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【29】出題日時 2002年
5月 7日(火)18時36分15秒 世界各地にはさまざまな暦があります。何を基準にするかで、それぞれの暦には何らかの価値観が反映されているわけですが、西暦=キリスト暦は比較的広く受け入れられている暦だと言えます。でも世界人口の5人に1人はイスラム教徒ですから、むしろイスラム暦を「標準」にした方がいいのかもしれませんね。では、この問題の出題日はイスラム暦では何年でしょうか?※ヒント・・・・下二桁は「23」です。 |
イスラム暦の1年1月1日は、西暦(キリスト暦)622年7月16日です。また、月の運行を元にする太陰暦であるため、1年は354日で、30年に11日の閏年がもうけられています。一方、西暦は4年に1日の閏年があり、16世紀末以降は、400年に3回は閏年でなくなります。厳密な計算は大変ですが、大まかに計算すると、イスラム暦=(西暦−622)×365÷354ですから、西暦2002年はイスラム暦1422.8年となります。正解は、1423年です。
日本にも「元号」という現在の天皇が即位して何年目かをさし示す暦がありますし、「皇紀」などという神話に基づく年代表記もあります。お隣の韓国にももっと古い年代表記がありますし、アダムとイブを基準にしたユダヤ暦に至っては諸説ありますが、76世紀を数えています。また、諸宗教教団の暦や、核時代暦や水平暦などといったものもあります。
暦には、地域・国家で月日を統一するという便宜的な側面があるとはいえ、その設置基準に政治的意図、つまり権力者の時空支配が象徴されていると言えますね。暦は、思想信条に関わるものであり、日本においても、「元号」使用の強制が問題になるのは、こういった背景があるからです。価値の衝突を避けるためには、全く客観的な暦があればいいんですが、それはそれでモンテーニュが名著「エセー」で指摘したような、機械的価値世界の虚無への恐れを招きかねません。精神的な支えとなり、多様性が認められ、機能的な暦と文明のあり方についても考察していきたいものですね。