クイズ【65】
科挙
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2003-02-14
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【65】出題日時 2003年
1月24日(金)17時10分
ペーパーテストの元祖は中国の科挙ですが、「四書五経」を一字一句暗記するのが大前提で、その他作詩や作文の試験もありました。さて、漢文は文字数の割に密度が濃いのですが、それでも「四書五経」すべてとなると膨大な文字数になります。さて、何字ぐらいあるのかな?
A 6200字 B 6万2000字 C 62万字 D 620万字 |
正解者・・・・ひろりんさん →3ptゲット(得点表)
解説と解答
隋の時代から始まった科挙ですが(当時は「選挙」と呼ばれていました)、それまでの中国での官吏登用法はいずれもコネが幅を利かすものだったため、客観的な官吏適性能力テストとして採用されたのでした。これはなんと清の時代まで約1400年もの間、実施されてきたのですよ。科挙は、史上最強ともいえる暗記テストでもあり、何年もかけて勉強に没頭しなければならず、やがては参考書や予備校、はてはカンニング技術まで発達するんですが、有力者の子は一次テストがパスできたりしましたし、実際、働きもせずに参考書等を買いそろえて何年も何年も勉強に没頭するなどということは、資産家の子どもにしか許されなかったといえますね。
古典を暗記し、作詞・作文に長けなければならないのですが、まず覚えるべきテキストである「四書五経」だけで約62万字もあるのですから、気が遠くなりますね。五七五七七の短歌にすれば2万首もの分量です。「百人一首」でいえば、上の句・下の句を合わせ、ひらがな表記の百首合計で約3100字ですから、62万字はちょうど200倍です。漢文は文字数に比して意味の密度が濃い言語で、漢字仮名交じりの日本語の約5倍の密度といわれますので、「百人一首」のひらがな表記の200倍ということは、実質1000倍以上の内容ということになりますね。それを一字一句正確に覚えるわけです。ということで正解は62万字、つまり「C」です。
ちなみに、一般には、中国で紙が発明されたのが2世紀初め、ヨーロッパに紙が伝わったのが12世紀とされますから、紙の使用に関しては、1000年もの差があるわけです。この差が、アジアのペーパーテスト、欧米の口頭試問という試験の作法の違いを生んだとされています。ところが欧米がペーパーテストの利点に気づきこれを採用したのが20世紀になってからですから、不思議なものですね。もちろん現代中国では科挙は行われていませんよ。