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【137】出題日時 2004年 7月 9日(金)13時08分 理想社会のことを「ユートピア」と呼ぶ事がありますが、その本来の意味はなんでしょうか? A そして何もなくなった B どこにもない C すばらしいところ D みらいのせかい |
『社会の最前の政体とユートピア新島についての楽しいと同じほどに有益な黄金の小著』
これが、一般的には『ユートピア』として知られる、トマス=モアの創作物語の正式なタイトルです。
16世紀の初めに発表されたこの作品は、三日月型の架空の島についての物語ですが、労働と学習が重んじられ、私有財産は認めないなど、社会主義思想につながったとも言われます。しかし、自給自足の島民生活といいながら、奴隷制を前提にしているなど、当時のイギリスの国家意識が繁栄しているとも指摘されています。最期は、ヘンリ8世の離婚に反対して処刑されたトマス=モアですが、当時最高の官職である大法官まで務めた政治家で弁護士ですが、この作品でイギリスの「囲い込み」や拝金主義を痛烈に批判しました。彼の友だちでもあるエラスムスは、『愚神礼賛』で、当時のカトリックの腐敗を痛烈に風刺ますが、巨悪に挑むこうした人物たちのペンは、実際の生き様や細部のディテールは是非はともかく、歴史的意義をもつものだと思います。
で、その語義ですが、「ユートピア」はトマス=モアの造語で、「ウ(ない)」「トポス(場所)」というギリシア語の組み合わせです。つまり「どこにもない」という意味ですから、正解は「B」ということになります。