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クイズ【139】
ジェニー紡績機
LAST UPDATE 2004-07-22

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【139】出題日時 2004年 7月15日(木)15時10分
 産業革命期の18世紀半ば、ハーグリーヴズのジェニー紡績機やアークライトの水力紡績機、さらにはクロンプトンのミュール紡績機が発明されたことは、重要な経過です。さて、「ミュール」とは馬とロバの交配種であるラバのことを指しますが、「ジェニー」とは何を指すのでしょうか?
 A 翼の生えた白馬  B ジョン=ケイ(飛び杼の発明者)の娘の名 
 C ユニコーン    D ハーグリーヴズの妻の名

正解者・・・・フーセンの羊、ようちゃん、ケムンパスさん、モリモリさん、コーヒーさん →3ptゲット
(得点表)

解説と解答


 18世紀イギリスの産業革命期に、この時期のランカシャー地方には、続々と歴史的発明家が生まれています。

 まず、羊毛工場の技師をしていたジョン=ケイです。彼は、機織りをする際に横糸を通すための小道具である飛び杼[とびひ]を発明しました。これは、超小型のカヌーのような滑りのよい木製の杼に横糸用の糸巻きをはめ込んで、左右の箱からバネで交互に飛びかわせるものでした。布を織るスピードが2〜3倍にもなり、幅広の布も作れるようになったのですが、熟練職人の反発を受けたジョン=ケイは、
暴徒に襲われ、命を落としかけたこともあったとか。

 ところが、機織りのスピード化が進みすぎて、原料の糸の生産が追いつかなくなります。そこで発明されたのが、紡績機ですが、その発明には何段階かがあります。

 大工職人のハーグリーブズは、機械の発明に目覚め、ついに多軸式のジェニー紡績機を発明します。これは、いくつもの軸を回転させながら同時に8本(のちに16本)の糸を紡ぐという手動式の木製機械でした。やはり最初は、近隣の熟練職人たちが彼の家を襲い、機械を打ち壊したりしています。やがて、特許を取り、紡績工場を建て、高まる糸の需要に、この機械で応えました。ジェニーとは、彼の妻の名とされますが、一説には娘の名とも言われています。ということで、このクイズの正解としては「D」ということになります。

 散髪屋のアークライトは、13人兄弟の末っ子で経済的に相当厳しい生活をしていましたが、やがては大工場をいくつも経営し、Sir(サー)の称号を与えられるまでになった人物です。彼は、手動式のジェニー紡績機を改良し、水力を利用する水力紡績機を発明したのです。ニューコメンによって18世紀の初めに発明されていた蒸気機関を、ワットが改良して完成させたのは、アークライトが水力紡績機を発明したのと同じ年(1769年)ですが、糸の巻き取りも同時にできるアークライトの水力紡績機が、この蒸気機関と連動することで、巨大工場の登場につながります。近代工業のスタイルが登場したわけです。

 ジョン=ケイもハーグリーブズもアークライトもランカシャー生まれの発明家たちなんですよ。

 紡績工をしていたクロンプトンは、ハーグリーブズのジェニー紡績機とアークライトの水力紡績機の長所を組み合わせ、均質で細い糸を機械的に紡ぐことができるミュール紡績機を発明します。牡のロバと牝の馬をかけあわせたラバを、英語でミュールといいますが、長所の組み合わせであることから、この紡績機にミュールと名づけたのです。しかし、彼は余りに貧しく、特許申請の費用もなくて、不遇な生涯を閉じることになりました。

 牧師で医師というカートライトも発明に没頭し、踏車を利用した力織機を発明し、これも蒸気機関と連動させることで生産性が高まり、産業革命の進展に寄与することになります。彼もまた、職人たちによる焼き討ちで巨大工場計画が頓挫しています。

 アメリカで教員をしていたホイットニーは、生産性を1000倍以上にも高めたといわれる綿操機を発明しました。彼は銃の大量生産システムを生み出した人物でもありますけどね。

 このあたりまでが、イギリスを中心とする18世紀の発明家たちです。19世紀初めに、蒸気機関車や蒸気船が発明され、世の中はますます変化していくことになります。