何度もミッテラン候補の顔写真が放映されていたことが指摘されたことは広く報道された有名な話ですね。この時は、一部の支持者が勝手にしたこととされましたが。

 さて、特に、心が動揺した時の記憶は強く残るとされます。正しくは、記憶を呼び戻しやすいというべきですがね。幼い頃の記憶であっても、嬉しかった時や悲しかった時の話が、いつまでも脳裏に焼き付いているのはこのためです。戦争体験、特に捕虜体験や大災害が心に与える影響を無視できないのもこのためです。これはPTSDとして、阪神淡路大震災などの時にも広く紹介されましたね。

 日々の生活で、特にテレビを見ていて心が動揺する時とは、ドラマのクライマックス、プロ野球でのホームラン、マラソンやF1レースのデッドヒート、など様々ですね。背景の広告やテロップ、主演俳優の衣装や持ち物、ユニフォームの企業名など、特に意識して見ていなくても、感動シーンとともに潜在意識に強く焼きつくと考えられます。プロ野球の巨人軍のユニフォームにかかれていたローマ字の文字が最近変ったことに気づかれている方も多いと思います。巨人軍の場合はいまさらという気もしますが、少しは効果があるのだろうと思います。

 ただし、こうした効果の程を測定するのはとても難しいようです。最初に「広告効果測定学」なる言葉を紹介しましたが、テレビ放映に限らず、雑誌や新聞広告の、ページに占める位置や大きさ・色・人物か風景か文字ばかりかの違い・女性と男性・大人と子ども・活字の大きさや色や書体、またはCMの放映回数と視聴率の掛け算でのテレビ局とスポンサーの取引、店頭での商品配置など、様々なことが研究されていますが、実際の売上の増減との相関関係は明確には把握できないので、さまざまな課題も指摘されているようです。


 こうした分野は面白いのですが、財界や政界などの戦略も絡んできますので、正しい情報・正しい認識が実に難しい分野であるともいえます。まさに「メディアリテラシー」「情報民主主義」が求められているといえますね。