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「仮住民票、改定入管法についての通知」への対応
LAST UPDATE  2012-05-17

「仮住民票、改定入管法についての通知」への対応

 5月下旬に、自治体から外国籍者のいる家庭に通知が届く。
 突然の通知に驚く方もおられるだろう。日本語が読めずに放置する方もおられるだろう。
 しかし、慎重に点検しなければ、場合によっては厳罰が科せられかねない。
 その通知とは、「仮住民票記載事項証明書」と入管法改定についての簡単な説明書だ。

 7月9日、外国人登録法が廃止され、法務省の一元管理の下、改定入管法・改定住基法が施行される。外国人登録証は廃止されて外国人住民票が導入され、特別永住者には「特別永住者証明書」、その他の在留資格者には「在留カード」交付される。しかし、外国人登録をしていない者や外国人登録をしていても在留資格のない者は「非正規滞在者」とされ、公的な証明書が一切なくなり、保健・福祉・教育などの行政サービスが奪われ、摘発対象にされてしまう。
 「在留カード」交付は地元の市町村役場ではなく入管(奈良の場合は、大阪入管か大阪入管奈良出張所)に出向かなければならないし、「特別永住者証明書」「在留カード」には通称名は記載されないため、通称名で生活する外国籍者には、社会生活でのさまざまな不都合が予想される。転出・転入・転居届も義務づけられ、「特別永住者証明書」「在留カード」の登録・更新・在留資格変更などに手続きミスや遅延があれば、1年以下の懲役、20万円以下の罰金、場合によっては退去強制(=国外追放)という厳罰が科せられる。
 その他にも様々な制約や罰則があり、在日外国人の人権保障はもとより、多文化共生社会を構築するにあたっても、極めて問題の多い内容である。

 5月下旬の通知を見て、日本語がままならない方も含めて、すべての外国籍者が、こうした内容の法改定であることを理解し、「仮住民票記載事項証明書」の十数項目を慎重に点検し、必要に応じて訂正手続きや届出をしなければ大変なことになるという判断ができるのかが危惧される。
 在留資格がない子どもたちの就学保障、DV等により住所を異にするケースについての届出など、当事者に責任を押しつけるわけにはいかない課題も多い。ともに生きる住民・同僚・教員などが、地域・職場・学校の緊急課題と認識し、関係する外国籍者に適切なアドバイスをし、相談にのることができるのかが今、問われている。(2012/5/17筆)


外国籍生徒の保護者および外国籍保護者への「外国人登録についての重要なお知らせ」文書例