クイズ【122】
パレスティナ問題とイギリス外交
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2004-04-02
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【122】出題日時 2004年 3月26日(金)16時30分
イスラエルとパレスチナ=アラブ人の対立の背景には、第一次世界大戦時のイギリス外交も影響を与えています。さて、ユダヤ人に領土保有の期待をもたせたものは、次のうちどれでしょうか?
A サイクス=ピコ協定 B バルフォア宣言
C フセイン=マクマホン協定 D モンタギュー宣言 |
正解者・・・・モリモリさん、じゃいママ▽・。・▽さん、ケムンパスさん →3ptゲット
(得点表)
解説と解答
パレスティナ問題には様々な側面があるし、その見方もまた様々なので、おいそれとは解説を書けないのですが、問題をややこしくした背景の一つに、第一次世界大戦中のイギリス外交政策の矛盾があります。サラエボ事件を契機に始まった、ドイツを封じ込めるためのヨーロッパ列強の戦いは泥沼に突入します。そして、領土や勢力範囲をめぐるさまざまな秘密外交が結ばれますが、パレスティナに関するイギリスのそれは、現在のパレスティナ問題にしこりを残すことになりました。
ユダヤ人は、律法を重んじる教義と迫害を受けてきた歴史から、極めて勤勉な民族であると言われますが、当時も優れた科学者や莫大な財を蓄えるものもいました。また、「神に約束された地」としてのパレスティナに帰還するするシオニズム運動が盛んでもあり、イギリス政府は、金や技術といった戦争協力と引き替えにパレスティナにユダヤ人国家建設を保障しようと約束するのです。これがバルフォア宣言ですが、もうひとつの本音は、被差別民をヨーロッパから追い出したいという魂胆もあっただろうといわれています。
これだけならまだ筋も通るのですが、イギリス政府はパレスティナにアラブ人国家を建設するという約束もしているんですね。これがフセイン=マクマホン協定です。当時アラブ人を支配していたオスマン=トルコはドイツの同盟国でしたから、トルコとも闘うイギリスに協力せよというわけです。おまけに、連合国イギリス・フランス・ロシアで西アジアを分割しようという約束までしていたんです。これはサイクス=ピコ協定といいます。二枚舌ならぬ三枚舌とはこのことです。
ちなみに、モンタギュー宣言とは、イギリスの植民地であるインドに関するもので、インド人の自治拡大に関する約束です。ということで、この問題の正解は「B」です。