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クイズ【50】
LAST UPDATE 2002-10-11

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【50】出題日時 2002年10月 4日(金)19時09分06秒
 1本の棒と、その12倍の長さの1本ロープがありました。ロープの片方の端から棒3本分のところをケムさんが、もう片方の端から棒4本分のところをカズさんが持ち、ロープの両端をクボさんがもって引っぱり合いました。するとどうでしょう直角三角形になりました。さて誰の前が直角になったでしょうか?

正解者・・・・Kubocchannさん、ちくりんさん、kazukoさん、ケムンパスさん →3ptゲット(得点表)

解説と解答

 これは中学生の数学基礎レベルの問題ですが、歴史クイズでもあります。

 問題を整理すると、次の図のようになりますね。

 【クボさん】←(3本分)→【ケムさん】←(12−3−4=5本分)→【カズさん】←(4本分)→【クボさん】

 棒12本分のロープを 3:4:5 の比率になる部分を三者が持って引っぱり合うと直角三角形になったということですね。
 で、平面上の直角三角形の各辺の関係については、直角の両脇の辺の長さの各2乗の和が、他の辺(斜辺)の2乗(同じ数を2回かけ合わせる)に等しいという定理があります。いわゆる「ピタゴラスの定理」ですが、これを証明するのは少々ややこしいので省略しますが、

 斜辺の長さが a,他の辺の長さが b,c である直角三角形において a×a=b×b+c×c が常に成り立つ

 というわけです。この問題の例では、各辺の長さは 3、4、5 です。
 それぞれ2乗すると 3×3=9、4×4=16、5×5=25 となります。よ〜くにらむと、9+16=25 となることに気づかれましたか?

 つまり、a=5、b=4(または3)、c=3(または4)であれば成立しますから、長さが3と4の間の角が直角、つまりクボさんが持っている角が直角ということになりますね。正解はクボさんです。

 さて、ピタゴラスは古代ギリシアの学者で宗教家でもありましたが、この手法は彼の編み出したものではありませんでした。古代エジプトに伝えられていた実用的知識に理論的証明を与えたのです。

 古代文明の地では、大河の氾濫原に耕地をつくりました。上流から運ばれてきた堆積土に多くの養分が含まれていたためです。しかし、毎年の洪水前に収穫をする必要から、暦法・天文学が発達します。また洪水が引いた後は、耕地の区割りや用水路の補修のために正確な測量技術が求められました。エジプトでは、ピラミッドの建築のためともいわれますが、正確な直角を求める技術を編み出します。数学的証明は必要ではなく、実際的な技術として、この問題のように特定の各辺の長さでロープを引っぱり合って三角形を作れば直角が得られることを経験的に知っていたようです。

 メソポタミアのバビロニア天文学に刺激を受けて知的探求に目覚めた古代ギリシア人は、後にこうしたエジプトの測量術を数学として発展させていったのですね。