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【160】出題日時 2004年12月 7日(火) 大変苦労するさまを「四苦八苦」ということがありますが、これは仏教用語ですね。「生老病死」の「四苦」に加え、さらに「愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五蘊盛苦」の4つの苦しみを加えた合計「八苦」のことです。では、「五蘊盛苦」の「五蘊」とは、いったいなんのことでしょうか? A 東西南北と上方から襲ってくる悪霊 B 生理学的に心身を構成する5つの要素 C 頭部と両手両足 D 輪廻転生をつかさどる5人の神々 |
応募締切 2004/12/14(火)午前6時 難易度・・・・★★★ |
原始仏教の思想では「相依相関」(そういそうかん)、つまりすべてのものは互いに依存しあって存在しているとされますが、「縁起」(えんぎ)という言葉は、そもそもこのことをさす用語です。原因があるから結果があるということを、「因果」(いんが)といいますが、単独で存在するものなどないということです。そして、「諸行無常」(しょぎょうむじょう:すべての存在は永遠不滅ではない)や「諸法無我」(しょほうむが:どこにも永遠不滅のものはない)という真理を悟れずに物事に執着してしまう心、すなわち「煩悩」(ぼんのう)がすべての迷いや苦しみの原因であり、その原因を取り除くことで、すべての苦しみ、つまり「一切皆苦」(いっさいかいく)から解放され、「涅槃寂静」(ねはんじゃくじょう)に至るという論法が、「苦集滅道」(くじゅうめつどう)、つまり「四諦」(したい)です。また「諸行無常」「諸法無我」「一切皆苦」「涅槃寂静」の4つを「四法印」(しほういん)といいます。もう少し丁寧に解説したいのですが、それはまたの機会にいたしましょう。
さて、「一切皆苦」は具体的には「四苦八苦」(しくはっく)のことですが、四苦とは「生老病死」(しょうろうびょうし)のことですね。また、八苦とは、その四苦に、さらに「愛別離苦」(あいべつりく)・「怨憎会苦」(おんぞうえく)・「求不得苦」(ぐふとっく)・「五蘊盛苦」(ごうんじょうく)の4つを加えた合計8つの苦しみということです。文字から想像しにくいのが「五蘊」ですが、これはまさに「縁起」にもとづく自我論です。あらゆるものは「色」(物質や肉体)・「受」(感受作用)・「想」(表象作用)・「行」(形成作用)・「識」(認識作用)の相依相関で成り立っており、自己という存在も、この「五蘊」から成るというのですが、そのバランスが崩れることで心身の不調が生じるというわけです。正解は「B」です。