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クイズ【52】
アリとハチとクモ
LAST UPDATE 2002-10-28

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【52】出題日時 2002年10月22日(火)23時10分
 「知は力なり」の言葉で有名な16〜17世紀の哲学者フランシス=ベーコン。彼は「ノブム・オルガヌム(新機関)」という著書で、アリとハチとクモの話を書いています。知識追求のモデルとして彼が理想としたのは、これら3つのうちどれでしょうか?

正解者・・・・じゃいママ▽・。・▽さん、ケムンパスさん →4ptゲット(得点表)

解説と解答

 「実際には理屈通りにいかない」ということは、よくある話です。
 さて、そんな時、「事実が間違っている」と考えるでしょうか?「理屈が間違っている」と考えるでしょうか?

 フランシス=ベーコンは、事実と理論にずれがある時、事実こそが真実であり、事実に即して理論を修正すべきであると考えました。そのために実験や観察を重視したんですね。
 一方、「我思うゆえに我有り」の言葉で有名で、同時期に活躍したフランス人哲学者ルネ=デカルトは、人間の感覚には錯覚・誤差はつきものであって絶対確実とは言えないわけだから、不確実な実験や観察よりも、疑いの余地のない理論を厳密に組み立てていくべきだとしたんです。
 F=ベーコンのような「実証的」な考え方を「帰納法」といい、イギリス経験論として主としてイギリスに影響を与えます。
 また、デカルトのような「論証的」な考え方を「演繹法」といい、大陸合理論としてヨーロッパ大陸全体に影響を与えます。
 ちなみに、哲学・認識論上におけるこの二つの対立する思想を「綜合」させたのがドイツ人哲学者イマヌエル=カントです。

 もちろん、人間に錯覚・偏見があることはF=ベーコンも指摘し、それを排除をする注意点を「4つのイドラ」として論じています。その上で、実験・観察の手法を、「アリとハチとクモ」を例にあげて、F=ベーコンらしく「事例に基づいて」説いているんです。

 アリはむやみにエサを集めてきて、ムダが多い。
 クモは偶然、巣にかかったエサしか手に入れず、ムラがある。
 ハチは、目的をはっきり持って、積極的にエサを集め、しかも利用しやすいようにハチミツに加工までする。

 というんですね。これには、F=ベーコンの「勝手な決めつけ」もあるんですが、言わんとするところは、ご理解いただけるでしょうか?少なくとも科学的な知識を追求するために実験・観察をする際には、対象を明確にし、十分な情報を収集し、理論を導くためにデータを整理する必要があるというわけです。それを「アリとハチとクモ」の比較で説いたということです。正解は「ハチ」です。

 たとえば、「じゃいママ▽・。・▽さんとケムンパスさんのどちらが大食いか?」ということを実験・観察する場合、kurochanの食べっぷりについての情報は「ムダ」なデータですね。また、ある日突然二人に「大食い直接対決」をしてもらったとしても、その日の体調やメニューの問題があるんですら、「1回や2回」の実験・観察や「偏ったメニュー」での実験・観察では「普遍的」な結論なんかは、出ませんよね。そういうことです。(・-・)(。_。)ウンウン(笑)