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【134】出題日時 2004年 6月14日(月)17時45分 豚は英語でPigといいますが、豚肉はPorkです。似ているようで実はルーツの異なる単語です。牛を意味するOxやCowと、牛肉のBeefも同様のパターンです。さて、PorkもBeefもフランス語系の英単語なのですが、なぜこのようなフランス語系の単語が英語に多く含まれるようになったのでしょうか? A イギリスがフランスから奪った植民地で使われていた言葉だから B イギリスの支配階級がフランス語を使っていた時期があるから C 市民革命後、フランス料理がブームになったため D 豚肉や牛肉など、イギリスでは好まれなかったものをフランス語で表したため |
「ノルマンディー公ウィリアム」と言えば、世界史上の人物として、学校で習ったという記憶がある人も多いのではないでしょうか。彼は、西フランク王国(今のフランス)の一諸侯でありながら、イギリス国王も同時に務めたという異色の存在ですね。
遅れて移動し始めた北部ゲルマン人、つまりノルマン人(ヴァイキング)が、ヨーロッパ各地に勢力を広げますが、西フランク王国の北西部に上陸し、一帯の領有を認められたのが、西フランク王国の一諸侯勢力としてのノルマンディー公国です。一方、アングロ=サクソン系のイングランド王国を破り、デーン朝を建てたのがデーン人(デンマークを建てたノルマン人)の王クヌート(カヌート)でした。
クヌートの死後、再び復活したアングロ=サクソン系の王だったのですが、その王も世継ぎを残さず死亡し、後継者争いが起こります。最大の有力貴族ハロルド2世が王位継承者として名乗りを上げますが、ノルウェー=デンマーク国王ハーラル=ハルドラーダがクヌートの後継者としてイギリスに攻め込み、ハロルドはこれを破りますが、その3日後にノルマンディー公ウィリアムがイギリスに攻め込んだのです。結局、ハロルドは敗れ、イギリスにノルマン朝が成立します。
ここまでは、教科書にも書かれているお話です。さて、このウィリアムは、聖職者や貴族はすべてフランスから連れて行きました。それについていく形で、多くの軍人や商人達もイギリスへ渡りました。その結果、その後約200年に渡って、イギリスの上流階級はフランス語を使い、英語は下層階級に使われるということになるのです。
例えば豚は、作る人にとっては「Pig」ですが、食べる人にとっては「Pork」というフランス語系英単語ができあがっていくわけです。「Beef」もしかり「Mutton」もしかりです。それ以前の英語には、ドイツ語系英単語が多かったと言われていますが、いまや30%がフランス語系英単語といわれるのは、このような歴史的背景があったんですね。ということで正解は「B」です。