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【34】出題日時 2002年
6月11日(火)19時51分25秒 サッカーワールドカップ2002で日本とも対戦するチュニジアチームは、奈良でもキャンプしています。さて、チュニジアにある古代都市カルタゴは古代地中海の「海賊」フェニキア人の拠点で、古代ローマと大戦争をしています。第2回ポエニ戦争では、フェニキアの名将ハンニバルがある動物の部隊を連れて、ローマの虚を突くアルプス越え作戦を展開、イタリア半島をほぼ席捲しました。ローマ人を驚かせた、その動物とは一体何でしょうか? |
サッカーワールドカップ1次リーグでチュニジアチームは敗退しましたが、「カルタゴの鷲」と呼ばれていましたね。カルタゴとは北アフリカの現在チュニジアにあった、海賊フェニキア人の拠点都市です。
さて、古代地中海では、フェニキア人(ポエニ人)とギリシア人の海賊が荒らし回っていました。教科書では「地中海貿易」と書かれていたりしますが、実際には奴隷狩りなどもしていたようです。また大西洋を渡って南米にもフェニキア人がたどり着いていたことを示す遺跡も発見され、コロンブスより2千年も前に大西洋を船で横断していたようです。もちろん、「発見」などというアメリカ大陸原住民に失礼な言い方はしませんけどね。あとは、揺れる船の上でも書きやすいアルファベットの原形を作ったことでも有名ですね。
さて、いまでこそ土地が痩せてしまったシチリア島ですが、かつてはとても肥沃で、石灰質で痩せた土地の多い地中海沿岸では貴重な島でした。そのため、フェニキア人やギリシア人はシチリア島争奪に力を入れていたのでした。
ところで、紀元前3世紀前半にイタリア半島を統一するまでに勢力を強めたローマ人は、陸軍力ではずば抜けた実力を持っていたのですが、これに目をつけたのがギリシアです。シチリア島の南は海を挟んですぐカルタゴです。地の利からすれば、ギリシアは不利です。ところが、北にはイタリア半島が接近しています。ギリシアにすれば、ローマを味方に付けると付けないとでは、シチリア島はおろか、西地中海の制海権にもかかわる事態だったのです。実際は、ギリシアに協力しただけのはずのローマは単独でシチリア島を占領してしまいます。そこで、フェニキアにとっての敵はローマとなったのです。何か世界史の授業みたいですね。
ローマはフェニキアが攻めてくるのを予想していました。ローマからすれば、カルタゴは南方ですし、フェニキアは海賊です。イタリア半島北方は、アルプス山脈が自然の防壁を果たしてくれるはずですから、沿岸の防衛に努めていたのです。ローマへの復讐を誓ったフェニキアの将軍ハンニバルは、思い切った作戦に出たのです。アフリカ象の大軍でアルプス越えをし、ローマを奇襲しようというのです。今のスペインにあったカルタゴ=ノヴァで軍事訓練を施したハンニバル軍は歩兵約4万・騎兵8千・象37頭でピレネー山脈を越え、冬のアルプス山脈越えでは、寒さと悪路と山岳民の抵抗に多大な犠牲を出すが、2週間後には歩兵2万・騎兵2千・象20頭でイタリア半島に侵入したのです。正解は象です。
さて、ハンニバル軍はイタリア半島をほぼ制圧するんですが、ローマのスキピオ将軍はこれまた思い切った作戦に出ます。ハンニバル軍と戦ってももう勝てそうにないと判断し、イタリア半島を捨てる覚悟でカルタゴへ遠征するのです。カルタゴに呼び戻されたハンニバルでしたが形勢逆転、ザマの戦いで敗れたハンニバルは小アジア半島へ亡命、反撃のチャンスをうかがいますが、果たせずに同地で亡くなったようです。
これだけのドラマチックな展開ですから、映画化されるのも当然ですね。読み物も多数出ています。kurochanも中学生の頃、鍵のかかった図書室の前に放置されていた本を見つけ、借りて帰って読んだのが「ハンニバルの象つかい」でした。いや〜、懐かしいなあ!